電子カルテと処方薬データベースの有効活用
米国を揺るがすオピオイド過剰摂取問題、医療ITは歯止めをかけられるか
麻薬性鎮痛薬オピオイドの過剰摂取による死亡者急増が、米国で深刻な社会問題となっている。各州では解決に向けて、データ分析を活用し、電子カルテ(EHR)と処方薬モニタリングプログラム(PDMP)の統合を強化しようとしている。
米国では、オピオイド過剰摂取の疑いで病院の緊急救命室で処置を受ける患者は1日約300人に上る。
疾病対策予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)が2016年7月から2017年9月までの期間に行った調査から得た統計によると、驚くことにこうした患者数は前年比約30%増を記録している。
医療ITでは過剰摂取を止めることはできない。だが、ITは「オピオイド危機」の解決策を提供するのに役立つ。
オピオイドは麻薬性鎮痛薬の総称だ。その代表例はモルヒネやフェンタニルだ。大量に摂取すると、心拍数や呼吸数の低下を招く恐れがある。Mayo Clinicによると「短期間の摂取でも依存症につながる恐れがある」という。
全米の防疫官がオピオイド中毒の流行という問題に挑もうとしている。ミシガン州など幾つかの州は、オピオイド危機の解決策を提供するため、ITに投資している。ミシガン州では、クラウドベースのデータ分析ソフトウェアを利用して患者の処方履歴を検証し、オピオイド中毒との戦いに役立てている。
EHRと処方薬モニタリングプログラム(PDMP)の統合が鍵に
患者の電子カルテ(EHR)を調べることも有望だという研究もある。2018年初め、コロラド大学アンシュッツメディカルキャンパスの研究者は、退院後にオピオイドの慢性摂取に陥るリスクがある患者を医師が特定するのにEHRデータの予測分析が役立つと結論付けた。
一方、国家医療IT調整室(ONC:Office of the National Coordinator for Health IT)も、EHRと処方薬モニタリングプログラム(PDMP)の統合など、オピオイド危機の解決策を強化する他のテクノロジーを特定している。このようなデータベースはミズーリ州を除く全ての州で運用され、オピオイドなどの規制薬物の処方に関わる薬局から情報を収集している。
ONCはこうしたデータの価値を認めている。「PDMPの情報をEHRのような医療ITシステムと統合することで、医療機関は効き目の強い処方鎮痛剤を処方・調剤する前に患者のPDMPレポートを素早く確認できる」(ONCのWebサイトより)
ケンタッキー州はPDMPの包括的な利用を義務付けた最初の州だ。ケンタッキー州麻薬管理政策局(Kentucky Office of Drug Control Policy)が提供するデータによると、2015年の評価では、この義務に従って処方側によるPDMPの利用が増加し、オピオイドの処方、ドクターショッピング、処方薬の過剰摂取による入院が大幅に減少したという。
もっと多くの医師がオピオイドを処方する前にPDMPを利用すればさらに有益だが、その前に患者データの相互運用性の欠如や医師が別のITシステムにログインする際の時間的制約といった大きな課題に対処する必要がある。
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