アジャイル導入のメリットと、導入を阻む組織内の壁Computer Weekly製品導入ガイド

IT部門が事業部門のプロジェクトを後押しするには、組織に変化が必要だ。これはアジャイル導入のチャンスだが、アジャイルは万能薬でもなければ、導入を阻む課題もある。

2015年09月01日 08時00分 公開
[Computer Weekly]
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 デジタル化はITの価値を変化させ得る。だがITにはその準備ができているのか。新製品やサービスで事業価値が約束されることもある。しかし大抵は単純に、それまであったものを少しだけ改善するにとどまる。IT部門は一方で事業部に対してITインフラの責任を持つと同時に、テクノロジーに支えられた事業のサポートを要求される。

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 Webの人気が出始めたころ、あらゆる企業がWebにプレゼンスを持ちたがった。今はあらゆる企業がデジタル化の一端を担いたいと考えている。ITには事業価値をもたらすことはできないかもしれないが、そうしたプロジェクトを促進させることはできる。

かかわり方のルールを変える

 CIC(最高情報責任者)は、どうすれば日々システムを運用しながらデジタル化による事業の前進を後押しできるのか。McKinseyの報告書「Competing in a digital world: Four lessons from the software industry」(デジタル界の競争:ソフトウェア業界から学ぶ4つの教訓)の中で、コンサルタントのヒューゴ・サラジンとジョンソン・サイキスの両氏は、かつてはIT部門と事業部門は別々の機能として運営される傾向にあり、一方の規律を身に着けた人材がもう一方に踏み込むのは難しかったと指摘する。同報告書は、企業がソフトウェア企業のようになるべき理由を解説。IT部門はもっと事業に精通する必要があり、事業部のリーダーはソフトウェアに精通する必要があると提言する。

 「中核技術だけでなく、回転が速く接続性の高い、デジタル化された市場の動的な仕組みを理解するために、管理上層部を含めた全レベルで基本的なソフトウェア能力が要求される」(同報告書より)

 従来型組織構造の企業のIT部門は業務慣行に起因する制約を受けている。もし、デジタル化によって企業がソフトウェア会社のようになることを強いられるのであれば、IT部門も順応しなければならない。調査会社Gartnerの予想では、2015年までに事業の変化速度は、ITがその変化に対応できるペースをしのぐようになる。結果としてIT部門は、デジタル事業やモノのインターネットで生成される大量のデータに対応できるアジャイルインフラに切り替えるため、「バイモーダル」なITアーキテクチャを採用する必要が生じる。

 バイモーダルはGartnerの用語で、長期プロジェクトのうち、中核的なITインフラ関連の作業など、急ぐ必要のある作業を分割することを意味する。複雑なプロジェクトは分割して管理しやすくする必要がある。各部分が目に見える事業上のメリットを実現できることが理想だ。

 Quocircaのアナリスト、クライブ・ロングボトム氏は、全てを小さな断片に分割し、各部分を組み合わせる形で管理することが、プロジェクト管理成功の鍵を握る特徴だと指摘する。

 ロングボトム氏は言う。「だが多くの場合、対応がなされるのは全体としてのプロジェクトのみであり、プロジェクトのプロセスを構成する作業はほとんど管理されていない。この傾向が特に顕著な公共セクターでは、多数のプロジェクトが計画され、数年がかりで運用される。時がたつに従ってユーザーのニーズが変化しても、プロジェクトが目指す最終結果が変わることはなく、変化が積み重なるにつれ、望ましい結果が訪れることはなさそうに見える」

 アジャイル化推進の概念は、数年前から人気が高まってきた。VMworld Europeでは、VMwareのパット・ゲルシンガーCEOがエンタープライズにおけるアジャイルの必要性を説いている。ゲルシンガー氏によれば、仮想化によってデータセンターにおけるハードウェアの制約は取り除かれ、企業のダイナミック化とアジャイル化が推進される。

 多くの場合、アジャイルは企業が変化に対する反応性を高める手段と見なされる。プロジェクトのための公式スペック作成に何カ月も何年も費やす代わりに、ITは軽量化を実現する。オンライン人材紹介会社のReed.co.ukは、このやり方で決済システムにビットコインを導入した。同社のマーク・リドリーCTO(最高技術責任者)はチームに対し、Googleのような方式でアイデアを練るよう促した。

アジャイルでできること

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