テレワークやハイブリッドワークが一般化する中で広がりつつあるのが、「静かな休暇」だ。この働き方は、テレワークから派生したもう一つの働き方とも言える存在だ。その実情とは。
テレワークやハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)を継続する労働者の間で、「静かな休暇」(クワイエットバケーショニング)が台頭している。これは休暇を取得することではない。静かな休暇は、テレワークから派生した働き方の概念だ。どういう働き方で、なぜ台頭してきたのか。
有給休暇を申請するのではなく、最低限の業務をこなして“働いている感”を出しながら休暇を過ごす働き方を「静かな休暇」と呼ぶ。
有給休暇の取得しづらさは、従業員が静かな休暇を選択する理由の一つになる。一方で有給休暇中であっても、上司といつでもコミュニケーションを取れる状態にあることを会社から期待されている場合がある。テレワークが一般化したことでそうした状況は発生しやすくなった。その場合は仕事をこなす必要性が頭にちらつき、休暇を取得すること自体が空しく感じられる可能性がある。
大量の業務を抱えている従業員が、業務の後れが生じることを恐れたり同僚の業務負担を増やすことに罪悪感を覚えたりして、有給休暇の申請をためらう場合もある。これも従業員が静かな休暇を選ぶ理由の一つになる。
調査会社The Harris Pollが2024年5月に公開した調査レポートによると、「有給休暇中に業務連絡を完全に遮断することに苦労している」と回答者の60%が答えた。「有給休暇中に業務関連の電話に出たり、ミーティングに参加したりしたことがある」と回答したのは56%だった。同調査によれば、回答者の76%は「会社側には、定期的に休暇を取ることの価値を職場の文化として強調してもらいたい」と答えた。同調査は2024年8月26〜28日、米国で働く18歳以上の労働者1170人が回答した。
ワークライフバランスを優先し、従業員が必要なときに安心して有給休暇を申請できるような文化をつくるために企業は何をすればよいのか。以下にその方法を紹介する。
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