徹底的な事前準備を
「Office 365」移行は“無邪気”ではいられない、意外に多いコスト要素を分析する
「Office 365」への移行で考えるべきなのはハードウェアとライセンスのコストだけではない。生産性とインフラ整備コストも考慮する必要があると専門家は話す。
Microsoftがクラウドファースト戦略を進める中、「Office 365」も快調にユーザー数を拡大している。クラウドアクセスセキュリティブローカーのSkyhigh Networksの推計によると、Office 365を利用する企業従業員の割合は2015年には7%未満だったが、2016年には22%以上に急増したという。
今後もますます拡大していくことが予想されるが、現時点ではまだ、大半のビジネスユーザーは従来型のオンプレミスアプリを利用している。Microsoftとしては大多数のユーザーがサブスクリプションライセンスに移行することを目指しているのだろうが、多くの企業にとって移行への道のりはまだ遠い。
Office 365への移行を検討しているIT担当者は、ビジネスソフトウェアの総所有コスト(TCO)としてハードウェアとソフトウェアライセンス以外にも気を付けなければならない。コスト効率を最大限に高め、なるべくストレスを抑えるには、さまざまなコスト要素を検討する必要がある。
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Office 365 vs. G Suite
Rackspaceで電子メール&アプリポートフォリオ担当プロダクトマーケティングマネジャーを務めるミシェル・ラミレス氏は、最近のブログ記事で次のように述べた。「TCOを計算するとき、ハードウェアとソフトウェアライセンスのコストのことしか考えていない企業が非常に多い。ハードウェアとオンプレミスライセンスのコストをSoftware as a Service(SaaS)の推定月額料金と比較するだけで終わっている」
移行が生産性に及ぼす影響
Office 365の移行プロセスは簡単ではなく、大規模な移行を阻む要因になっている。Vision Solutionsの調査によると、1年以内に移行に失敗したIT担当者の割合は44%、それが原因でシステムダウンタイムを経験した担当者は43%に上るという。十分な移行計画を立てておかないと、こうした失敗が隠れた実質的コストの発生にもつながる。
Binary Treeでグローバルマーケティングディレクターを務めるエイミーケリー・ペトルツェッラ氏は次のように述べている。「データの移行は簡単でも、ユーザーの移行は意外と難しい。Office 365への移行には膨大な手作業が必要になる。そこで遅延やダウンタイム、スケジュールの延長、予算超過が発生することが多い」
ペトルツェッラ氏は、5000人規模の移行ともなればあっという間にコストが膨れ上がると警告する。Binary Treeの推計によると、その規模で1時間のダウンタイムが発生した場合の損失の平均は11万6000ドル以上だという。不測の事態によって1週間の遅延が発生すれば、復旧に2~4万ドルのコストが掛かる。
インフラ増強コスト
ローカルで提供していたオンプレミスシステムのパフォーマンスが期待値の基準になるということも忘れてはならない。Office 365への移行中と移行後に生産性が低下してかえってコスト増を招くことがないように、クラウド型ソフトウェアサービスが十分なパフォーマンスを発揮できるだけのインフラの整備が必要になる。こうしたインフラ増強とインターネットサービスのコストも移行のTCOに影響する。
Emmanuel Technology Consultingのオーナー、ウィリアム・ウォーレン氏は、帯域幅不足や従量制帯域幅も見落としがちな部分だと指摘する。
「クラウド接続型アプリを使うには高速の大きな帯域幅が必要だ。また、クラウドへ移行するならインターネット接続のトラブルに備えて複数の接続を確保しておく必要がある」
混合環境に伴う問題
多くの企業は大規模な移行に慎重だ。SaaSモデルには段階的に移行することにし、しばらくはオンプレミスとクラウド型を共存させるという長期戦略を考えている企業も多いだろう。だが、その場合も技術サポートとライセンスの両面でコスト増につながりやすい。
「システムを部分的に移行して混合環境を存続させる場合、ITチームは新旧両方のシステムに精通する必要がある。ところが、そのような人材はあまり社内にいない」(ペトルツェッラ氏)
そこで新しい人材を雇うか、移行が完了するまでの長期間、サービスプロバイダーの支援を受けなければならなくなる。
ライセンスの問題もある。Microsoftは何年か前、段階的にユーザーをOffice 365に移行する企業向けに無期限ライセンスを提供するクライアントアクセスライセンス(CAL)Bridgeという制度を導入した。ところが1年半ほど前、MicrosoftはCAL Bridgeをユーザー単位のサブスクリプションモデルに変更した。ユーザー数の新規追加は無期限ライセンスでは行えず、Office 365で行う必要がある。
準備は最善の防御
専門家たちは、Office 365への移行をコスト効率よく成功させる鍵は事前の準備にあると口をそろえる。
「どのタイプの移行であれ、事前にハードウェアとソフトウェアとワークフローを徹底的に評価しておく必要がある。それを怠っていきなり移行に踏み切ると、遅延や諸問題、コスト超過が発生する」とウォーレン氏は警告する。
同氏はまた、コンサルタントやサービスプロバイダーと契約する場合、クラウドの宣伝につられず、あらゆる選択肢を比較検討すべきだと語った。
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