米国を揺るがすオピオイド過剰摂取問題、医療ITは歯止めをかけられるか電子カルテと処方薬データベースの有効活用

麻薬性鎮痛薬オピオイドの過剰摂取による死亡者急増が、米国で深刻な社会問題となっている。各州では解決に向けて、データ分析を活用し、電子カルテ(EHR)と処方薬モニタリングプログラム(PDMP)の統合を強化しようとしている。

2018年11月06日 05時00分 公開
[Scott WallaskTechTarget]

 米国では、オピオイド過剰摂取の疑いで病院の緊急救命室で処置を受ける患者は1日約300人に上る。

 疾病対策予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)が2016年7月から2017年9月までの期間に行った調査から得た統計によると、驚くことにこうした患者数は前年比約30%増を記録している。

 医療ITでは過剰摂取を止めることはできない。だが、ITは「オピオイド危機」の解決策を提供するのに役立つ。

 オピオイドは麻薬性鎮痛薬の総称だ。その代表例はモルヒネやフェンタニルだ。大量に摂取すると、心拍数や呼吸数の低下を招く恐れがある。Mayo Clinicによると「短期間の摂取でも依存症につながる恐れがある」という。

 全米の防疫官がオピオイド中毒の流行という問題に挑もうとしている。ミシガン州など幾つかの州は、オピオイド危機の解決策を提供するため、ITに投資している。ミシガン州では、クラウドベースのデータ分析ソフトウェアを利用して患者の処方履歴を検証し、オピオイド中毒との戦いに役立てている。

EHRと処方薬モニタリングプログラム(PDMP)の統合が鍵に

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