ベテランユーザーたちが満足できるモデルをなかなか投入できなかったLenovoのThinkPadシリーズ。しかし、IFA 2015で登場したフリックタイプの2-in-1はそんな“口うるさい”ベテランまでが高く評価しているという。
「ThinkPad」という言葉を聞くと、外出先で作業するために設計したビジネス向けのかさばるノートPCを連想するかもしれない。だが、Lenovoが2015年11月に投入した「ThinkPad Yoga 260」は、薄くて軽い2-in-1タイプで、仕事に必要な周辺機器やインタフェースがほぼ全てそろっている。ThinkPad Yoga 260は、Appleの12型ディスプレイ搭載「MacBook」に対抗するためにLenovoが出した製品と考える関係者も多い。
多くの個人ユーザーは、ThinkPad Yoga 260がクラムシェルスタイルのノートPCとタブレットのギャップを埋めようとしている単なるビジネス向けPCと評価しているかもしれない。だが、ThinkPad Yoga 260は、そのビジネス向け2-in-1 PCにユーザーが求める役割を意外なほど的確に果たしている。ディスプレイのサイズは12.5型で、最小構成価格もMacBookシリーズと同程度に設定している。OSにMicrosoftの「Windows 10」を搭載したハイスペックのノートPCだが、タブレットとしても使える。加えて、メモを取ったり、CADや画像編集アプリケーションに直接書き込めたりするアクティブペンも付属する。
端的に言うならば、ThinkPad Yoga 260は、仕事に必要な耐久性とインタフェースを備え、可能な限り軽量にしたデバイスだ。このレビューでは、個人向けのホビーユースではなく、ビジネス利用を想定した2-in-1 PCとしてThinkPad Yoga 260が「見掛け倒しか否か」を検証する。
ThinkPad Yoga 260が「ThinkPad X1 Carbon」シリーズの設計要素を幾つか採用しているのは明らかだ。IBMのPC事業をLenovoが買い取ったときに多くの関係者は不安を感じたが、今や、その関係者の多くがThinkPadブランドのLenovo製品にも期待するようになってきた。その期待にThinkPad Yoga 260も十分応えており、ThinkPadの重要なコンセプトといえる「ビジネス仕様の設計と外出先での信頼性」を備えている。
ThinkPad Yoga 260の本体サイズは309.9(幅)×220(奥行き)×17.8(高さ)ミリとThinkPad X1 Carbonより小型になり、重さも1.36キロと軽くなった。ThinkPad Yoga 260の筐体は、つや消しを施した黒のカーボンファイバー製だ。これは人工衛星で採用するグレードと同等で、アルミ合金よりも衝撃の吸収性が高いだけでなく、同じ厚さのアルミと比べて30%も軽量だ。
ディスプレイカバーは、筐体内部に備えた構造「ロールゲージ」とスクエアピンのステンレスヒンジで支えている。キーボードユニットは排水穴を設けた構造なので、少量の液体をこぼしたり、短時間なら外で雨に降られたりしても安心だ。
多くのThinkPadシリーズと同様に、ThinkPad Yoga 260も、さまざまな環境危険災害についてMIL-STD(米国防省ミル規格)-810Gのテストを実施している。具体的には、湿気、高温と低温、砂への接触、高振動、機械的衝撃などだ。また、衛生状態が悪いユーザーを想定した抗菌テストも行っている。堅牢なThinkPadは、Lenovoが開発したハニカム構造のロールゲージを本体内部に組み込むことで強度を確保している。
薄型で軽量なノートPCは、そのデザインと引き換えに、搭載するインタフェースの種類と数を少なくしているモデルが多い。だが、ThinkPad Yoga 260は、旧式の分厚いノートPCが備える平均的な数よりも多くのインタフェースを搭載している。
左側面には、AC電源アダプターのジャック、Lenovoの「OneLink」ドッキングステーション専用コネクタ、Mini DisplayPortとUSB 3.0、そして、スマートカードリーダーを搭載している。右側面には電源ボタン、音量ボタン、「ThinkPad Pen Pro」を格納して充電するホルダー、ヘッドセット端子、microSDスロット、SIMスロット、USB 3.0、Type-AのHDMI、Kensingtonセキュリティロックスロットを備える。有線LANに使うイーサネットがないが、有線LANが必要な場合のためにLenovoではUSB 3.0に接続するイーサネット・アダプタも用意している。
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