カンタンBIをさらに導入しやすく――J-SaaS型経営分析ツール「集計SaaS」中堅・中小企業向けプロダクトレビュー

「集計SaaS」はJ-SaaSプラットフォーム上で提供されるWeb型データ活用ソリューションだ。Dr.Sum EAの簡易版をSaaS化し、SMBにとって取っつきにくかったBIの導入を手ごろな料金で後押してくれる。

2010年03月04日 08時00分 公開
[井上猛雄]

中小企業が簡単に利用できるBIをSaaSで提供

 ウイングアーク テクノロジーズの「集計SaaS」は、経済産業省が推進する「J-SaaS」のプラットフォーム上で提供されるWeb型データ活用ソリューションである。

 同社は、企業内に蓄積された膨大なデータを簡単に分析・活用できる経営分析・リポーティングソフト「Dr.Sum EA」を既に発売している。このソリューションはパッケージとして提供されているが、これまで2400社、4000本以上の採用実績があり、中堅・中小企業(以下、SMB)向けBI(Business Intelligence)市場においては現在、トップシェア(29.4%)を誇る(ノークリサーチ「2009年 中堅・中小企業 DWH/BIアプリケーション利用シェア」より)。

 データ分析といえば、データベースサーバから専用の多次元データキューブを事前に設計して集計する必要があり、SMBのユーザーにはどうしても導入のハードルが高く感じられてしまう。しかしDr.Sum EAは、従来のようなキューブ設計が不要で、元データから動的に集計リクエストを処理できるという大きな特徴を持つ。加えて、導入・運用やコスト面でのアドバンテージを支持する企業ユーザーも多い。今回取り上げる集計SaaSは、このDr.Sum EAの機能を簡易的に提供するサービス製品だ。J-SaaSを利用するSMBにターゲットを絞っている。

 現時点でデータ分析に対応しているJ-SaaSのソリューションは、財務会計分野では「勘定奉行 for J-SaaS」(オービックビジネスコンサルタント)、「会計ワークス」(スマイルワークス)、「ネットde会計」(ビジネスオンライン)があり、販売会計分野では「販売ワークス」(スマイルワークス)、「トラックメイトPro」(タイガー)が挙げられる。ただし、これは暫定的なもので、ユーザーのリクエストに応じて、いろいろなソリューションに対応していく方針だ(表1)。各ソリューションとの連携は、1日1回のバッチ処理によってデータを更新する仕組みになっている。そして、これらのデータを素早く集計し、ユーザーが分かりやすいグラフや表形式に整形することで「データの見える化」を支援する。

表1 集計SaaSが対応するJ-SaaSソリューション
分類 製品 特徴
財務会計分野 勘定奉行 for J-SaaS(オービックビジネスコンサルタント) 日々の仕訳データを入力するだけで、転記・集計をすべて自動処理。元帳・試算表・決算報告書はもとより管理資料も素早く出力できる
会計ワークス(スマイルワークス) 日次・月次・決算の3つのメニューで構成し、入力した仕訳から試算表などの集計表を自動作成したり、総勘定元帳や決算書も作成できる
ネットde会計(ビジネスオンライン) 中小企業だけでなく個人事業主でも利用できる会計ソリューション。「フセン機能」で税理士の確認作業もスムーズに行える
販売会計分野 販売ワークス(スマイルワークス) 販売・仕入・在庫の3つのメニューで構成。見積書からボタン1つで受注伝票や売上伝票を作成できるほか、集計表から伝票へのドリルダウンも可能
トラックメイトPro(タイガー) トラック運送事業者向けに開発された総合管理システム。請求業務、傭車管理、車両管理、乗務員管理を行う。オプションで受注配車などにも対応。運用日報を連想させる入力画面は操作が簡単

 ウイングアーク テクノロジーズ 事業統括本部 Dr.Sum事業部 事業部長の小島 薫氏は、Dr.Sum EAの機能をSaaS化してSMB市場に投入した経緯についてこう説明する。

 「現在、中小企業でデータ分析のニーズが高まりつつある。実は企業規模によって蓄積データの内容に大差はなく、分析したいこともそれほど変わらない。ただし、中小企業では大企業のように分析ソフトを購入する予算や余裕がないのが現状。そこで、中小企業マーケットへ安くて手軽にデータ分析が行えるサービスを展開しようと考えた」

 機能を絞って安価なパッケージソフトを提供するという手段も考えられたが、やはりデリバリーコストが掛かる。Webで提供した方がコスト効果も高いため、SaaS型での提供に踏み切ったという。

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