深刻なトラブルを引き起こす可能性も
ストレージ階層化を活用するために知っておくべき5つのポイント
データの使用頻度や用途に応じて適切なストレージメディアにデータを配置するストレージ階層化。コストとパフォーマンスを両立する機能だが、その特性を理解しておかないとトラブルが生じる可能性がある。
ストレージソリューションを正しく実装するには、常に容量、パフォーマンス、コストのバランスを取る必要がある。リソースに制限がなければ、可能な限り高速なメディアに全てのデータを配置するだろう。今ならNVDIMM(不揮発性DIMM)またはNANDフラッシュを使用することになる。
だが、そんなぜいたくが許されるのは資金豊富な組織に限られる。実際には、容量とパフォーマンスのニーズをうまく両立させるために、ストレージ階層化のような手法が必要だ。
階層化すれば、待ち時間やスループットなどのパフォーマンス要件に応じて、ほぼ適切といえる種類のストレージにデータを配置できるようになる。例えば、アクセス頻度が低いデータは大容量のSATAドライブに配置し、高いパフォーマンスが求められるトランザクションデータベースはNANDフラッシュに配置する。
1 階層化とキャッシュは別物
階層化に踏み込む前に、キャッシュと階層化の違いを示しておくべきだろう。サプライヤーの階層化を利用する場合は、この差を理解しておくことが重要だ。
階層化とは、永続化したデータのコピーを1つ用意し、それを複数種類のストレージ間で移動させることだ。これに対してキャッシュとは、データの一時的なコピーをパフォーマンスの高いストレージに置くことだ。どちらも目的はパフォーマンスを向上することだが、キャッシュの場合はストレージアレイに容量を追加する必要はない。ただし、キャッシュにはコスト面のオーバーヘッドが生じる。
階層化のプロセスは長い年月をかけて進化を重ね、成熟してきた。初期の実装は、LUN(Logical Unit Number:論理ユニット番号)全体(ボリューム全体)を別の階層に配置することを基礎とし、通常はフラッシュではなく複数レベルのHDDを備えたシステムに組み込まれていた。どちらかといえば静的なこのアプローチはコストを幾分低減するが、データのアクティビティーレベルが変化するとデータの移動に問題が生じる。つまり、ボリューム全体を別のストレージ層に移さなくてはならず、移動のための空き容量が必要になる。
ストレージアレイ間でのデータ移動には多大なコストが掛かる。ホスト要求に使用するI/Oが移動によって妨げられたり、移動中にデータへのアクセスができなくなったりする恐れもある。
階層化が次の段階に進むと、サブボリューム単位に細分化するアプローチが取られるようになる。この方式は、各LUNを小さな単位に分け、複数階層のストレージ(フラッシュも含む)に割り当てる。この単位は、ブロックやページなど、サプライヤーによって呼び方が異なる。このブロックレベルのアプローチによって柔軟性が大きく向上し、高価なストレージが最適なデータには、そうしたストレージを割り当てることも可能になった。以前はデータベース全体をLUNと共に移動する必要があったが、データベースの中でも使用頻度の高い部分だけをフラッシュに移動することもできる。
自動ストレージ階層化は、データの配置プロセスを一歩進め、各ストレージ層へのデータブロックの配置に関する決定を管理する。こうしたプロセスの自動化は大規模ストレージアレイにとっては自然な進化といえる。アクティブなデータを全て監視することは、システム管理者には負担が大き過ぎる。
2 階層化との相性が良いフラッシュストレージ
フラッシュストレージは特に階層化ソリューションに適している。これは一般に、I/Oアクティビティーがデータの各ボリュームに分散されるためだ。通常、アプリケーション内で行われるI/Oの大半に関係するデータは少量だ。この考え方はボリュームレベルにも当てはまる。
この現象を「パレートの法則」(通称:「80対20の法則」)と呼ぶ。つまり、少量の高価なリソース(例えばフラッシュ)を、大半のI/Oワークロードで使用されるデータに割り当てることができる。当然ながら、フラッシュストレージと従来のストレージの厳密な比率は、アプリケーションのデータを分析した結果によって決まる。
階層化はフラッシュとHDDの組み合わせで行われると決まっているわけではない。NANDフラッシュ市場は多様化が始まっており、耐久性、容量、パフォーマンス、コストの要件を満たすさまざまな製品に枝分かれしている。
ストレージアレイのサプライヤーが、同じ装置内で複数層のフラッシュを使用するソリューションを提供する日もそう遠くない。例えば、書き込み操作が多いデータは耐久性の高いフラッシュに配置し、残りのデータは低コストの3D NANDフラッシュやTLCフラッシュに置くこともできる。
3 サプライヤーによって異なる階層化の実装
サプライヤー固有の階層化実装について詳しく見てみる場合、考慮すべき点が2つある。
続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
2
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
6
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
7
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
10
HDDではもう限界? AIのGPU待機時間を解消する「大容量SSD」の条件
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー