自社にベストな方法を探る
仮想デスクトップ時代、アプリケーションは発行すべきか、ストリーミングすべきか
アプリケーションの提供方法に迷う場合は、アプリケーションを発行する方法とストリーミングする方法を比較し、自社固有のセットアップやニーズに最適な方法を判断することになる。
アプリケーションを発行するか、ストリーミングするかの選択は交通手段の選択に似ている。
飛行機を利用すれば移動は速いが、恐らく費用がかさむ。車も優れた交通手段だが、移動できる人数に限りがある。IT担当者はアプリケーションの導入方法を選ぶ際、あらゆる要素を検討して、飛行機か列車かを選ばなければならない。
アプリケーションの発行とは、自動化ポリシーを用いてデスクトップOSにアプリケーションをインストールする方法を指す。これは以前から行われている方法だ。
これに対して、アプリケーションのストリーミングとは、サンドボックス化したアプリケーションをサーバからエンドポイントにストリーミングする方法を指す。ただし、ストリーミングにはさまざまなバリエーションがある。
どちらの方法にも、それぞれ導入に関するメリットとデメリットがある。管理者としては、自社の状況に合わせてどちらの方法が最適かを判断することが重要だ。
併せて読みたいお薦め記事
仮想デスクトップ関連記事
仮想アプリケーション配信の仕組み
飛行機に似たアプリケーションの発行
アプリケーションを発行する方法は、簡単で信頼性が高い。数十年もの間、管理者はアプリケーションをデスクトップOSにインストールしてきた。ただし、アプリケーションの発行にはスケーラビリティが低いという大きなデメリットがある。IT部門はアプリケーションを使用するユーザーごとにアプリケーションのコピーを個別に提供しなければならない。
アプリケーションの発行では、一度提供したアプリケーションの全コピーを追跡し続けるのが困難なため、ライセンスの追跡が難しくなることが多い。また、発行したアプリケーションを最新の状態に保つのも難しい。アプリケーションの固有のコピーが各デスクトップOSに存在し、それら全てに適切なパッチが適用されていることを検証するのが難しいためだ。
列車に似たアプリケーションのストリーミング
アプリケーションをストリーミングすると、アプリケーションの発行に伴うスケーラビリティの問題が解決する。集中管理サーバからストリーミングされるため、アプリケーションのコピーは1つだけで、ユーザーが個別にコピーを保持することはなくなる。その結果、アプリケーションのパッチ管理とソフトウェアライセンスのコンプライアンスが大幅に簡略化される。ストリーミングテクノロジーを使えば大抵の場合、管理者はアプリケーションごとに所有するライセンス数を指定できる。そのライセンス数を超えてサーバがアプリケーションをストリーミングすることはない。
アプリケーションをストリーミングすると、テクニカルサポートも容易になる。あるアプリケーションに関連する問題についてユーザーからヘルプデスクに問い合わせがあった場合にも、ヘルプデスクの技術者は、そのユーザーが実行しているアプリケーションのバージョンやインストール方法について意識する必要はない。全てのユーザーに全く同じアプリケーションがストリーミングされるためだ。ストリーミングされたアプリケーションは通常サンドボックスで実行されるため、アプリケーションが互いに干渉することはない。
アプリケーションのストリーミングは、仮想デスクトップに適した選択肢だ。ストリーミングでは、アプリケーションとデスクトップOSが切り離される。そのため、OSのフットプリントが減少し、基盤となるVDIが仮想デスクトップの密度を高めることができる場合が多い。また、ストリーミングでは、アプリケーションとOSも切り離される。さまざまな部署のニーズに対応するために多数のOSイメージを保持するのではなく、全てのユーザーが共有する単一の標準OSイメージを利用できるようになる。その結果、IT担当者は、ユーザーの職務に基づいて個々の仮想デスクトップにアプリケーションをストリーミングするポリシーを確立できる。
アプリケーションのストリーミングにまつわる問題点
アプリケーションのストリーミングは常に利用できるわけではない。ストリーミングの技術はここ数年で大きく進化したが、アプリケーションの設計によってはいまだにストリーミングできないものがある。
ストリーミングのもう1つのデメリットは、インフラに依存する点だ。ストリーミングは、アプリケーションをストリーミングするソフトウェアに完全に依存する。アプリケーションをストリーミングするソフトウェアは、ライセンスの要件から導入が複雑になり、コストを増加させる。これは、アプリケーションの発行が多くの場合において、IT部門がソフトウェアを追加しなくても導入できるのと全く対照的だ。アプリケーションの発行にもアプリケーション管理ツールは存在するが、Microsoftの「Active Directory」に含まれるネイティブツールを使用したり、アプリケーションを手動でインストールしたりする企業もある。
終点
一般に、アプリケーションのストリーミングは、仮想デスクトップへのアプリケーションの導入や大企業での導入に最適な選択肢といえる。小規模企業は、アプリケーションの発行を選ぶ方がよいかもしれない。複雑なインフラは必要なく、ストリーミングよりもコストを抑えられる可能性がある。そのため、最終的には発行とストリーミングを組み合わせてアプリケーションを導入している企業が多い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社ビザスク] 製造業の新事業創出 成功の鍵は「タラレバ問題克服」と「3つの判断ポイント」 -
製品資料
[日本シーゲイト株式会社] 実験のやり直しを防止 研究データ基盤に求められる高可用性ストレージとは -
製品資料
[株式会社Leaner Technologies] もっと安く買えるのに…… 間接材購買で“コスト削減機会”を逃さないためには -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] フィールドサービスの熟練技術者が「AIエージェント」を求めている理由 -
製品資料
[株式会社グリーンフィールド・オーバーシーズ・アシスタンス] 基礎から分かる「就労ビザ」 アメリカ進出を目指すなら知っておきたい取得戦略
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
DXを阻む「動くだけ」のレガシーシステムに決別するための生成AI活用術
-
2
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の機能とスペックを徹底比較
-
3
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
4
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
5
仮想化環境の死角を“未知の脅威”が狙う時代――新たな敵をどう見破るか?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
8
高額GPUを買っても成果ゼロ? 「プライベートAI」の落とし穴
-
9
「Excel至上主義」と“謎マクロ”の限界 属人化リスクを断つ業務移行の勘所
-
10
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
登録セキスぺが語る「SCS評価制度」の舞台裏 星を取得すべき理由と対応のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
OSSでは困難 100超のサービスを持つマネーフォワードが実践した統合監視術
-
4
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
7
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
8
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
9
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー