Google Appsの企業利用を考える【第3回】
Google AppsをNotes、Exchange、サイボウズと比較する
Notes、Exchange、サイボウズといった主要グループウェアとGoogle Appsは何が違うのか。他社製品の優れた機能を挙げるとともに、「生まれの全く異なる」Google Appsの優れた点を紹介する。
Notes、Exchange、サイボウズは何が優れているのか
連載第1回「Google Apps for Businessのコストと機能、そして気になるセキュリティ」と第2回「Google Apps for Businessの「使いづらさ」を解決する手段」で、Google Apps for Businessの豊富な機能や販売代理店などからの購入の仕組みは理解いただけたと思う。しかし、製品選定をする上で、Google Apps for Businessが他社製品と比較してどうなのかは気になるところだろう。まずは筆者が考える他社グループウェアの優れている点を整理しよう。
| 製品名 | 優位点 |
|---|---|
| IBM Lotus Notes/Domino(以下、Notes) | 業務部門のユーザーでも簡単に作成できるデータベースやワークフロー |
| Microsoft Exchange Server(以下、Exchange) | Officeスイートおよびマイクロソフトのサーバ製品との柔軟な連携・統合。強力なマクロを使えるExcel |
| サイボウズガルーン/サイボウズOffice | 日本の企業風土にマッチしたグループカレンダーやワークフロー |
これら他社製品の優位点は、残念ながらGoogle Appsには標準では実装されていない機能といえる。その他、グループウェアというプロダクトを世に知らしめたNotes、それを国内の中小企業にも広げたサイボウズ、1人1台のPC環境を推進したExchange+Outlookといったそれぞれの功績はとても大きい。これらの製品を1990年代に導入した企業は、間違いなく先見の明があったといって差し支えないだろう。
Google Appsの企業利用を考える連載インデックス
Google Appsは何が優れているのか
Google Appsの採用を検討する企業にとって、先述した他社製品のような機能を利用できないのは悩ましいことではあると思う。しかし時代は変わり、働き方も技術も進化している。そこで今度はその進化や変化を前提に、Google Appsが優れていると感じられる点を挙げてみよう。
クラウドを前提に開発されている
Google Appsはクラウドを前提に開発されている点が最大の特徴といえる。全てWebブラウザだけで利用できるように設計されており、オンプレミス型のグループウェアをクラウド向けに改修したものではない。その点で旧来のグループウェアとは生まれが全く異なるといえるだろう。
機能実装の原点は「グローバルスタンダード」
これはGoogle Appsに限ったことではないが、Googleのサービスはグローバルで必要な機能に絞り込み、絞り込んだ機能をいかに使いやすく安く提供するか、という点にとてもこだわっている。「一部のユーザーだけが使いたい機能をあれこれ盛り込むと、多くの人にとって使いづらくなってしまう場合もある」というのがGoogleの考え方だ。
Google Appsでは、例えばグループカレンダーが日本企業で必要とされていることはもちろんGoogleも認識している。それでも標準機能として搭載しないのは、グローバルスタンダードとして割り切っているからだ。機能が増えれば目的に合った機能を探すことが難しくなり、新しい機能が増えるたびに教育が必要になるようなサービスを、Googleは提供するつもりはないというわけだ。
強固なセキュリティ
Google Appsに限らず、クラウドサービス導入企業が重要視するのはやはりセキュリティだ。本連載の第1回でも物理的なセキュリティに関しては解説した。
一方で、Google Appsは、2008年から毎年SAS 70 Type IIの監査をパスしている。2011年、SAS70 Type IIの監査は、SSAE 16 Type II認証と、国際的なISAE 3402 Type IIへと進化しているが、Googleは主要クラウドベンダーとしていち早くこれらの新しい基準に準拠している。さらに2011年にはGoogle Appsだけでなく、Google App Engine、Google Apps Script、Google Storage for Developersにもその監査対象を拡大している。
また、Google Appsのデータは全て「チャンク」と呼ばれる単体では無意味なデータの切片に分解されて、複数のデータセンターにまたがる複数のサーバに保存される。このチャンクにアクセスして意味のあるデータに組み立てることができるのはGoogleのプログラムだけである。しかもこのプログラムは、どのデータセンターのどのサーバで動作しているのか、外部の技術者が把握しようとしても把握できるものではない。
他社製品からのリプレース状況
Google Appsの2009年の利用企業数は200万社、2010年は300万社、2011年は400万社だと発表されている。この増加ペースはさらに加速しており、現在では毎日約5000社(※)が新たにGoogle Appsの利用を始めているという(関連記事:Google Appsは法人市場で大成功を収められるか)。中でもGoogle Apps for Businessの採用ペースは特に速く、伸び率も高いという。
※企業数はワールドワイドの利用企業数。また、Google Apps for Businessだけでなく、全エディションの合計数である。
国内でのリプレース製品は?
海外ではやはりNotesとExchangeからGoogle Appsに乗り換えるケースが圧倒的に多い。一方、日本はその点特殊な市場といえ、サイボウズやdesknet’sをはじめ非常に多くのグループウェア製品がマーケットに存在する。従って、多種多様な製品から移行が見られる。もちろん、Notes、ExchangeからGoogle Appsに移行する企業も多く、増えてきているのは事実だ。
既存グループウェアからリプレースを考えるきっかけは?
現行のオンプレミス型のグループウェアの保守切れや、ハードウェアの老朽化などのタイミングでGoogle Appsへのリプレースを検討する企業が多い。無料のGmailのメールボックスが7Gバイトなのに、「なぜ機能や容量で劣るグループウェアを自営サーバで手間をかけて運用しなければならないのか」という単純な課題に直面している企業が増えているようだ。
以上、Notes、Exchange、サイボウズという代表的なグループウェア製品とGoogle Appsとの違いを解説した。次回は実際にGoogle Appsを導入したユーザーはどのような企業なのか、そして導入後にどのような感想を抱いているのか、Googleへの取材を基にまとめる。
飛鋪武史(ひしきたけし)
日本技芸 取締役 ビジネスサービス事業部長
青山学院大学理工学部卒業後、富士総合研究所(現みずほ情報総研)、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、ガートナージャパンを経て、日本技芸に入社。製造業、通信業、金融業、官公庁などさまざまな業界で多数のITグランドデザイン、ITコスト削減、プロジェクトマネジメント、情報分析・可視化・指標化などのコンサルティングを手掛けるとともに、ワークプレースやコラボレーションに関する数々の調査プロジェクトの経験を持つ。それまでの経験を生かし、人がITを使いこなし、真の生産性向上を図るためのインタラクティブデザインにフォーカスした「rakumo」シリーズの事業責任者を務める。
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