長引く景気低迷によりIT投資が低迷を続ける現在、なぜか中堅・中小企業で電子帳票システムの導入が活発になっている。不況だからこそ注目される電子帳票のメリットとは何だろうか?
長引く不況でIT投資が軒並み削減される中、紙の帳票を電子的に保存したり、基幹システムに蓄積したデータを電子帳票として管理したりする電子帳票システムは、底堅い投資意欲を保っている貴重な存在といえる。矢野経済研究所が2009年8月20日に発表した主要ベンダー15社を対象とする「電子帳票ソリューション市場に関する調査結果 2009」によると、2008年度の電子帳票ソリューション市場規模は326億9700万円(前年度比103.0%)となり、2007年度の317億4800万円(同、107.3%)から伸び率は鈍化しているものの、リーマンショック後の数少ない“健闘分野”とみている。
リポートの中で矢野経済研究所のアナリストで上級研究員の坂田康一氏は、電子帳票市場が成長を持続している背景について、紙の削減などコストダウンを提示しやすいことや、業務のスピードアップへの期待といった要因を挙げる。運用・保存分野の伸びよりも、PDFやMicrosoft Office Excel(以下、Excel)への出力に対する引き合いが強く、設計・出力分野の電子帳票ソリューション市場の成長率が高まっているという。また、大手電子帳票ベンダーは中堅・中小企業(SMB)マーケットに注目し、キャンペーンやソリューションパックなどの設定で導入のハードルを下げる動きも見られるという。
ビジネスプロセスそのものであり、社内外の情報伝達手段として欠かすことのできない帳票。それを電子帳票化して運用するメリットは、主に次の3つが考えられる。
第1に「コスト削減」。帳票の電子化により紙資源や印刷費、管理費、運送費、人件費を減らすメリットを期待する。第2は「情報の有効活用」。Web上での帳票検索やExcelでの分析・集計、PDFによる配布などで業務の効率化を目指す。そして第3が、「セキュリティとコンプライアンスの強化」。機密情報や顧客情報を含む帳票の安全な管理、不正アクセス・出力の防止、操作記録の保全といったアクセス制御に用いられる。
電子帳票はこうした大きな効果が期待できる半面、高価なため大手企業を中心に活用されることが多かった。しかし、最近では機能を限定して価格を抑えたツールやSaaS(Software as a Service)対応を行うベンダーが増え、中小企業においても導入がしやすくなっている。
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