コンテナはWindows Serverを全く違うものに変えるかもしれない専門家がOSスリム化の流れを説明(1/2 ページ)

アプリケーションのコンテナ化の影響により、MicrosoftはWindows Serverを大幅に見直し、最低限必要な機能だけを搭載したバージョンを投入する可能性がある。

2018年03月13日 05時00分 公開
[Tom WalatTechTarget]

 Microsoftが提供するサーバOSのスリム化が進んでいる。将来のWindowsは、今日の管理者には認識すらできないものになるかもしれない。

Windows Serverをコンテナ用にスリム化すると……《クリックで拡大》

 コンテナアプリケーションはクラウドの発展を基盤に、企業が抱える多くの問題を解決する。アプリケーションを必要な要素とともにパッケージ化したコンテナは、フットプリントが小さく、リソース消費も少ない。企業はこうしたコンテナアプリケーションを、さまざまなクラウドやデータセンターに最小限の手間で移行できる。Microsoftのアプリケーション仮想化の取り組みから生まれた「Nano Server」は、Windows Serverをコンテナ用にスリム化したバージョンで、サイズは80MB程度となっている。

 こうしたコンテナ化の動きは、PowerShellの専門家で、PowerShell.orgのプレジデントを務めるドン・ジョーンズ氏の興味をかき立てている。同氏は、将来のWindows Serverが、常に維持管理が必要なマルチギガバイトの巨大OSから、基本的なネットワーキングを辛うじて扱える程度の、以前の小さなOSへと根本的に変わると予想している。Windowsの将来や、サーバ管理の最近の動向、ITワーカーがスキルを磨くべき分野について、ジョーンズ氏に話を聞いた。

――あなたは最近のブログ記事の中で、MicrosoftがWindows Serverのスリム化を推し進め、やがては、その最新版がWindowsなのかすら分からなくなる時が来るだろうとの見通しを示しています。

ジョーンズ氏 フル機能のWindows OSは、画面描画や、ボタンクリックの認識、音楽の再生、ビデオのダウンロード、インターネットアクセスなどを行うために、コード量が膨大になっています。これは開発者にとっては便利です。必要になるかもしれない機能が全て装備されているからです。しかし、そのせいでOSはとてつもなく重くなり、アップデートを継続するのが非常に困難になっています。

 OSは、処理を行う多数のコンポーネントで構成されるようになり、そのために多くのセキュリティ脆弱(ぜいじゃく)性が発生しています。また、OSのアップグレードには大変な苦労を要するようになっています。アップグレードに伴い、従来バージョンに依存するアプリケーションの一部が動かなくなる恐れがあるからです。

 こうした中で、「アプリケーションとその実行に必要な全ての要素を含むコンテナ」という考え方が登場してきました。コンテナイメージはサイズが大きく、それは、OSがこれまで提供してきた機能の多くをコンテナが担うからです。

 これは、OS自体が今後、提供しなければならない機能は少なくなることを意味します。数年後には、OSが果たす機能はネットワークとのインタフェースくらいになるでしょう。

 GoogleやAmazon、Azureのようなクラウドでは、そうした流れが進んでいます。これらのクラウドのプロバイダーは、自社のデータセンターをより簡単に管理できるようにしようとしているからです。MicrosoftやLinuxディストリビューションの開発元が、クラウド向けOSを開発したら、それが彼らにとって、われわれに売りたい製品になるでしょう。われわれのために別のOSを作ろうとはしないはずです。

――人々は、メインフレームのような特定の技術がやがて終わりを迎えると予測しますが、それらは生き残っています。Windows Serverがそのように変化するためには、多くの条件が整わなければならないのでは。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2 次のページへ

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品レビュー 株式会社ソフトクリエイト

Windows 11アップデートで発生しやすい問題とは? 円滑なOS移行方法を解説

Windows 10のサポート終了が迫り、Windows 11へのアップデートを考えている組織も多いことだろう。当然、アップデートには失敗したくないはずだ。ポイントを本動画で把握して、スムーズなOS移行を実現したい。

製品資料 株式会社ソフトクリエイト

Windows 10のサポート終了間近、移行の不安を解消する移行支援サービスとは?

2025年10月14日をもってWindows 10のサポートが終了する。終了後は更新プログラムやセキュリティパッチの提供が停止されることから、セキュリティリスクの増大などが懸念されている。自社に最適な移行を進めるためにどうしたらよいのか。

製品資料 株式会社ソフトクリエイト

PC運用管理をモダナイズすべき理由と、Windows 11時代のベストプラクティス

ハイブリッドワークの定着により、従来のPC運用管理の限界が見えてきた。多様な働き方と、セキュリティ・効率・柔軟性を両立させるためには、クラウドを前提とした新しい管理の形となる「PC運用管理のモダナイズ」が求められている。

製品資料 AvePoint Japan株式会社

権限管理をシンプルに、Microsoft SharePoint管理のベストプラクティス

Microsoft SharePointは便利かつ柔軟性の高いツールであるがゆえに、「運用管理が複雑化する」「セキュリティ対応が難しい」といった課題も起きやすい。具体的にどのような課題が発生しやすく、どうすれば解決できるのか。

製品資料 グーグル合同会社

企業セキュリティの最前線となるブラウザ、安全性を左右する重要機能とは?

ブラウザは企業にとって重要なエンドポイントの1つだ。攻撃の表面として扱われているため、セキュリティの複雑性も増し、脅威への対応を高度化する必要が生じる。そこで本資料では、企業向けブラウザの強みについて解説する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...