大画面iPadみたいなもの?
Apple、うわさのHDTV「Apple iTV」でテレビ市場に本格参入か
米Appleが開発中とうわさされているHDTV「Apple iTV」(セットトップボックスのApple TVにあらず)。カナダの大手新聞が具体的に報じたことで、うわさの信ぴょう性が高まったか?
米Best Buyが先ごろ実施した顧客アンケートは、米Appleが開発中とうわさされている高精細テレビ(HDTV)について幾つか魅力的な特徴を紹介した上で、顧客のフィードバックを集めるためのものだった。一方、カナダ最大手の新聞はApple製HDTVのプロトタイプが既にカナダの主要通信キャリアの研究所に持ち込まれていると報じた。
Best Buyのような大手小売りチェーンにとっては、常に消費者の期待や需要を先読みすることが肝要だ。企業がそのために用いる一般的な方法には市場調査がある。つまり顧客アンケートだ。先ごろ、Best Buyの一部顧客を対象にそうした顧客アンケートが実施されたが、そのアンケートには幾つか非常に興味深い質問があった。大いにうわさされながらも、これまで決して目撃されたことのないAppleのテレビセットに関する質問だ。
AppleブランドのHDTVについては、文字通り何年も前からうわさされていた。だがAppleの創業者で元CEOの故スティーブ・ジョブズ氏がその伝記の中で新たなテレビの構想について語っていたことから、うわさに再び火が付いた。ジョブズ氏は伝記著者のウォルター・アイザックソン氏に対し、直感的で使いやすい魅力的なディスプレーを開発する方法について「どうすればいいかをようやくつかんだ」と語っている。
さらにジョブズ氏は「その方策をつかむまでに何年もかかった」とも語っている。だからこそ、Apple製HDTVのうわさはここまで長く続いたのだろう。これまで数々のApple製品を手掛けてきた同社のチーフデザイナー、ジョナサン・アイブ氏のスタジオにはしばらく前から「50インチほどのテレビのプロトタイプ」が置かれているとも言われている。
Best Buyのような企業にとって、Appleブランドのテレビ(現行の「Apple TV」とは無関係)が自社の最終収益にどのような影響をもたらすかを検討し始めるタイミングであることは明らかだ。iPhoneやiPadといったApple製品がそれぞれの市場セグメントでいかに破壊的な役割を果たしているかを考えれば、なおさらだ。ではBest Buyの(恐らく)架空のAppleテレビはどのような特徴を備えているのだろう?
液晶パネルは42インチで、解像度は一般的な1920×1080。搭載されるソフトウェアはiOSだ。この点は驚くに当たらない。A5マルチコアを搭載する現行のApple TVのおかげで、既にAppleには大画面のテレビにiOSを組み込んだ経験がある。さらにこのテレビはApp Storeにアクセスして機能を拡張できる他、iCloudにも対応し、iTunes Storeで購入したテレビ番組やHD映画、MP3などのあらゆるコンテンツをストリーミングしたり保存したりできるという。
リモコンは? もちろんiOS端末を使うといい。もっとも、Appleのスタイリッシュなアルミ製リモコンが用意されるとしても驚くべきことではない。
以下にBest Buyの顧客アンケートの全文を紹介する。
「1499ドルの全く新しい42インチのApple HDTVはいかがだろう。Appleがついにテレビの役割を変革する。
42インチ1080pのLEDフラットパネルディスプレー。
iOSを搭載。iOSは現行のApple TVにも使われているAppleのOS。映画などのエンターテインメントをインターネットから購入してストリーミング再生できる。
App Storeからアプリをダウンロードして使用できる。リビングルームの大画面でAngry Birdsをプレイするところを想像できるだろうか?
Appleの新サービスiCloudをサポート。iTunesから購入した映画やテレビ番組、音楽などのコンテンツを保存し、Apple HDTVに転送できる。
iPadやiPhoneをリモコンとして使用できる。テレビを操作する他、新たに番組を購入したり、Apple端末間やiCloudサービスとの間でコンテンツを交換したりなど、あらゆる操作に使用できる。
Skype用にiSightカメラとマイクを内蔵。
iTunesの他、NetflixやYouTube、flickrなどの人気サイトからもコンテンツをストリーミングできる。
価格は1499ドル」
文句をつけるところはない。全て予想の範囲内であり、特に画期的な点は何もない。これがBest Buyの架空の商品だというさらなる証拠をお望みなら、「iSightカメラ」への言及に着目するといい。Appleは最近の製品ではこの機能を一貫して「FaceTimeカメラ」と呼んでおり、Appleブランドのテレビを新たに発売するのであれば、Skypeではなく(少なくとも箱から出した状態では)FaceTimeのビデオ通話を搭載する可能性が極めて高い。
一方、カナダ最大手の新聞The Globe and Mail(TG&M)が報じているのは現実の話だ。TG&Mは信頼度の高い新聞だ。記事によると、同紙は情報筋から「Apple製テレビの開発は恐らくわれわれが思っているよりも進んでいる」との情報を得たという。その情報筋によると、カナダの主要通信キャリアであるRogersとBellはそれぞれの研究所の鍵のかかる場所にAppleのテレビセットを少なくとも1台は所有しているとのことだ。
iPodやiTunesのビジネスにレコード会社を加わらせたかったのと同様に、Appleがテレビ市場への参入に際してテレビプロデューサーやインターネットサービスプロバイダー(ISP)を仲間に加えたいと考えているのは明らかだ。そうした関係を構築できれば、Appleはよりリーズナブルな価格で製品を提供できるだろう。Appleのテレビが1000ドルとか1500ドル以下で販売される可能性は低く、テレビの平均的な購入者にとっては恐らく高過ぎる商品となるはずだ。だがCATV会社やISPとの2年または3年契約を条件に割引価格で販売できれば、何とか購入してもらえる額になるのではないだろうか。
さらに記事によると、テレビにはSiriが統合され、ユーザーはソファからテレビに話し掛けるだけで「何をしたいか」を伝えられるという。FaceTimeカメラがジェスチャー入力手段を兼ねる他、オンスクリーンキーボードをポップアップ表示できるため、iPhoneやiPad、iPod touchなどからデータを追加できないユーザーにも不都合はない。記事によると、この「Apple iTV」は全体的には大画面版のiPadのようなものになるようだ。
リビングルームのスマート化の分野で恐らくAppleの最大の競争相手となるのは、長年のライバルである米Microsoftだろう。Microsoftはテレビゲームの世界に精通している。また同社は長年メディアセンターソフトウェアを提供しており、実際、多くのセットトップボックスには何かしらMicrosoftのテレビ向けソフトが搭載されている。最近のMicrosoftはゲーム機Xbox 360を中心に据えたテレビ戦略を進めており、Xbox 360でテレビ番組を視聴できるサービスの開始により、既に一部のユーザーにとってXbox 360はセットトップボックスに取って代わる存在となっている。
Kinectコントローラーもまずまずの成功を収めており、恐らくApple iTVに搭載されるのと同様の音声コマンド(ただしSiriの潜在能力には到底及ばないが)とジェスチャーコマンドがXboxゲーム機でも実現されるはずだ。MicrosoftはCATV局との契約なしでテレビ番組を視聴できるシステムも試みたとされている。ケーブルオーバーIPのような購読型サービスを開発し、Microsoftが管理することによって、ComcastやTime WarnerなどのCATV事業者とは契約せずMicrosoftにだけ一括で視聴料を支払えば済む仕組みを作ろうとしたのだ。
消費者にとっては残念なことに、Microsoftにはこのアイデアを実現するための十分な影響力が備わっていなかったようだ。だがメディアと強力なつながりを持つAppleであれば、そうした構想を実現できる可能性もある。
Appleブランドのテレビセットを実際に目にすることができる時期については全く分からないというのが正直なところだ。だがAppleの取り組みの正確な状況は誰にも分かっていないようだ。今や巨大な家電企業でもあるAppleはもしかすると2012年の年末商戦期に新しいテレビを発表して、われわれを驚かせてくれるかもしれない。
あるいは、そうはならないかもしれない。何しろAppleのすることだ。誰に断言できるだろう?
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