交通費・経費管理ツール(TEM:Travel and Expense Management)を利用すれば、経費申請と支払いの手順を自動化できる。企業にとっては給与に次いで大きなコストについて、会社の経費やポリシー順守状況を可視化できる。多くの組織が手作業あるいはスプレッドシートを使った手順をTEM専用に設計された現代的なシステムに置き換えようとしているのは、TEMがユーザーに優しいシステムをつくり出し、会計責任者の報告とコンプライアンスのニーズを満たしてくれるからだ。
多くの組織はこう問い掛ける。「システムはこの分野の専業プロバイダーから調達すべきか」。もし出張予約や出張前の許可申請機能を求めるのであれば、専門業者のシステムが最適である公算が非常に高い。だが経費管理システムのみを求める場合、状況によって答えは変わる。
一般的に、プロバイダーがモバイルユーザー向けのインタフェースといった共通の機能を提供し、経費申請から承認、支払いに至る基本的な流れを処理できる。それぞれのシステム間の違いは、経費管理機能、ユーザーエクスペリエンス、報告および顧客のバックオフィスへの対応の洗練度にある。
ほとんどのTEMアプリケーションはこの2年の間に設計され、経費申請、承認、処理という基本プロセス以上の機能を提供している。デスクトップ版のアプリケーションに付随するモバイルアプリケーションは、過去においては差別化の要因だったが、今ではほとんどのプロバイダーが標準で提供するようになった。
現在の主な差別化要因は、モバイルおよびデスクトップ版のエクスペリエンスや、今後のイノベーションへのロードマップ、付加価値サービス、そのままの状態で中核的なバックオフィスシステムと密接に統合できるサプライヤーの能力にある。もしユーザーのための豊富な機能(経費申請や承認)を求めるのなら、現在の最善のシステムはSaaSで提供される傾向にある。SaaSを真剣に検討すべき理由は幾つかある。
まず第1に、TEMをコモディティプロセスと見なし、特注のオンプレミスシステムを社内に導入して運用する価値はないと見なす場合。
第2に、複数のERP環境があって(例えばSAP、Oracle、Infor、Microsoftといった複数のERPが全社的に使われているような場合)、TEMのために一貫したグローバルなプロセスとシステムが望ましいと考える場合、SaaSは優れた選択肢となる。そうした状況は買収合併によって成長してきた企業によく見られる。クラウドベースのTEMアプリケーションを利用すれば、異なるERPや会計アプリケーション間の橋渡しができる。
SaaSが想定される第3のケースは、同じERPの複数のインスタンスやバージョンが全社的に使われていながら、近い将来、共通のプラットフォーム(この場合は同じリリースバージョン)に移行する計画がない場合。これは重要だ。ERP TEMモジュールを効果的に利用すれば、全ユーザーがソフトウェアの同じインスタンスやバージョンを使う前提が整う。
異なるリリースバージョンを横断する統合が可能な場合もあるが、それを導入して日常的に管理する煩雑さは、簡単には対処できない。
さらには、レガシーアプリケーション(例えば「Lotus Notes」ベースのクライアントやサーバと「Microsoft Excel」ベースのシステムなど)を使っていて、ユーザーの不満、行動に結び付く情報の欠如、あるいは処理量の激増に耐えられないといった理由でできるだけ早く入れ替える必要があるケースも考えられる。
SaaS TEMは以下のような組織にも適している。
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インテグレーションやシステム間でデータをやりとりする方法はプロバイダーによって異なる。だが一般的な原則として、「フィードイン」(ユーザーのプロフィールとコスト中心情報)と「フィードアウト」(会計プラットフォームと自社が選択した支払いの仕組みへ)が必要とされる。
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