じわり広がるエコシステムの存在感
Apple「Business Chat」がCisco製品と連携可能に、iPhoneにアクセスする企業の狙いは?
Appleの企業対消費者(B2C)メッセージングサービス「Business Chat」に、Cisco Systemsのコンタクトセンタープラットフォームが統合可能になった。AppleとCiscoの狙いは。
Appleは企業向けチャット機能「Business Chat」のβ版で、複数のブランドやコンタクトセンターベンダーと新しくパートナーシップを結んだ。市場大手のCisco Systemsもその1つだ。このサービスでは消費者が「iMessage」を使って企業とやりとりできる。
「iPhone」のユーザーは数億人に達しており、あらゆる企業がいずれはこのメッセージングサービスへの対応を検討せざるを得なくなると専門家は見ている。しかし、同社はこれまでごく少数の大手ブランドにしかこのサービスへのアクセスを許可していない。
2018年7月には、クレジットカード会社のAmerican Express、グルメギフトショップのHarry & David、ホテルチェーンのFour Seasons、衛星放送サービスDish Network、フードサービス企業のAramarkがBusiness Chatによる顧客サービスを開始した。最初に参加したパートナー企業には、The Home Depot、Lowe's Companies、Hilton Hotels and Resorts、Marriott International、Discover Financial Services、Wells Fargo、TD Ameritrade、1-800-Flowers.comがある。
現時点ではGenesys、Salesforce.com、Cisco Systemsなど11社のカスタマーサービスプラットフォームと統合可能になっている。このサービスを利用したい企業は、まずAppleの認可を受けなければならないが、一般提供開始時期は未発表だ。
Appleの狙いは
コンサルティング会社DBrn Associatesのプレジデント、マイケル・フィネラン氏は「Appleは中国のモバイル決済対応メッセージングアプリ『WeChat』の成功に倣いたいのではないか」と述べた。しかし、2018年3月の限定リリース以来、進展は遅いという。
「消費者重視の企業が何社かこれを使ってみているものの、その大半(American Expressなど)は既に優れたアプリを活用しており、単に万全の態勢を整えようとしているにすぎない。Business Chatが提供する機能を彼らが積極的に宣伝している様子は見られない」(フィネラン氏)
Appleは近年、法人向け市場における存在感を高めようとしている。Business Chatは消費者にも企業にも無料で提供しており、このサービスに「Apple Pay」を含めることで利益を得ようとしているものと思われる。
「今のところ、マーケターはまだこれに殺到していない。率直に言って、このビジネスケースはもろ刃の剣だ」とフィネラン氏は述べ、Appleユーザーを大切にする企業は、それよりずっと多数のAndroidユーザーを遠ざけかねない、と指摘した。
オムニチャネルの流れに乗る
Nemertes Researchのプレジデント、ロビン・ギャレス氏は、Cisco SystemsがAppleのエコシステムに参加したことは「非常に賢明」だと語る。Cisco Systemsは同社のクラウド型コンタクトセンターソリューション「Customer Journey Platform」でBusiness Chatに対応する。
Nemertes Researchが最近調査した企業の4分の3は、顧客対応のデジタル化を検討しているという。「Business Chatはそうした企業に役立つ多数のツールの1つになる」とギャレス氏は予想する。
「この種のテキストメッセージングツールは、引き続きオムニチャネルの一部として使われるだろう。今後も企業とのコミュニケーション手段の1つとして高い人気を獲得すると思うが、唯一の手段になるわけではない」(ギャレス氏)
Business Chatの主なライバルは、Facebookの「Business Messenger」と、Facebook傘下WhatsApp社の「WhatsApp」だ。一方Googleは、Androidスマートフォン向けに、Rich Communication Services(RCS)規格対応の企業対消費者(B2C)テキストメッセージング機能を開発中だ。
ギャレス氏は「こうしたB2Cテキストサービスを単独で導入したくなるが、それは間違いだ」とし、顧客は別のチャネルに切り替えてもそれまでのやりとりを引き継げることを望んでいる、と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
5
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
6
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
7
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
8
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
9
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
10
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー