「Internet Explorer」とはどこが違う?
Microsoftの新ブラウザ「Edge」を先取りレビュー、“最強ブラウザ”の片りんを見た
「Internet Explorer」の後継として開発が進められるWebブラウザ「Microsoft Edge」。その開発版を試用すると、荒削りながらも“特別な存在”となり得る可能性が感じ取れる。
米Microsoftの次世代Webブラウザ「Microsoft Edge」(開発版の名称は「Project Spartan」。本稿ではMicrosoft Edgeに統一)はまだ未完成であり、動かなくて当然の段階だ。まだバグだらけな上、端末を1台、次期OS「Windows 10」のプレビュー版のいけにえにする勇気のある人しか試せない。
そのWindows 10自体、テスト用に使ったタブレット「Dell Venue 8 Pro」ではほとんど動かず、Microsoft Edgeについても初期ビルドを見てみる以上のことは期待できなかった(Dell Venue 8 Proについては「徹底レビュー: Officeも付いて3万円台、格安Windows 8.1タブレット『Dell Venue 8 Pro』の性能は?」を参照)。それでも、このプレビューからは「Google Chrome」「Mozilla Firefox」「Safari」など他の人気ブラウザのライバルとしてのMicrosoft Edgeの可能性がうかがえる。
「軽量ブラウザ」なMicrosoft Edge
まず重要なのは、Microsoft Edgeが軽量ブラウザだということだ。Microsoftによると、Microsoft Edgeは最新のWeb標準を念頭に作られ、拡張機能を提供する一方、「ActiveX」など古い規格はサポートしなくなる。また、起動と終了が速くなるとのことだが、不安定なテスト用タブレットでは違いを確かめることはできなかった。
「タスクマネージャー」で調べたところ、競合ブラウザと比べてメモリへの負荷は低かった。タブを1つだけ開いているとき、Microsoft Edgeのメモリ消費量は10.7Mバイト。一方、最新ビルドのChromeは27.2Mバイト、Firefoxは140.2Mバイトだった。
現状のMicrosoft Edgeは未完成ビルドなので、うのみにはできないが、JavaScriptベンチマークテストツールの「SunSpider」でも、Chromeの922.8ミリ秒とFirefoxの750.2ミリ秒を破る594.4ミリ秒だった(ミリ秒単位の測定値が低いほど、パフォーマンスが高い)。
統合機能
今回のプレビューでは、Microsoftのパーソナルアシスタント機能「Cortana」やノートアプリ「OneNote」との密接な連係が可能になった他、Webページ登録アプリ「リーディングリスト」の機能が統合されている。
Cortanaは最終リリースでよりアクティブになると見られ、さまざまな便利機能(ユーザーが住所を強調表示すると地図アプリの「Bing Maps」と連係するなどの機能)が提供されることになりそうだ。ただし現時点では、マウスの右クリックから「Ask Cortana」(Cortanaに質問する)を選ぶと、Androidのパーソナルアシスタント機能である「Google Now」のように情報ボックスに関連情報を表示したり、アドレスバーに天気情報を表示したりする程度に限られている。
現行OS「Windows 8.1」のリーディングリストアプリから派生したリーディングモードはさらに便利で、タブレットユーザーは特に重宝しそうだ。この機能は、記事から広告やナビゲーションを全部削除して、テキストと画像だけにしてくれる。Dell Venue 8 Proのような小ぶりのタブレットにはうれしい機能だ。ただし、本稿執筆時点では多ページ記事では正常に機能しない。フルリリースで修正されることを願う。
タブレットユーザーには、Microsoft Edgeに組み込まれるマークアップ機能も便利だ。ツールバーをクリックするだけで、自由形式の強調表示やペン、テキストボックス、選択枠ツールを使用できる。あまりにも単純で便利な機能なので、米Googleや米Appleが先に考え付かなかったのが不思議なほどだ。他にも保存オプションが追加されているが、使おうとすると必ずクラッシュするので、どんな機能なのかも確認できなかった。
リーディングリストとOneNoteにオンラインコンテンツを追加する共有ボタンも追加された。この共有ボタンがOneNoteに対して具体的にどのような動きをするのか、こちらもMicrosoft Edgeが必ずクラッシュするので確認できなかった。スクリーンショットを取得するのか。そうだとしたら、画面の一部が効率的にカットされるのか、あるいは選択項目や特定部分のみ取得するのか。それともWebページ全体を取得するのか――。
この共有機能はメールにも拡張されるものだと想像できる(最新のテスト用ビルドでは、デフォルトのメールクライアントとカレンダーが消えていた)。対象はオフィススイート「Microsoft Office」のアプリ(中でも「Microsoft PowerPoint」)にも広げる可能性がある。さらには、人気サービスをオンライングループウェア「Office 365」に取り入れる最近のMicrosoftの傾向から推測すると、恐らく「Dropbox」も対象となるかもしれない。実際のところは、次のアップデートを待たないと分からない。
マークアップアイコンのすぐそばにあるお気に入りメニューには、ブックマークや閲覧履歴、ダウンロードショートカットの他、リーディングリストが含まれる。標準のリーディングリストアプリや「Pocket」のように、記事をオフラインで閲覧できるよう保存できるといいのだが、この機能も今回のテストビルドでは動作しておらず、確認できなかった。
簡素な外観
Microsoft Edgeの外観はあっさりしている。角張っていて、グレーの濃淡のみで色がない。全てがすっきりしており、タブのすぐ下に「戻る」「進む」「最新の情報に更新」のアイコンが表示され、その横に多機能なアドレスバーがある。リーディングモード、お気に入り、ブックマーク、マークアップ、簡単な設定のアイコンは右端に並んでいる。
明らかに不足している機能としては、Internet Explorerの「InPrivateブラウズ」のような匿名閲覧機能、デフォルト検索を「Bing」以外に変更するオプション、タブをピン留めする機能、何らかのチャットクライアントとの連係が挙げられる。MicrosoftがChromeとFirefoxのユーザーを取り込むことを望むなら、最低限この4機能が必要だ。ただし、その望みも実現不可能ではない。
未完成の状態でも、Microsoft Edgeは次世代Webブラウザの可能性を見せている。最先端のパフォーマンスを確保できれば、特別な存在になることも可能だろう。
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