米国の長期研究で判明
医療IT業界で拡大する男女間の賃金格差、肩書や条件が同じでなぜ?
米国では、女性の医療IT担当者の賃金が同職の男性より少ない。過去10年で、この賃金格差は拡大している。HIMSS(病院情報管理システム学会)が行った男女間給与格差に関する長期研究の結果を紹介する。
HIMSS(病院情報管理システム学会)が行った男女間給与格差に関する長期研究では、2006年における女性の医療IT担当者に支払われる給与の平均額は、同職の男性の80.7%だったという。だが2015年には、その額が78%にまで落ち込んでいる。
さらに、在職期間(HIMSSの調査では「従業員が現在の地位にとどまる期間」と定義)による賃金格差も2006年から広がる一方だ。2006年の調査では、在職期間が1年未満という就職して間もない女性の医療IT担当者の給与は、同条件の男性の83.2%。15年以上勤続している女性の医療IT担当者の給与額は同条件の男性の77.7%だった。そして2015年では、勤続年数の長い医療IT職員における男女の賃金格差は縮まったものの、新人に関する格差はさらに広がる結果となっている。新人の女性の医療IT担当者には、同条件の男性の72.1%の給与しか支払われていない。その一方、15年以上勤続している女性職員の給与は、同程度の期間勤続している男性職員の85.9%となっている。
これに加えて、同じ肩書であっても男女間に賃金格差が見られた。なお、管理職レベルでは賃金格差は縮小していたという。
- 女性の医療ITマネジャーに支払われる給与は、2006年時点で男性の医療ITマネジャーの91.7%だったが、2015年には92.4%になっている
- 非管理職の女性職員の給与は、2006年時点で同じ立場の男性職員の給与の93.7%だったが、2015年には91.7%になっている
- 女性のシニア/上級マネジャーの給与は、2006年時点で同職の男性の給与の89.4%だったが、2015年には85.5%になっている
医療ITベンダーで働く女性の医療IT担当者の間では、男女の賃金格差は2006年から縮まっている。2006年、女性の医療IT担当者の給与は同じ立場の男性が得る給与の87.9%だったのに対し、2015年では91.0%になっている。また、病院に勤める女性の医療IT担当者の賃金格差は2006年と2015年ともに77.5%で横ばいだが、他の組織では格差が拡大している。例えば、介護施設などで働く医療IT担当者の女性の賃金は、2006年時点では男性の77.4%だったが、2015年には73.1%になっている。他にも医療情報交換組織などの健康管理機構で働く女性職員の賃金は、2006年時点では男性の80.6%だったが、2015年には78.7%になっている。
実質賃金に関しては、2015年にHIMSSが行った給与調査によって、女性の医療IT従事者の年収が10万762ドル、同職の男性の場合は12万6262ドルであることが明らかになった。この差は、正規雇用された男女に関する米国全体における賃金格差を浮き彫りにしている。
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