国内外で実績を積んだ医療機器プログラム
1秒が生死を分ける救急医療の現場にITを、画像診断アプリ「Join」が目指す医療IT構想(1/2 ページ)
薬事法改正により、単体プログラムだけで「医療機器」と認められるようになった。2016年4月1日に「医療機器プログラム」として保険適用を開始した第1号のアプリが「Join」だ。誕生の道のりを開発者に聞いた。
2016年4月1日に「医療機器プログラム」として保険適用が始まったスマートデバイス向けアプリケーションがある。アルムが開発した「Join」だ。Joinは医療関係者間コミュニケーションのための汎用(はんよう)画像診断装置用プログラムで、2014年11月に施行した医薬品医療機器等法(注1)によって「医療機器」として認められたソフトウェアだ。
注1:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称(旧「薬事法」)。
Joinが利用されている地域は日本国内にとどまらない。海外においても日本発の医療機器プログラムとしてプレゼンスを発揮しており、日本の医療慣行にとらわれない機能強化や開発が進んでいる。
アルムの代表取締役社長 坂野哲平氏に、Joinが保険適用となるまでの道のりと、これからの医療ITの展望について話を聞いた。
医療機器プログラムとして初の保険適用となるJoin
2013年11月27日に公布し、翌2014年11月25日に施行した「薬事法等の一部を改正する法律」において、「診断などに用いる単体プログラムについて、医療機器としての製造販売の承認・認証などの対象とする」と定められ、日本国内においても医療機器プログラム(単体プログラム)への保険適用の道が開けることになった。従来の薬事法では、日本国内で「医療機器」と見なされるソフトウェアを開発・販売するためには、ハードウェアにインストールした状態でないと認可が下りなかったのだ。
この厚生労働省の方針転換に対していち早く対応したのがアルムだ。ソフトウェアベンチャー企業の同社は「各国の3%の医療費削減」「毎年100万人の命を救うこと」をミッションに掲げ、日本国内にとどまらず日本発世界標準となる「医療ITのビジネスモデルの確立」を目標として、坂野氏が立ち上げた。
Joinは、薬事法改正の決定以降に開発されたソフトウェアではない。アルムが東京慈恵会医科大学脳神経外科の医師たちとの協力の下、画像情報共有を核に医療関係者間コミュニケーションの改善を図るために開発したスマートデバイス用アプリだ。
医療機器プログラムの保険適用申請を開始した時点で、東京慈恵会医科附属大学を含めて国内の40施設以上の医療施設で既にJoinを試験的に運用していた。徳島大学病院や国立循環器病研究センターなど約20施設への導入も決定していた。国内だけでなく、ブラジル、台湾、スイスなど10病院での導入と運用も進んでいた。このようにJoinは、日本での保険適用の前から、国内外で実績を積み上げていた。
参考
薬事法等の一部を改正する法律について(厚生労働省)
Joinの機能とメリット
Joinの主な機能は以下の2つだ(図1)。
- グループチャット機能:医療関係者同士がコミュニケーションする
- 医用画像の表示機能:院内システムと連係し、スマートフォンやタブレットを用いて、医師がX線、MRI(磁気共鳴画像法)、超音波、CT(コンピュータ断層撮影)などの診断装置から得た医用画像を病院の内外どこからでも閲覧できるようにする
グループチャット機能は、「LINE」やFacebookの「Messenger」のようなインタフェースを持ち、医用画像の情報もチャットのやりとりの中で共有できる。
医用画像の表示機能は、DICOM(医用画像の標準フォーマット)ビュワーを利用しており、拡大や縮小、3次元(3D)画像の回転、階調変更などもスマートデバイスで操作することが可能だ。筆者も実際に東京慈恵会医科大学で使用している画像を閲覧し、LTE回線経由でもストレスを感じない反応速度で操作している様子を確認した。
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