Amazon Web Services(AWS)は同社シンクライアント「Amazon WorkSpaces Thin Client」について“低価格”であることをアピールしている。しかし話はそう簡単ではない。何に気を付けるべきか。
クラウドベンダーのAmazon Web Services(AWS)が2023年11月に市場投入したシンクライアント「Amazon WorkSpaces Thin Client」。AWSはテレワークの制度を採用しているユーザー企業に対して同製品が「低価格であること」を訴求している。このデバイスは本当に“安い”選択肢なのか。コスト面での注意点をまとめた。
AWSはAmazon WorkSpaces Thin Clientの開発に当たり、ストリーミング用デバイス「Fire TV Cube」など既存製品の技術を転用することでコストを抑えた。他社のシンクライアント製品と比べて安価な価格設定になっているのはそのためだ。米国における同シンクライアントの販売価格は195ドルとなっている。AWSのエンドユーザー体験担当ゼネラルマネジャーのムニール・ミルザ氏は、「開発コストの削減分をそのままユーザー企業に還元できるようにしている」と説明する。
ただしユーザー企業から見れば、発生するのはAmazon WorkSpaces Thin Clientの購入費だけではない。ユーザー企業は本体に加え、モニターやキーボード、ヘッドセットといった周辺機器も購入しなければならない。AWSのDaaS(Desktop as a Service)「Amazon WorkSpaces」の月額利用料も発生する。ユーザー企業はそれらを全部組み合わせた上で、価格メリットがあるかどうかを判断する必要がありそうだ。
シンクライアント市場を重視するベンダーはAWSだけではない。例えばMicrosoftには「Surface」の製品シリーズがあり、GoogleのOS「ChromeOS」を搭載するPC「Chromebook」もある。調査会社Gartnerのアナリストを務めるシド・ナグ氏は、「競争が激しくなると価格が下がる傾向にある」と指摘する。そうなれば、ユーザー企業はより安価でシンクライアントを入手できるように可能性がある。
アプリケーションやデータをデバイス内に保存する必要がない場合、シンクライアントは業務用ノートPCの代わりになり得る。「クラウドサービスの利用が広がる中で、エンドユーザーのデバイスには高度な機能が必要なくなりつつあるのが現状だ」とナグ氏は語る。
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