セキュリティの脅威に備えよ
ワケあって脱Windows XPできないユーザーが最低でもすべきこと
Microsoftの公式サポートが終了したWindows XP。入れ替えが進まないユーザーも少なくないが、延長サポートを選択するにしても、幾つかの課題があることは知っておいた方がいいだろう。
全てのユーザーは、プラットフォームが安定して稼働し、求められる機能を提供し、欠陥が明らかになればすぐに修正を受けられることを保証するような一貫性とサポートを要求する。米Microsoftの「Windows XP」は、このお題目をそのままに体現するものであった。2002年に誕生して以来、Windows XPは定期的にパッチ適用とセキュリティアップデートを受けながら、非常に要件の高いデータセンターでも幅広く支持されてきた。
だが、2014年4月8日の公式サポート終了に伴い、多くの企業はWindows XPを使い続けるか、入れ替えるか選択を迫られている。本稿では、Windows XPの延長サポートに関して急を要する幾つかの問題について検討する。
最大の懸念事項とは何か?
Windows XPのサポートと開発終了については、幾つかの深刻な問題がある。その中でも最大の問題はセキュリティだ。セキュリティをめぐる状況は常に動き続ける。ハッカーや攻撃者は、機密データを盗んだり、業務を妨害したり、企業に対して危害を加える目的で、新たな脆弱性を常に探している。
開発から12年が経過し、修正プログラムやパッチ、サービスパックがリリースされ尽くしてなお、Windows XPでは、あらゆる脆弱性やマルウェアに対応するためのセキュリティアップデートを定期的に受けることができた。
Microsoftによる正式なサポートの終了は、もうこれ以上セキュリティパッチやアップデートの提供が期待できないことを意味する。最終的には、今後企てられるであろう攻撃に対してWindows XPが脆弱になる可能性がある。そのような混乱がすぐに起こるかどうかは分からない。だが、セキュリティリスクが高まっているにもかかわらず、企業がWindows XPを使い続けるという判断を下すことは、コンプライアンス違反となる恐れさえある。
Windows XPのサポート終了が影響するのは、セキュリティとコンプライアンスだけではない。サードパーティー製のアプリケーションやデバイスにも影響する。例えば、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)は、Windows XP以降のOSを支持して、Windows XP対応製品の開発/販売/インストール/サポートを停止する可能性がある。この状況がミッションクリティカルなアプリケーションで発生した場合、企業は、アプリケーションを新しいバージョンに移行できず、新機能を使用できなくなる恐れがある。
新しいデバイスについても同じことが起こり得る。例えば、Windows XPと互換性のあるドライバーが提供されず、Windows XPベースのPCで新しいデバイスを使用することができないか、新しいデバイスが完全に機能しなくなる可能性がある。
公式サポートの代替はあるのか
MicrosoftがWindows XPのサポートを終了したという事実を受け入れることが重要だ。今後、パッチやアップデートで新しいコードが提供されることはない。遅かれ早かれ、誰もがWindows XPから別のOSに移行することになる。だが、しばらくの間はWindows XPを使い続けることを望む企業もあるだろう。
例えば、何千台ものPOSシステムでWindows XPを使用している企業があるとしよう。このような企業が、同じシステムを運用し続けるというだけの理由でWindows XPを「Windows 7」や「Windows 8.1」に移行することを正当化するのは難しいかもしれない。同様に、3年という厳密な更新サイクルを守っている企業では、Windows XPのサポート終了のタイミングに合わせて、更新サイクルを早めることはできないかもしれない。このような企業は、サポートの溝を埋めるための代替サービスを探すことになるだろう。少なくとも一時的には、そのような対応が必要だ。
今後もWindows XPの延長サポートを提供する再販業者などは存在するだろう。例えば、Windows XPのセットアップ、使用、トラブルシューティングなどに対応するためのサポートだ。MicrosoftがWindows XPサポートのニーズに対応しなくなっても、Windows XPに関する膨大な量の専門知識は依然として利用可能だ。このような専門知識を持っている業者と既に関係を築いている企業は、契約している業者に確認すれば、Windows XPシステムの使用を継続できる。
