ThinkPad X1 Tabletに付属しているLenovoの「ThinkPad Pen Pro」は握りやすく、ディスプレイ上ではペン先が滑らかに走る。だが、鉛筆で紙に描くときのように、もう少し抵抗がある方が好みのユーザーもいることだろう。ホバー操作はディスプレイから1.5センチほど離れていても有効で、これは十分過ぎる距離である。ThinkPad Pen Proではワコムテクノロジーが採用されており、2048段階の圧力を感知し、プログラム可能なボタンが2つ搭載されている。また単6電池(同梱)で動作する。ThinkPad X1 TabletにはThinkPad Pen Proを格納するために使える2つの選択肢が用意されている。1つは本体のUSB端子に装着するホルダーで、もう1つはキーボードに装着するホルダーだ。
これは、薄型軽量デバイスで利用できるペンの格納方法としては優秀といえる。Surface Pro 4では本体側面にマグネット式着脱部が配置されているが、Type Coverのペンホルダーの方がしっかりとペンを固定できる。
ペンのテスト結果から判断すると、ThinkPad X1 Tabletは直線をゆっくりと引く作業にやや難がある。だが、これはSurface Pro 4でも見られた問題だ。また、素早く線を描くと左側が抜け落ちる。VAIO Zフリップモデルでペンを使用したときの方が全体的には良好な結果が得られた。
ThinkPadに拡張機器があることは周知の事実だ。また、ThinkPad X1 Tabletのスマートコネクタを活用する独自のモジュール式アクセサリーがある。Lenovoの「ThinkPad X1 Tabletプロダクティビティーモジュール」は、149ドル(2万5000円)で販売されており、フルサイズHDMI端子、USB 3.0端子、Lenovoの「OneLink+」接続ドックコネクタが搭載され、5時間分のバッテリーが増強される。Leonovoの「ThinkPad X1 Tablet 3Dイメージングモジュール」は、背面にIntelの「RealSense R200」3Dカメラが追加されることにより、ThinkPad X1 Tabletを3Dスキャナーとして使用できるようになる。また、「ThinkPad X1 Tabletプレゼンターモジュール」にはフルサイズHDMI端子が搭載され、2メートルの距離から60型のディスプレイを投影できるピコプロジェクターが組み込まれている。
Lenovoによれば、ThinkPad X1 Tabletには「エンタープライズクラスのサービス性」があり、バッテリー、WWANカード、SSDを自分で交換または修理できるという。ThinkPadシリーズはビジネスユーザーや法人顧客を対象にしているため、こうした事への対応は造作もない。また、薄型の2-in-1デバイスを新たに導入することを考えている企業ではこれが決め手になる可能性もある。この価格帯のデバイスでは修理に特別なサービス契約や特殊ツールが必要になる場合がどれほど多いかを考えれば、この点は注目に値するだろう。
Lenovoは直販サイトで販売中のThinkPad製品に対して頻繁な値引きを実施している。また、小売業者もさまざまなセールを展開している。それを考えると、ThinkPad製品の正確な価格を特定することは難しい。本稿執筆時点で、Intelの「Core m3-6Y30MB」プロセッサ、4GBのLPDDR3 SDRAM 1866MHz、Microsoftの「Windows 10 Home」(64ビット)、128GBのSSD(SATA3)を搭載し、ThinkPad Pen Proが付属した構成のThinkPad X1 Tabletの値引きが適用されて809.10ドルで販売されている。ただし、通常価格は899ドル(注2)だ。これにキーボードを追加すると、値引き後の価格は935.10ドルで、通常価格は1039ドルになる(注3)。
※注2:日本では15万6500円。Lenovo直販モデルで構成がほぼ一致する「ThinkPad X1 Tablet:エントリーパッケージ」からキーボードを外した価格。
※注3:日本では17万5500円。Lenovo直販モデルで構成が一致する「ThinkPad X1 Tablet:エントリーパッケージ」の価格。
同等スペックのSurface Pro 4の価格は899ドル(12万4800円〜)。Surface Pro 4 Type Coverを追加すると総額1029ドル(14万1200円〜)になる。それから、指紋センサー付きのType Coverを追加した場合は総額1059ドル(14万5280円〜)だ。Microsoftも時々値引きを実施している。
Galaxy TabPro Sもまた同様のスペックにキーボードカバーが付属している。Samsungによれば別売りのアクティブペンが間もなく発売されるという。Galaxy TabPro SはUSB Type-C端子が1つしか搭載されていないが、価格は900ドル(日本発売未定)だ。
ThinkPad X1 TabletとSurface Pro 4の間には軽微な違いがあるものの、どちらも同じくらい優れていると感じるユーザーが大半だろう。どちらの構造と入力端子の選択肢も似通っている。何事にも当てはまるアドバイスだが、全ての機能が同等なら安い方を選ぶべきだ。また、935.10ドルのThinkPad X1 Tabletは900ドルのGalaxy TabPro Sよりもお買い得だといえる。ThinkPad X1 Tabletの方が端子が多く、キーボードの快適さでも上回る。ただし、Galaxy TabPro Sが堅実なデバイスであることを考えると、通常価格の1039ドル(17万5500円)でThinkPad X1 Tabletを購入する場合と比較すると何とも言いがたい。
ThinkPad X1 Tabletは、Surface Pro 4のThinkPadエディションと呼ばれてもおかしくない製品だ。Surface Pro 4で好評を博している全ての機能を取り入れた上で、ThinkPadの特長を加えている。
ThinkPad X1 Tabletには好ましい点が多い。構造品質は卓越しており、USB Type-Cを含む各種端子のサポート状況については競合製品が太刀打ちできないほどだ。また、ThinkPad X1 Tabletのモバイルキーボードは、これまでTechTargetがテストしてきた中でも優れた部類に入る。ThinkPadのファンならTrackPointが搭載されている点も気に入るだろう。それから、モジュール式の拡張機器が用意されているという点でもThinkPad X1 Tabletは他のデバイスの追随を許していない。
バッテリーの持続時間がもっと長く、キックスタンドがもっとしっかり固定されれば、ThinkPad X1 Tabletは無敵の2-in-1デバイスになっていたことだろう。
それでもThinkPad X1 Tabletは2-in-1デバイスとして非常に優秀だ。高性能なWindows 10モバイルデバイスを求めているなら、ThinkPad X1 Tabletを検討するのが賢明といえる。
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