直面しやすい問題と対処法をチェック
「Exchange」オンプレミス版から「Office 365」への移行で注意すべきこと
オンプレミス環境で「Microsoft Exchange Server」を利用している企業がクラウドサービスに移行する場合、起こりやすい問題をあらかじめ確認しておこう。
Microsoftのグループウェア製品「Exchange Server 2010」の延長サポートが2020年1月に終了する。Exchange Server 2010を利用している企業は、オンプレミスのままアップグレードするか、クラウドサービスへ移行するかの決断を迫られている。
経験豊富な管理者なら、クラウドへの移行を恐れてはいないだろう。ただし行く手には落とし穴が隠れている可能性がある。ここで紹介するヒントを参考にして、「Microsoft Exchange Server」(以下、Exchange)のクラウド移行の際に陥りやすい問題を回避しよう。
移行先としては、クラウド版Exchangeの「Exchange Online」か、Exchange Onlineを含むクラウドオフィススイート「Office 365」のいずれかがある。本稿は特にOffice 365への移行を想定して話を進める。
アップデートで移行に伴う問題を回避
Office 365への移行に当たっては、まず現在使用しているメールクライアント「Microsoft Outlook」のバージョンを確認しよう。「Outlook 2007」「Outlook 2010」のような古いOutlookの場合、たとえOffice 365へ移行しても、重要度の高いメールを自動的に振り分ける「優先受信トレイ」、複数人でファイルや予定表などを共有できる「Office 365グループ」などの新しい機能は利用できない。
「Outlook 2013」より以前のバージョンを使っている場合、Office 365の各サービスに接続しようとしても、接続エラーやセキュリティエラーが発生する可能性がある。このような状況を防ぐため、Outlookをアップグレードしておこう。
最新の修正プログラムを事前に適用しておく必要もある。ID/アクセス管理サービス「Azure Active Directory」(Azure AD)に関する以下の機能を利用する場合、サーバOSを「Windows Server 2008 R2」以降に更新して、オンプレミスのディレクトリサーバ「Active Directory」の機能レベルを上げておくことも必要だ。
- オンプレミスのディレクトリサーバとAzure ADとを連携させる「Azure AD Connect」
- Azure ADで更新したパスワードをオンプレミスのディレクトリサーバに書き戻す「パスワードライトバック」
サードパーティーアプリケーションとの連携
Mitel NetworksやCisco Systemsなどサードパーティーが提供するアプリケーションをExchangeと連携させている場合は、それらがOffice 365(Exchange Online)と問題なく連携できるかどうか、移行前に確認しておく必要がある。Office 365は統一APIの「Microsoft Graph」や、VoIP(Voice over IP)をはじめ、新機能や新しいセキュリティ要件を多数追加している。
Exchangeと連携する最近のアプリケーションでは、Exchangeで管理するメールや連絡先などのデータへのアクセスに「Exchange Web Services」というAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)が広く利用されている。サードパーティーベンダーによっては、Office 365(Exchange Online)との連携を可能にするためにアプリケーションを変更している。Exchangeの管理者は、現在使用中のサードパーティーアプリケーションの対応状況や移行計画を確認しておこう。
現在のユニファイドコミュニケーションシステムへの影響
メールと電話といった多様なコミュニケーション手段を統合する「ユニファイドコミュニケーション」(UC)システムを使用している場合、Office 365への移行に合わせて対処が必要になる可能性が高い。ボイスメールの音声をテキストに変換するトランスクリプション機能が、これに関係してくる。
MicrosoftはUC製品を「Skype for Business」から「Microsoft Teams」へ移行する一環として、音声とメールを組み合わせたユニファイドメッセージング機能に大幅な改良を加えた。Microsoftはこうした機能強化の一部を、Exchangeのユニファイドメッセージング機能の後継となる「Cloud Voicemail」で提供する。機能強化の例としては、
- ボイスメールを受信トレイに入れるデポジット機能
- クラウド版のSkype for Businessである「Skype for Business Online」やOutlookからのボイスメール取得機能
- Office 365ポータルからのボイスメール管理機能
などがある。
VoIPベースのIP電話とExchangeを組み合わせて活用している場合は、こうした変更の影響を受ける。Exchangeの管理者は、現在のVoIPゲートウェイ(アナログ電話網とIT電話網との中継機器)がOffice 365(Exchange Online)と連携できるかどうかを確認し、VoIPベンダーと共に移行を準備する必要がある。
必要十分なライセンス
Microsoftのライセンスやプランは複雑で分かりにくい。Exchangeの管理者は、どのライセンスが適しているか注意深く検討する必要がある。特にクラウドの場合、Microsoftは新しい機能を開発しては、既存のサービスに次々と投入してくる。管理者は常に需要に合ったライセンスやプランを見極めなければならない。
例えば現場で作業することが多くてメールしか使わない従業員には、年間契約で月額430円の「Office 365 F1」といった、Office 365のエントリープランで十分だ。高度な機能を必要としていない従業員にまで、必要以上に高額の費用を支出している企業は少なくない。
移行のタイムライン
ExchangeからOffice 365へメールボックスを移行する際は、データ転送速度に制限が掛かる可能性がある。メールボックスの移行速度が制限されるため、実際の速度に基づいてタイムラインを計画する必要がある。
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