徹底解説:Hyper-Vの災害復旧(DR)機能仮想化とディザスタリカバリ

Hyper-Vはバージョンアップを重ねてVMware vSphereとそん色ないレベルになった。バックアップやスナップショット、ライブマイグレーション、VMレプリケーションなど、各種機能を詳しく解説する。

2015年12月25日 08時00分 公開
[Chris EvansComputer Weekly]

 仮想化環境の災害復旧(DR)を考えた場合、米Microsoftの「Hyper-V」には仮想マシン(VM)を保護する目的で利用できるオプションが多数用意されている。

 Hyper-Vは、「Windows Server 2008/2008 R2/2012/2012 R2」環境において、米Intelのx86-64(x64)プラットフォーム上でVMを稼働させるためのネイティブなハイパーバイザーとして機能する。

 Hyper-Vの稼働形態は2種類ある。1つは、Windows Serverのいずれかのバージョンで1つの役割を担う場合。もう1つは、機能を限定したWindows Serverの無償バージョンで、「Hyper-V Server」として稼働する場合だ。

 MicrosoftはWindows Serverをバージョンアップするたびに、Hyper-Vの機能全般を改良したり、データ保護機能を加えたりするなどの充実を図ってきた。最新のリリースでは、米VMwareの「VMware vSphere」とそん色ないほどのレベルになった。

 Hyper-Vは、任意のWindows Server 2008/2012インスタンスから直接管理することもできるが、以下に説明するHyper-Vの各機能は、Windows Serverに搭載された集中管理ツールでサポートされている。現時点での最新リリースであるWindows Server 2012 R2では、このツールの名称は「Microsoft System Center Virtual Machine Manager」(SCVMM)となっている。

Hyper-Vのバックアップ機能

 Hyper-VのゲストであるVMのバックアップは、 「ボリューム・シャドウ・コピー・サービス」(VSS)を使って管理する。VSS、特にHyper-V VSSライタは、ハイパーバイザー上またはゲスト内で(統合サービスを使って)VMのスナップショットとバックアップを取得している間、入出力(I/O)を一時停止する機能を提供する。

 Hyper-VおよびVSSと統合して利用できるサードパーティーのバックアップシステムも市場に多数出回っている。市販のバックアップシステムの中には、VM内からアプリケーションのデータを復旧させる機能を搭載したものもある。独立系のソフトウェアサプライヤーのバックアップ製品を使いたくない場合は、Microsoftが提供している無料のツール「Windows Serverバックアップ」もある。基本的なバックアップやリカバリは、これで実行できる。

 ただしここで重要なポイントとして、Hyper-Vが提供するVSSのサポートは、ゲストOSがMicrosoft製品の場合に限定されることを指摘しておく。非MicrosoftのゲストOSも利用する場合は、Hyper-Vの効果に制限が加わるということだ。

 また、Hyper-VのスナップショットとVSSのスナップショットをきちんと区別することも重要だ。Hyper-Vのスナップショットは、稼働中のVMのスナップショットイメージを取得する機能を提供する。この場合、アップデートはセカンダリファイル(.avhd)にリダイレクトされるので、必要に応じてVMを以前の状態に戻すことができる。Hyper-Vのスナップショットには、ローカルのリカバリポイントが含まれる。従って、例えば“OSのアップグレードに失敗したので以前の状態に戻したい”ときには有効だが、単純なバックアップやDRの目的には適さない。

VMのマイグレーション

 Hyper-Vは、Windows Server 2008 R2で導入された「ライブマイグレーション」機能によって、VMのマイグレーション(移行)をサポートしている。




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