vCenter SSO周りで変化
小規模環境では注意すべし、VMware vSphere 5.5導入のポイント
「VMware vSphere 5.5」を導入した使用感をリポートする。vSphere 5.1に比べて利用しやすくなった点、設計上の注意しなければならない点をまとめた。
前回「これだけ読めばOK! VMware vSphere 5.5の注目すべき変更ポイント」では、「VMware vSphere 5.5」(以下、vSphere 5.5)の機能強化ポイントを解説した。今回は、実際にvSphere 5.5を導入してみての使用感をリポートする。
インストールするための前提条件
「これだけ読めばOK! VMware vSphere 5.5の注目すべき変更ポイント」で解説したように、vSphere 5.5では認証系を受け持つ「vCenter Single Sign On」(vCenter SSO)周りに大幅な変更が加わっている。この仕様変更によるものか、vSphere 5.5の管理サーバである「vCenter Server 5.5」のWindows版をインストールするための条件が、以下のように変わった。
Active Directoryが必須である
- vCenter Server 5.5はActive Directory(AD)のドメインコントローラーにはインストールできない
- vCenter Serverのインストール先となるWindows ServerがADのドメインに参加している必要がある
インストール先がDNSに登録されており、名前解決ができる必要がある
インストール先の搭載メモリが4Gバイト以上
これらの条件はインストーラー起動時にチェックされるが、ADなどは当然、設計段階で検討しておかなければならない。
また、vCenter Server 5.5はADのドメインコントローラーにはインストールできないので、Windows Serverが最低でも2台必要になる。大規模なシステムであればよいが、vSphere ESXiをインストールした仮想ホストが数台程度の環境においてADは必須である。さらに、vCenter Server用にホストサーバが別に必要というのはコスト的にもあまり優しくない。
しかし、残念ながらvSphere 5.5の機能をフル活用するには新しいvCenter Serverと「vSphere Web Client」を利用する必要がある。そのため、小規模システムを設計する際には工夫が必要だろう。場合によっては、制限が少なくなった仮想アプライアンス版の「vCenter Server Appliance」(vCSA)を利用した方が得かもしれない。
管理者の権限に注意
vCenter Server 5.5をインストールすると、認証系はvCenter SSOに統合される。これは既知の問題(検証はvCenter SSO 5.5.0aで実施)としてリリースノートに記載されているが、初期状態ではvCenter SSOに登録されている「administrator@vsphere.local」というユーザーしかvCenter Serverに対する管理者権限を持っていない。そのため、vCenter ServerをインストールしたサーバのローカルAdministratorユーザー、あるいはADのAdministratorユーザーのいずれでログインしても、vCenter Serverの操作は一切行えない。
この問題を回避するために、インストール後に以下の手順が必要となる。
- vSphere Web Clientの認証画面に接続する
- vSphere SSOの管理権限を持つユーザー「administrator@vsphere.local」で認証を行う
- インベントリから[vCenter]を選択する
- インベントリリストから[vCenter Server]を選択する
- 登録されているvCenter Serverを選択する
- [管理]タブを選択する
- [権限]タブを選択する
- [+]ボタンをクリックする
- [追加]ボタンをクリックして、管理権限を与えたいユーザーを追加する
- [システム管理者]など、割り当てたいロールを選択する
administrator@vsphere.localのパスワードは、vCenter ServerのSimple Install時に、「vCenter Single Sign-On情報」としてパスワードが要求される画面で入力したものになる。インストール時に入力したパスワードを忘れないようにしよう。
また、デフォルトではvCenter ServerをインストールしたローカルOSのユーザー認証を利用している。ADのユーザーを使ってvCenter Serverの管理認証を行いたい場合には、あらかじめ以下の手順で「アイデンティティソース」を構成しておく必要がある。
- vSphere Web Clientのホーム画面にアクセスする
- [管理]を選択する
- [シングルサインオン]→[構成]を選択する
- [アイデンティティソース]タブを選択する
- [+]ボタンをクリックする
- アイデンティティソースのタイプから[Active Directory(統合Windows認証)]を選択する
- [OK]ボタンをクリックする
これらの問題は今後のバージョンアップで解決されるかもしれない。だが、vSphere 5.5環境を管理する上で、vCenter SSOの仕組みを理解することは重要なポイントとなる。上記手順の設定画面は確認しておくとよいだろう。
このように入口部分での面倒な問題が残っているものの、vCenter SSO 5.5は外部データベースが不要になったため、全体的な構造がすっきりとした印象を受ける。また、インストール時のパスワード設定が1回だけになったため、つまずきやすい部分が減った。vSphere 5.1よりはインストールがしやすくなったといえる。
小規模環境の設計には注意が必要
vSphere 5.5でも、従来のWindows GUI管理ツールであるvSphere Clientは提供されている。しかし、vSphere 5.5で新たに提供される機能を利用するには、vSphere Web Clientが必須である。具体的には、vSphere Clientで作成できる仮想マシンの種類はバージョン8で、vSphere 5.5の新機能を利用するにはバージョン10の仮想マシンが必要となる。
さらに、vSphere Web Clientの利用には必ずvCenter Serverが必要となる。そのため、前述のADを利用する必要がある要件も含めて、vSphere 5.5による小規模環境の構成はやや組みにくい状況になっている。
今後、ヴイエムウェアの製品戦略としては、以下のようなすみ分けとなっていくだろう。
| 大規模 | vCloud Suite |
|---|---|
| 中規模 | vSphere Standard~Enterprise Plus + vCenter Server Foundation/Standard |
| 小規模 | vSphere Essentials/Essentials Plus + vCenter Server Appliance |
中規模環境以上は従来通りで分かりやすいが、小規模環境では要件に注意した上で設計する必要があることを繰り返し注意点として挙げておく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
6
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー