2015年11月10日 15時00分 UPDATE
特集/連載

パブリッククラウドが正解の企業と不正解の企業「オンプレミス環境をAWSへ」って、本当にお得なの? (2/2)

[Beth Pariseau,TechTarget]

 世界の航空データを収集し分析しているグローバルデータサービス会社の米FlightStatsでは、AWSをハイブリッド活用して、データを低価格で顧客に提供している。

 「われわれはデータを入手し、演算処理して、当社プライベートクラウドのデータセンターで利用できるようにしている。自前のデータセンターの方がパフォーマンス当たりのコストを抑えられるからだ」とFlightStatsのプラットフォームエンジニアリング担当副社長、アレックス・ウィザースプーン氏は語る。

 最も重要なのは、AWSでインスタンスを常時稼働させないことだという。「皆が苦労しているのは、AWSの料金モデルにそぐわないワークロードを配置しているからだ。そのせいで、かなりの使用料を支払う羽目になっている」と同氏は続ける。

 同氏によれば、多くのIT部門、とりわけ大企業のIT部門は、大量のシングルサーバワークロードを従来のIT環境からAWSに移行して実行しようとしている。

 「これでは1つのインスタンスに月額で数百から数千ドルは掛かってしまう。こうした大規模な従来型データベースの実行には、非常に多くのメモリを必要とするからだ。AWSで100Gバイトのメモリが必要となるかが判断の基準となる」とウィザースプーン氏は語る。

 AWS向けのマネージドホスティングサービスを提供する米Datapipeのパブリッククラウド担当副社長マシュー・スコット氏によれば、企業は大抵、プロジェクトを通じて常にROI(投資利益率)を評価している。

 「レガシーアプリケーションをあらためて見直し、考えてみるといい。クラウドでの稼働を想定していないアプリケーションをクラウドに対応させるために数百万ドルを投じることが、本当に理にかなっているのかということだ。当社は実際、多くの大規模企業との間でまずこの点を話し合っている」とスコット氏は語る。

 中には、こうした投資をいとわない企業もあるだろうが、投資済みのハードウェアの償却がまだ完了していないのになぜアプリケーションを作り直す必要があるのかと疑問に思う企業もあるだろうとスコット氏は指摘する。

 オンプレミスのハードウェア使用に関して契約上の義務がある場合には、この疑問が特に大きくなる。

 「ユーザー企業の中には、ハードウェア購入の大型契約がまだ残っていて、契約により向こう何年間は所定の台数のサーバを購入することになっているところもある。そうしたハードウェアの使用をやめてクラウドに移行するとなれば、株価にも影響が及ぶはずだ。事業報告書に記載しなければならないので、一目瞭然となる」とDatapipeの自動化およびDevOps担当ディレクター、パトリック・マクローリー氏は語る。

 Datapipeの顧客で、ゴルフ用品やゴルフウェアのメーカーである米TaylorMade-Adidas Golf Companyは、AWSを使って米OracleのERPシステムのディザスタリカバリ対策をしているが、本番サーバをAWSで実行する必要性はまだ感じていないという。

 「パブリッククラウドは安いが、そこまで安価ではない」と同社のインフラエンジニアリング担当マネジャー、クリストファー・スミス氏は語る。「大量のストレージを使用し、データ入出力も多ければ、自社でサーバルームを保守する年間コストを簡単に上回ってしまう。『コストを大幅に削減できるからクラウドを利用しよう』というわけにはそう簡単にはいかない」

 同社はディザスタリカバリの目的でOracle ERPシステムのバックアップをクラウドに置いているが、残りのインフラは依然としてオンプレミスにある。スミス氏はもっと多くのアプリケーションのディザスタリカバリをクラウドで実現する可能性を排除したわけではない。だが、Oracleデータベースに大きく依存している同社の本番稼働中アプリケーションを、AWSで問題なく稼働できるか確信を持てなかったという。

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