グローバルでの商取引では避けて通れない関税手続きや各国・地域の規制情報との照合作業を自動化する製品がOracle E-Business Suiteに加わった。懸念取引先情報や部品表データとひも付けて輸出入管理を効率化する。
日本オラクルは2012年2月15日、輸出入規制管理アプリケーション「Oracle Global Trade Management」の提供を開始した。同社ERP製品群「Oracle E-Business Suite」の1つとして提供される。
関税処理や各種法令との照合など、製品の輸出入に関わる管理業務をシステム化し、作業効率を向上させるとともにコンプライアンス上の対策も実現する。
国をまたぐ製造や製品販売を行う企業では、「輸出者等遵守基準」を満たす貿易関連情報の管理体制の整備が求められている。輸出者等遵守基準は、外為法(「外国為替及び外国貿易法」)のうち、製品輸出や技術提供を伴う貿易取引に関する規制で、軍事転用の恐れがある技術流出などを防ぐ目的を持っている。リストアップされた企業との取引では特別な手続きが必要になるため、管理・照合には一定のリソースをかける必要がある。
同製品は、各国の輸出規制や貿易品目などのデータを業務システムの中に取り込み、管理する。貿易品目と輸出規制の情報を基に、製品の設計、受注や出荷時に規制違反がないかの判定を自動的に行い確認漏れや規制違反を最小限に抑えるとしている。
製品情報は基本的には部品表のデータを参照することになるが、「材料や含有物質、実際のCADデータとの連携も要望があれば対応可能」(広報部)だという。
同様にこの製品を使って、環境規制のある地域・国への輸出時に必要になる文書なども生成可能だとしている。環境規制情報を既に持っている場合は、「カスタマイズなしでOracle Global Trade Management側に提出書類管理を行わせることも可能」(広報部)だという。
同製品は以下の機能別のアプリケーションから構成される。
品目に関税分類番号(HTS)や輸出規制品目分類番号(ECCN)といった複数の貿易品目分類をひも付けて管理できる。規制品目判定に必要な項目や原産国情報、部品表もひも付けられる。
国、地域、企業別など複数の管轄区域の規制ルールを一元管理できる。日本・海外間だけでなく、仕出国・仕向国の組み合わせにも対応する。
兵器転用を規制する目的で施行されている日本の「外国ユーザーリスト*」や米国で規定されているDPL**、その他、企業独自で保有する懸念取引先情報との照合機能を提供する。
輸出規制情報と連携した品目分類の検索、分類コードの一括変換機能を提供する。
過去の判定情報や顧客審査、取引審査情報を蓄積して承認結果と履歴をデータベースとして管理する。
* 大量破壊兵器キャッチオール規制 大量破壊兵器への転用が懸念される製品・技術の流出を防止する目的で2002年に施行された。製品(貨物)の規制は輸出法で、技術の輸出は外為法で規制されている。
** DPL Denied Persons List。米国輸出管理規制の違反者のうち、Denial Orders(否認命令)が出された者のリスト。米国商務省が公表している。
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