クラウドによる医療情報の外部保管が注目される中、その普及に影響を与えるのが情報を保護するための法的な権利だ。医療クラウドの普及を研究している法律の専門家が医療クラウドに関する法制度の現状や今後を占う。
私たちは、健康なとき(より正確には自分が健康だと思い込んでいるとき)は、自身の医療情報について無頓着なものだ。典型的には、以前医師にかかったときの検査結果やCT画像、カルテなどの情報が挙げられるだろう。
その取り扱いについては、多くの人が情報の「Confidentiality(機密性)」が保護されることを願う程度なのかもしれない。一方、行政に携わる人々や法律家、医療機関の管理に携わる人々は、医療情報の機密性を守ることにひたすら精力を費やすことになるようだ。また、医療従事者の多くが医療情報の機密性だけでなく、「Availability(可用性)」と「Integrity(完全性)」に対して常に深い注意を払わなければならない。
情報セキュリティの基本的な要素といえば、先に挙げた“Confidentiality”“Integrity”“Availability”の「CIA」が挙げられる。残念なことに、私たちの多くは必ずしも、これら全てをバランスよく高い水準で達成しようとしているわけではない。私たちはその立場や置かれている状況によって、どれか1つだけ、あるいは2つまでの要素に気を取られてしまい、残る要素をないがしろにしがちなのだ。
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