スマホとPCの垣根をなくす「デジタルワークスペース」は“世界を変える技術”なのか?単なる「デスクトップ仮想化」との違いは(1/2 ページ)

「デジタルワークスペース」は、エンドユーザーが1つの場所から多様なアプリケーションやデータを利用できるようにする技術だ。理論的には素晴らしいが、ベンダーロックインなどの問題に対する懸念もある。

2017年04月30日 08時00分 公開
[Steve DamadeoTechTarget]
画像 デジタルワークスペースの利点と課題は

 何十年もの間、「状況を一変させてパラダイムシフトを起こす見込みがある」といわれるトレンドや技術が、次から次へと登場してきた。本稿執筆時点で話題を呼んでいる「デジタルワークスペース」もそうだ。

 VMwareとCitrix Systemsの製品がけん引するデジタルワークスペースは、エンドユーザーにとっては自分のアプリケーションやデータを利用するための“ワンストップショップ”になるだけでなく、IT部門にとってはこれら全てを管理できる手段になり得る。このような一括管理の概念は新しいものではないが、これまではバックエンドのインフラ管理に限定したものが大半だった。

 問題は、デジタルワークスペースを構成する製品群が多くの要素で構成されており、それほど単純なものではないことだ。IT管理者にとっては、こうした製品を詳しく調査し、“都市伝説”を解明するような厳しい視点で評価することが重要になる。

デジタルワークスペースの役割

 モバイルデバイスの存在を前提とした「モバイルファースト」の世界では、従来のクライアントPCに匹敵するか、それを上回る頻度でスマートフォンやタブレットを使用することが当然の状況になる。残念ながら企業の中には、レガシーアプリケーションなど、まだモバイルデバイスから利用できないアプリケーションが存在する。

 こうした問題を解決するために、デジタルワークスペースが役に立つ。デジタルワークスペースは、仮想デスクトップ/仮想アプリケーションからネイティブアプリケーション、Webアプリケーションに至るまで、エンドユーザーがさまざまなリソースに1つの場所からアクセスできるようにする。

 デジタルワークスペースは、クラウドの利用を前提とした「クラウドファースト」の戦略実現に当たって、素晴らしい役目を果たす。

 クライアントPCのOSイメージ作成とマルウェア対策に関する身震いするような難題を乗り切ってきた管理者なら、デスクトップ仮想化の主要技術である「仮想デスクトップインフラ」(VDI)の価値をよく知っているだろう。デジタルワークスペースでは、VDIが大きな力を発揮する。VDIは、管理者が仮想デスクトップとデータを管理する単一の場所を提供するからだ。管理者はエンドユーザーの居場所やデバイスに関係なく、エンドユーザーに仮想デスクトップを提供できるようになる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2 次のページへ

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news023.jpg

世界のモバイルアプリ市場はこう変わる 2025年における5つの予測
生成AIをはじめとする技術革新やプライバシー保護の潮流はモバイルアプリ市場に大きな変...

news078.png

営業との連携、マーケティング職の64.6%が「課題あり」と回答 何が不満なのか?
ワンマーケティングがB2B企業の営業およびマーケティング職のビジネスパーソン500人を対...

news125.jpg

D2C事業の約7割が失敗する理由 成功企業との差はどこに?
クニエがD2C事業の従事者を対象に実施した調査の結果によると、D2C事業が成功した企業は...