各地の気象観測所から自動的にデータを収集するため、英気象庁はGoogleのクラウドからMicrosoft Azureに移行した。「利用できるクラウドは全て比較した」移行担当者がAzureを選んだ理由とは何か。
英気象庁(Met Office)は、IoT(モノのインターネット)のサポートを目指し、「Microsoft Azure」を利用して気象情報サイト「Weather Observations Website」(WOW)を開発し直した。
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Met OfficeがRoyal Meteorological Societyと英教育省のサポートを受けてWOWを立ち上げたのは2011年6月のことだ。WOWの目的は、英国全土の気象観測員を支援することだった。
WOWは当初Googleのクラウドサービスを使用していたが、これをAzureに移行して、リアルタイムデータを提供するセンサー数の増加に対応できるようにした。
Met OfficeのCIO技術顧問を務めるマーク・バーゴイン氏は、「WOWは本来、独自に気象観測所を所有する気象愛好家に協力を求めることを目的としていた」と言う。
Met Officeが2011年に構築したGoogleベースのWOWは、自動気象観測所だけを対象とするものだった。だが、最新バージョンのWOWは新たにインターネット接続型センサーを考慮に入れる必要が生じたとバーゴイン氏は話す。
「Met Officeにとって重要なのは、スマートメーターのようなIoTだ。センサーが増えれば、収集できるデータも増える。新たな装置が登場すればそれを簡単に追加できるようにして、もっと手軽に拡張できるようにしたいと考えていた」と同氏は話す。
WOWは、気象愛好家が運用する自動気象観測所からデータを収集する。こうしたインターネット接続型のセンサーにはコストが数百ポンドのものから千ポンドを超えるものまでさまざまな種類がある。各観測所からMet Officeに提供されるのは、風、気温、雨を計測するセンサーで構成され、定期更新される密度の高いネットワークだ。これにより、各地の気象に関する最新情報をリアルタイムに取得する。
「Met Officeは、上空から見下ろす衛星と気象観測所のコアネットワークを頼りにしている。だが、気象学者にとっては、非常に密度の高いセンサーのネットワークを提供するWOWが役に立つ」と同氏は言う。
気象愛好家の気象観測所はインターネットに接続し、HTTPを使ってWOWと通信する。各観測所が収集したデータは自動的にアップロードされる。
WOWは英国のプロジェクトと考えられているが、気象愛好家のコミュニティーは全世界に広がっており、世界中の気象観測所から送られてくるデータを記録する。
「WOWは、気象の観測場所、詳細レベル、報告の頻度を問わず、地球全体の現在の気象観測を共有するプラットフォームになる」とバーゴイン氏は言う。
Met Officeは、新しいWOWに最適なテクノロジーの決定を責任者に委ねた。「利用できるクラウドは全て比較した」と、Met Officeで観測部門のプロジェクト管理者を務めるマリア・ドロシー氏は言う。
そして、MicrosoftパートナーのNew Signatureと協力して、AzureにWOWを実装することを選んだ。
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