回復の兆しが見え始めたERP市場。注目すべきは海外での事業活動が活発な中堅企業の動向だ。アイ・ティ・アールの浅利氏にユーザー企業のトレンドやERPベンダーの思惑を聞いた。
「ERPに対して、はっきりと旺盛な投資意欲があるのは中堅企業だ。特に売り上げ規模が100億~500億円、500億~1000億円の2つのレンジに入っている中堅企業が顕著だ」
アイ・ティ・アールのプリンシパル・アナリスト 浅利浩一氏は国内のERP市場をこう分析する。中堅企業でも特に海外での売上比率が5割を超えるようなグローバル企業でERPへの投資が活発だという。システムのグローバル化は大企業でも顕著だが、中堅企業は大企業に比べてITインフラが身軽なため、投資行動が見えやすい。では、このようなシステムのグローバル化を目指す企業が今後、ERPを選ぶ上で考えるべきことは何なのか。
アイ・ティ・アールの調査によると、国内のERP市場は2011年度に全ての企業規模で出荷金額が前年度を超える予測だ。2010年度に3.6%成長だった100億~500億円未満の企業では2011年度は5.7%成長を予測。2010年度にマイナスに落ち込んだ500~1000億円未満の企業では2011年度は3.9%成長と回復する見通しだ。全企業規模での平均成長率は7.8%の予測で、2010年度の4.7%を上回る。
2010年度 | 2011年度(予測値) | |||
---|---|---|---|---|
金額 | 前年比 | 金額 | 前年比 | |
5000億円以上 | 44億5700万円 | 103.7% | 51億6600万円 | 115.9% |
1000億~5000億円未満 | 89億7400万円 | 97.9% | 102億3200万円 | 114.0% |
500億~1000億円未満 | 146億5900万円 | 98.7% | 152億3000万円 | 103.9% |
100億~500億円未満 | 204億9200万円 | 103.6% | 216億5700万円 | 105.7% |
10億~100億円未満 | 161億6800万円 | 111.0% | 174億5500万円 | 108.0% |
10億円未満 | 91億4000万円 | 113.8% | 100億3100万円 | 109.7% |
売り上げなし | 23億1000万円 | 111.5% | 23億7900万円 | 103.0% |
合計 | 762億円 | 104.7% | 821億5000万円 | 107.8% |
出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2012」 |
2011年度における中堅企業のERP投資の伸びについて浅利氏は「リプレースが増えたため」と指摘する。「中堅企業ではERPをできるだけ長く使い切る方針が多い」(同氏)。リプレースにも2つのパターンがあり、1つは8~10年使ったERPを刷新すること。この場合、オープン系システムを使ったERPが多い。もう1つはオフコンやメインフレームなど、場合によっては塩漬けされていたシステムをグローバル化の要請で刷新するパターンだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
勤怠の正確な記録と管理を実現する勤怠管理システムだが、導入によって具体的にどんな成果が得られるのかイメージしづらい企業も多いだろう。そこで、勤怠管理システムを導入した10社の事例を基に、導入で得られた成果を詳しく紹介する。
効果的な勤怠管理を実現するために、勤怠管理システムを導入する企業が増えている。しかし「操作が複雑で定着しない」「申請の承認作業の負担が大きい」といった声も聞こえてくる。勤怠管理を簡単かつ正確に行うためにはどうすればよいか。
従来、受注業務は、電話やFAX、訪問営業などによって対応してきた。しかし、それにより、聞き間違いや入力ミスが発生するなど非効率な状況にあるという。そこで、このような課題を解消するために受注業務のDX化を実現する方法を解説する。
社会の急速なデジタル化を受け、DXプロジェクトに注力してきたNTTデータグループ。その中核となったのがSaaSによる巨大な基幹システムの開発だ。3年余りの期間を経て稼働を開始したシステムはどのような狙いで開発されたのか。
CXとEXの双方の高度化を実現すべく変革に挑み続けるNTTグループ。「自らのDX」を進める第一弾としてグループ社員17万人が利用する決裁システムを刷新し、大きな成果を挙げている。同社の取り組みを詳しく紹介する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。