モバイルによるデジタル変革を調査
「多数の厄介事が……」、モバイル活用で心が折れたIT部門幹部の嘆き
Forresterのアナリストが、モバイルを用いたデジタル変革への道のりについて40人のテクノロジーリーダーにインタビューした。決してたやすい道ではないというのがその答えだ。
「Nobody said it was easy; no one ever said it would be this hard.(誰も簡単だなんて言わなかった。でもこんなに難しいとも言わなかった)」イギリスのロックバンドColdplayのヒット曲『The Scientist』にこんな歌詞がある。
Forrester Researchは、Fortune 500に名を連ねる企業のデジタルおよびテクノロジーリーダー40人に企業でのモバイルを用いたデジタル変革の進め方についてインタビューした。最近公開されたこのレポートを読んだIT幹部は、この歌詞につづられた感傷に心を打たれるかもしれない。
小規模から始め、アジャイル手法を導入し、顧客を中心に考え、データに基づいて決定を下し、企業全体が協力するといった予想通りのアドバイスもあった。だが、それだけではない。
Forrester Researchで主席アナリストを務めるジュリー・アスク氏もこのレポートの執筆に参加した1人だ。同氏によれば「デジタルそのもののメリットには限りがある。メリットを得るためには、厄介事が立ちふさがることになる」という。
併せて読みたいお薦めの記事
求められるデジタル変革
- 今更聞けない「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の主要技術と課題
- 実現しないと生き残れない? 企業のデジタル化を成功させる5つの要素とは
- Microsoft CEOも賛同、「CIOはデジタル変革でCEOをサポートせよ」
デジタル変革に取り組むCIOが考えるべきこと
こうした厄介事には、作業プロセスの変更や物理空間の変更も含まれると同氏はいう。そして、職務上の枠を超えて結び付く単一チームを編成し、そこでは共通の言葉を使い、同じ指標を用いる必要があると強調する。レポートには、こうして編成したチームに、古い組織の制約やウオーターフォールプロセスを課してはならないとも記されている。
レポートでは、モバイルチームの人材を選ぶ際、初期段階では「短距離走者」を見つけるよう示されている。ここでいう短距離走者とは創造的で経験豊富な開発者や、モバイルネイティブの人材を指す。そして後半になったら長距離走者を加えるようアドバイスされている。初期段階での人材が、戦略的ビジョン設定の助けとなる。
Forresterのアナリストでレポートの執筆にも参加したジェフェリー・ハモンド氏は、人材の確保に関する幾つかの調査結果に驚いている。
ハモンド氏のメールには次のように示されていた。「最も確保が難しい役割は、優れた製造管理のようだ。予想では、モバイルデザイナーや経験豊富な開発者の確保が最も難しいと考えていた。だが、テクノロジーリーダーが求めていたのは、ビジネスとテクノロジーの両方を理解し、両者のギャップを埋めることができる製造部門の担当者のようだ」
製造部門の管理者に加え、多くの経営幹部は上級リーダーを外部から迎え入れ、大成功に向けてモバイルデジタル変革を先導させようとしていることがレポートで明らかになった。ハモンド氏によると、新たに加わるリーダーは、迅速な納入を実現し、優れた業績を達成する納入チームの作り方を心得ていて、機能横断型チームを編成する裁量権を持ち、真の変化をもたらす人材だという。
アスク氏はこのことを簡潔に示している。「外部からの参入者が時代遅れの慣習を持ち込むことはほとんどない。より多くの手段を持ち込む。『裁量権が無ければ参加しない。以前にも同じような仕事をしてきたから、どうすればよいか、何が必要かは分かっている』というのが外部からの参入者の本音だ」
ハモンド氏は興味を持った調査結果には、大規模プロジェクトの外部委託からスタッフの増員への転換がある。
「デジタルグループは、社内に独自のスキルセット、特にフロントエンドの開発と分析へのWRT(テキストの書き込み)を構築することに興味を示している。だが、デジタルグループは、依然、納入チームを仕上げる助けを求めている。デジタルグループは、変革のエージェントやパートナーも求めている。こうしたパートナーは、信頼できる実装パートナーになる」(ハモンド氏)
また、デジタルグループの製造部門管理者と、プロジェクトマネジャー/スクラムマスターがプロジェクト納入の責任を担う、「2-in-the-box model」(グループ内外のマネジャーによるプロジェクト管理モデル)」もレポートで推奨されている。製造部門の管理者は収益やエンゲージメントといったビジネスベースの成功指標を担当する。プロジェクトマネジャーは、スケジュール、品質、セキュリティ、パフォーマンスを担当する。ここに衝突が生まれ、プロジェクトの日々のスコープを管理し、「グループ内外のマネジャー」間で折り合いをつけることが求められるというのがハモンド氏の意見だ。
驚くことではないが、モバイルデジタル変革では文化的側面が重要な役割を果たす。モバイルテクノロジーは、指標、プロセス、人の働き方を変える。レポートでは、IT幹部は初期段階で、こうした変化を全員に伝える必要があるとしている。
「こうした変化は、ソフトウェアの構築や納入の方法の文化的変革である」とハモンド氏は言う。レポートが示す幾つかの原則を順守しなければ、「プロセスや文化に潜む、流れを停滞させ納入速度を遅くする障壁を取り除くのに苦労する」ことになるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
「業務改善とツール活用」に関するアンケート
-
5
「GitHub Copilot」3000人に配布も基本機能しか使われない 保険大手が得た教訓
-
6
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
7
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
8
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
9
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
10
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー