アプリケーションのコンテナ化の影響により、MicrosoftはWindows Serverを大幅に見直し、最低限必要な機能だけを搭載したバージョンを投入する可能性がある。
Microsoftが提供するサーバOSのスリム化が進んでいる。将来のWindowsは、今日の管理者には認識すらできないものになるかもしれない。
コンテナアプリケーションはクラウドの発展を基盤に、企業が抱える多くの問題を解決する。アプリケーションを必要な要素とともにパッケージ化したコンテナは、フットプリントが小さく、リソース消費も少ない。企業はこうしたコンテナアプリケーションを、さまざまなクラウドやデータセンターに最小限の手間で移行できる。Microsoftのアプリケーション仮想化の取り組みから生まれた「Nano Server」は、Windows Serverをコンテナ用にスリム化したバージョンで、サイズは80MB程度となっている。
こうしたコンテナ化の動きは、PowerShellの専門家で、PowerShell.orgのプレジデントを務めるドン・ジョーンズ氏の興味をかき立てている。同氏は、将来のWindows Serverが、常に維持管理が必要なマルチギガバイトの巨大OSから、基本的なネットワーキングを辛うじて扱える程度の、以前の小さなOSへと根本的に変わると予想している。Windowsの将来や、サーバ管理の最近の動向、ITワーカーがスキルを磨くべき分野について、ジョーンズ氏に話を聞いた。
――あなたは最近のブログ記事の中で、MicrosoftがWindows Serverのスリム化を推し進め、やがては、その最新版がWindowsなのかすら分からなくなる時が来るだろうとの見通しを示しています。
ジョーンズ氏 フル機能のWindows OSは、画面描画や、ボタンクリックの認識、音楽の再生、ビデオのダウンロード、インターネットアクセスなどを行うために、コード量が膨大になっています。これは開発者にとっては便利です。必要になるかもしれない機能が全て装備されているからです。しかし、そのせいでOSはとてつもなく重くなり、アップデートを継続するのが非常に困難になっています。
OSは、処理を行う多数のコンポーネントで構成されるようになり、そのために多くのセキュリティ脆弱(ぜいじゃく)性が発生しています。また、OSのアップグレードには大変な苦労を要するようになっています。アップグレードに伴い、従来バージョンに依存するアプリケーションの一部が動かなくなる恐れがあるからです。
こうした中で、「アプリケーションとその実行に必要な全ての要素を含むコンテナ」という考え方が登場してきました。コンテナイメージはサイズが大きく、それは、OSがこれまで提供してきた機能の多くをコンテナが担うからです。
これは、OS自体が今後、提供しなければならない機能は少なくなることを意味します。数年後には、OSが果たす機能はネットワークとのインタフェースくらいになるでしょう。
GoogleやAmazon、Azureのようなクラウドでは、そうした流れが進んでいます。これらのクラウドのプロバイダーは、自社のデータセンターをより簡単に管理できるようにしようとしているからです。MicrosoftやLinuxディストリビューションの開発元が、クラウド向けOSを開発したら、それが彼らにとって、われわれに売りたい製品になるでしょう。われわれのために別のOSを作ろうとはしないはずです。
――人々は、メインフレームのような特定の技術がやがて終わりを迎えると予測しますが、それらは生き残っています。Windows Serverがそのように変化するためには、多くの条件が整わなければならないのでは。
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