OpenFlowをはじめ、ネットワーク構築の自由度を高めたり、運用を効率化する技術が相次ぎ登場している。こうした最新技術の理解に役立つ3つのホワイトペーパーを紹介する。
ネットワーク構築や運用に新風を吹き込むべく、新たな概念や技術が相次ぎ登場している。ソフトウェアでネットワークを制御する概念である「Software Defined Network(SDN)」、SDNを実現する要素技術の「OpenFlow」は、その代表例だ。OpenFlow/SDNは、ネットワークの構築や構成変更、運用管理の負荷軽減に役立つ。
本稿は、TechTargetジャパンに登録されたホワイトペーパーの中から、OpenFlow/SDNに加え、両者と比較されることが多い「イーサネットファブリック」の導入効果について解説した3本を紹介する。
ネットワークのレガシー化を食い止める、「SDN」の本質とは?
SDNは、従来はスイッチ内に併存していたデータ伝送機能と経路制御機能を分離してネットワークインフラを抽象化する概念だ。ソフトウェアによる経路制御やネットワーク機能の追加などを可能にし、ネットワーク構成や運用の負荷を軽減すると期待されている。後述するOpenFlowは、SDNを具現化する技術の1つだ。
本ホワイトペーパーは、従来のネットワークが持つ課題を整理しつつ、SDNの現状について解説する。仮想化技術の浸透で、構成の自由度向上やリソースのプール化が進んだサーバやストレージと比べて、ネットワークは進化が遅れていると本ホワイトペーパーは指摘。こうした状況を変える手段として、SDNを位置付ける。
この他、本ホワイトペーパーは、SDNの想定用途も紹介。DDoS攻撃の防止やデータセンター間の負荷分散などにもSDNが役立つという。
次世代ネットワーク制御技術「OpenFlow」を利用したクラウド時代のネットワーク
データ転送と経路制御の分離という、SDNの要件を具現化する有力な技術がOpenFlowである。米VMwareが2012年7月、OpenFlow専業ベンダーである米Nicira Networksの買収を発表するなど、OpenFlowを取り巻く動きは活発化している。
OpenFlow製品の導入に踏み切った国内企業や組織も既に存在する。本ホワイトペーパーは、OpenFlow製品をいち早く企業導入した日本通運の事例を紹介。日本通運は、OpenFlow製品の導入により、サーバ増設時に発生するネットワーク構成や設定の変更作業を自動化した。従来のネットワークでは、1回当たり数百万円程度が掛かっていた変更コストを実質無料化できたという。
仮想化/クラウドでなぜネットワークは変わらなければならないのか? ~担当者のための成熟度診断テスト付き
OpenFlow/SDNと同じく、ベンダー各社が現在注力する技術がイーサネットファブリックである。本ホワイトペーパーは、イーサネットファブリックの技術的な概要や解決できる業務課題などをまとめている。詳細はホワイトペーパーに譲るが、イーサネットファブリックの主な導入効果として、ファブリックを構成するスイッチ全体を1つのスイッチとして管理することによる運用負荷軽減、ネットワークの構成や変更の自由度向上などを挙げる。
イーサネットファブリックの導入効果は、OpenFlow/SDNと競合する部分が少なくない。ただし、両者は共存可能な技術だ。例えば、ソフトウェアスイッチである仮想スイッチをOpenFlowプロトコルで制御するオーバーレイ型のOpenFlowネットワークの場合、経路制御の効率化にOpenFlow、物理ネットワークの構成や運用の効率化にイーサネットファブリックを生かすことができる。
本ホワイトペーパーはこの他、自社システムがイーサネットファブリックを導入すべき状態に達しているかどうかを把握できるチェックリスト、イーサネットファブリックの想定事例なども掲載している。
今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、ネットワーク管理製品導入時に参考となる技術文書や製品資料、事例紹介などを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。
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