セキュリティが最大の懸念事項であることに変わりはない。そのため、サードパーティー製のツールやサービスを使用して、セキュリティ体制を強化する企業もあるだろう。例えば、米Symantec、露Kaspersky、米McAfeeなどの企業が、さまざまなエンタープライズクラスのマルウェア対策ツールを提供している。また、仏Arkoonの「StormShield ExtendedXP」セキュリティエージェントなどの管理製品もある。この製品は各Windows XPシステムにインストールすることが可能だ。
XPを使い続けるためにIT部門ができること
Windows XPでやり過ごす方法を検討しているIT管理者にとって、組織を保護するのに役立つ幾つかの方法がある。まず手始めに、これまで見落としてきたり適用を遅らせてきた重要なアップデートを取得して評価し、導入しよう。新しいアップデートは提供されないが、既存のアップデートは、しばらくの間は利用できるはずだ。
Windows XPデバイスを最新の状態にすることは、保護されていない脆弱性が見つかるまでの間にできる最大の時間稼ぎになる。また、「Microsoft Office」など他のアプリケーションをWindows XPと互換性のある最新バージョンにアップデートすることもお勧めする。アップデートの適用を遅らせたり、Windows XPの最新のアップデートを評価していない場合には、この作業が特に重要になる。
「Intenert Explorer」(以下、IE)は攻撃対象になることが多い。古いIE 8を使用している場合は、Windows XPをサポートしている米Googleの「Chrome」や米Mozillaの「Firefox」の最新バージョンに切り替えることをお勧めする。どちらのブラウザも、少なくとも今後1年はアップデートが提供されるはずだ。
Windows XPシステムを精査することもお勧めする。システムの運用に必須でないソフトウェアは無効にするか、削除したい。例えば、米Oracleの「Java」や米Adobeの「Acrobat」が必要な場合はアップデートし、必要でない場合は無効にするかアンインストールすることをお勧めする。インストールされているソフトウェアの数を減らすことは、システムの攻撃ポイント削減につながる。
もう1つの方法はサードパーティー製のマルウェア対策ツールとファイアウォールツールをインストールして使用することだ。このようなツールを使用すると、Microsoftが今後アップデートを提供しないという状況下でデスクトップPCのセキュリティを強化できる。ツールを選ぶときには、定評があり、頻繁に更新され、使いやすく、セキュリティに関する事象が検出された場合には総合的な警告やリポートを提供するものを選ぶのがポイントだ。
システムの運用に使うアカウントの数は可能な限り制限することをお勧めする。多くのシステムでは管理者アカウントを使用している。これは管理者がシステムを操作するデータセンターでは理にかなっている。だが、攻撃者が管理者レベルの特権を悪用できる状況を招く恐れもある。
新しいソフトウェアをインストールできない制限付きユーザーアカウントを作成して使用すれば、攻撃者がもたらす潜在的な損害を回避できることもあるだろう。通常の操作では制限付きアカウントを使用し、管理者アカウントレベルのアクセスが必要なときに管理者アカウントに切り替えて使用すればいいだけのことだ。
Windows XPのサポート終了により、多くの企業のデータセンターは、今後別のOSを使用する計画を立てる必要がある。新しいOSへの移行は避けられないかもしれない。だが、一時的にでもWindows XPの使用を継続せざるを得ない場合は、そのリスクを理解し、代替のWindows XP延長サポートを探し、潜在的な脆弱性と攻撃からWindows XPシステムとビジネスを保護するための事前措置を講じることが肝要だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
3
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
4
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
5
身代金支払いは逆効果 情シスのためのランサムウェア対策ガイド2026
-
6
多要素認証導入済みでもランサムウェア被害に 復旧費用は平均2億7000万円
-
7
DXを阻む「動くだけ」のレガシーシステムに決別するための生成AI活用術
-
8
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
9
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
-
10
自社を守る「SCS評価制度」活用法 7割の企業が取引先起点の情報漏えいに直面
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー