DWH製品紹介:サイベース
Sybase IQ導入企業がDWH環境を段階的に拡大させていくわけ
カラムインデックス機能でデータ量の圧縮と超高速検索を両立する「Sybase IQ」。ユーザー企業がアプライアンスでなくソフトウェアソリューションのSybase IQを選ぶ理由とは。
カラムインデックスデータベースの先駆け的存在「Sybase IQ」
現在、データウェアハウス(DWH)の世界ではアプライアンス製品が脚光を浴びているが(関連記事:ビッグデータ対応のために進化するDWHアプライアンス)、そんな中ソフトウェアソリューションを貫いて独自路線を歩むベンダーがいる。その1社がサイベースだ。言わずと知れた同社のデータベースソフトウェア「Sybase IQ」は、数あるDWH製品の中でも最も古い歴史を持つものの1つであり、既に世界中で数多くの導入実績を持つ。着実に機能のアップデートを重ねており、2011年7月には「Sybase IQ 15.3」をリリース。2012年4月には最新のバージョンの「Sybase IQ 15.4」がリリースされる予定である。
Sybase IQの最大の特徴は、何と言っても「カラムインデックス機能」だろう。今でこそ、カラムストアやフルインデックスの機能を持つデータベース製品は他にも幾つか存在するが、つい最近まではこうした機能を備える商用データベースソフトウェアは、Sybase IQがほぼ唯一の存在だったのだ。サイベース日本法人で代表取締役社長を務める早川典之氏は、次のように述べる。
「最近でこそ、カラムインデックス機能を備えた類似のDWHエンジンが幾つか出てきたが、われわれは既に10年以上もこの技術に取り組んでいる。この実績は業界で突出していると自負している」
ちなみにカラムインデックスとは、テーブルを行単位でデータにアクセスする一般的なRDBMSとは異なり、列(カラム)単位でデータにアクセスする方式のことだ。DWHでは一般的に、レコードの特定列のデータに対するアクセスが大量発生するため、行単位のアクセスに比べて列単位のアクセス方式はディスクI/Oを大幅に減らすことができ、パフォーマンス上有利になるのだ。さらに、カラムのデータは全てインデックスとして保存されるため、より一層パフォーマンス面で有利になる他、インデックスチューニングも不要になるという運用上のメリットも存在する。
Sybase IQはこれに加えて、データを圧縮・加工し、コンパクトにして保管する機能を持つ。これにより、さらにディスクI/Oを減らせるとともに、データベースのサイズをコンパクトに収め、運用コストを低減する効果もあるという。
ソフトウェア故にスモールスタートと段階的な拡張が可能
Sybase IQのもう1つの大きな特徴は、冒頭でも紹介した通り、アプライアンス全盛のこの時代に、あえてソフトウェアのみによるソリューションを貫いている点だ。サイベース セールスエンジニアリング部 課長 尾山滋則氏は、ソフトウェアによるDWHソリューションには、数々のメリットがあると述べる。
「アプライアンス製品は一般的に非常に高額だが、企業の中にはそこまでのコストを掛けずにDWHをスモールスタートさせて、効果を確認できてから徐々に規模を拡大していきたいというニーズを持っているところが多い。Sybase IQは汎用ハードウェアを使って安価にシステムを構築できるので、そうしたニーズにうまく合致する」
事実、Sybase IQの導入事例には、スモールスタートから徐々にシステム規模を拡大してきたケースが非常に多いという。また同製品はソフトウェアならではの柔軟な拡張性を備えており、この点においてもアプライアンス製品にはない大きな強みを持っているという。
「近年、『ビッグデータ分析のために高速なDWHアプライアンスを』というキャッチコピーをよく聞くが、Tバイト級のデータを既に持っていない限り、アプライアンスは明らかにオーバースペックだ。またアプライアンスの場合は将来的に見込まれるデータ量を十分に考慮して不必要な規模のハードウェアを購入せざるを得ないことが多いようだ。実際、アプライアンスを購入したユーザーがその後、システムを拡張したという話はあまり聞かない。その点、ソフトウェアであるSybase IQは柔軟なスケーラビリティを備えるため、データの増加に合わせて段階的にシステムを拡張していける」(早川氏)
実際、Sybase IQを導入した企業の多くでは、後にライセンスを追加購入してシステム規模を拡張するところが多いという。この事実は同製品の導入効果が現れている証だと早川氏は述べる。
「DWHは、一度入れたらおしまいというものではない。入れたものをいかに成長させていけるかがポイントだ。その点Sybase IQは、多くのユーザーが追加ライセンスを購入していることから、DWHの規模を順調に成長させていることが分かる。そうした企業は押し並べて、売り上げも成長している」
「簡単導入」「簡単運用」は必ずしもDWHの本義ではない
こうしたソフトウェアソリューションならではの高い拡張性は、これからのビッグデータ時代においてこそ真価を発揮すると早川氏は言う。
「アプライアンス製品は、ある特定のアプリケーションに特化したデータを高速処理する用途には向いている。しかしビッグデータの本質は、『どんなデータでも取りあえず分析してみよう』というところにある。初めからどんなデータを分析するかが決まっているわけではない。『あれも分析してみよう』『これも分析してみよう』とトライ&エラーを重ねながら、データから価値を引き出していくところにビッグデータの醍醐味がある。こうした使い方には、当然ながら拡張性に優れたソフトウェアソリューションの方が適している」
また、ソフトウェアによるDWHソリューションを後押しする動きが、他の分野でも起こりつつある。それはストレージ技術の革新だ。従来ディスクI/Oのボトルネック解消を汎用ハードウェアだけで実現しようとすると、極めて大規模で複雑なシステムにならざるを得なかった。だからこそアプライアンス製品のニーズがあったわけだが、ここに来てSSD(Solid State Drive)やioDriveといった高速フラッシュメモリや、オンメモリデータベース技術が実用化されてきたことで、事情が変わりつつある。
「こうした新技術でハードウェアの性能上の制約が事実上なくなれば、後はスケーラビリティや、扱えるデータの種類などの問題になる。となれば、コスト面も含めてSybase IQのようなソフトウェアソリューションが有利になることは明らか。アプライアンスは今後、特定の分析用途に限定して使うためのエンジンという役割になっていくのではないか」(早川氏)
一方で、アプライアンス製品はさまざまな自動化機能やサポートサービスによって、ユーザーの運用管理作業を大幅に効率化できるメリットがあるとも言われている。しかしこの点についても、早川氏は異を唱える。
「運用を製品やベンダーに任せるということは、自社の分析ノウハウを流出させてしまうことにも等しい。また、テンプレートを使って簡単に導入できることをうたうベンダーもあるが、他社と同じテンプレートを使って分析を行うことで本当に他社との差別化を図れるかは疑問だ。そもそも競合他社との差別化戦略を練り、競争に勝つためにDWHを導入して分析を行うのが目的のはずなのに、これでは本末転倒だ」
それに対してSybase IQのユーザーは、分析ノウハウを絶対に社外には出さないという。もちろん技術的な問い合わせや製品仕様についての要求は寄せられるが、ユーザーが具体的にどのようなデータ構造で、どのような分析を行っているかという情報は、たとえ相手がサイベースであっても出してこないという。
「こうした点において、Sybase IQのユーザーに多く含まれるeコマース系の企業は、分析を行うことの意義をよく理解している。独自の分析ノウハウを編み出して競合他社との差別化に成功したユーザー企業は、順調に業績を伸ばしている」(早川氏)
ビッグデータのプラットフォームとして機能するSybase IQ
ちなみに、Sybase IQの最新バージョン「Sybase IQ 15.3」は、旧バージョンと比べ数々の機能強化が施されているが、特にビッグデータに関連する機能が大幅に強化されているという。
例えば、近年ビッグデータのソリューションとして取り沙汰されることが多いHadoopとの連係インタフェースも備えている。それも、ただ単にHDFSノードからデータをロードするだけではなく、Sybase IQを通じてHadoopのデータをデータベース上で操作することもできるという。
「ユーザー定義関数を作成すれば、それを使ってHadoopのファイルを開いてデータを取得し、Sybase IQ上のテーブルとJoinするようなSQL文を記述することもできる」(尾山氏)
ただし同社では、「ビッグデータ=Hadoop」という昨今よく目にする図式には懐疑的だという。尾山氏は次のように話す。
「Hadoopとの連係うんぬん以前に、ビッグデータで今起こっていることというのは、これまでは企業の経営層や上層部に限定されていたデータ分析を活用した意思決定の場が、現場レベルにまで広がってきているということ。そうなると、DWHを利用するユーザー数が大幅に増えてくるので、DWHには高い拡張性と同時実行性が求められる。Sybase IQはまさにこの2点において優れたデータベース製品だ」
Sybase IQ 15.3では「PlexQ Distributed Query Platform」というアーキテクチャを新たに採用している。これは、いわゆるMPP(超並列分散処理)型のアーキテクチャで、複数のノードにクエリを分散して並列に高速実行できる。さらに、同時使用ユーザー数が増加したとしても、ノードを追加することでシームレスにシステムをスケールアウトさせることができる。
また、分析処理を外部のアプリケーションやツールで行うのではなく、データベースソフトウェア内に処理を実装して高速に実行する「インデータベース分析」と呼ばれる機能も備える。さらには、構造化されたテーブルデータのみならず、テキストデータなどの非構造化データを内部に格納することもできる。
そして、2012年リリース予定のSybase IQ 15.4では、スカラ関数や集合関数のAPIがさらに強化され、これらを使用するユーザー定義関数がPlexQ Distributed Query Platformの分散環境で並列実行できるようになるという。
「ビッグデータの考え方は、構造化されているか否かにかかわらず、あらゆる種類のデータを分析対象にするところにある。Sybase IQはテーブルデータと併せてバイナリーデータも格納して、両者を統合できるようになっている。このようにSybase IQは、ビッグデータのプラットフォームとしての役割を果たすための機能を十分に備えた製品になっている」(尾山氏)
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