コンテナ/マイクロサービスが機能する鍵は「DNS」Dockerコンテナとネットワーク(後編)

コンテナを動的に立ち上げてマイクロサービスとして機能させるには、各コンポーネントが相互にリンクしていなければならない。そのために必要なものとは?

2018年11月21日 08時00分 公開
[Daniel RobinsonComputer Weekly]

 前編(Computer Weekly日本語版 10月17日号掲載)では、Dockerを巡るネットワーク事情について基礎からKubernetesおよびCNIまで解説した。

 後編では、前回紹介しきれなかった「VMware NSX」その他のCNIをサポートするツールと、ネットワーク関係でさらに考慮すべき事項について解説する。

VMware NSX&その他のツール

 CNIをサポートするプラットフォームの一つに「VMware NSX」がある。NSXは、既存の物理イーサネットに複数の仮想ネットワークを作成して管理できるSDNシステムで、基本的には仮想ネットワークトラフィックを転送するためのパケット転送バックプレーンとしてそのインフラを使用する。これらの仮想ネットワークは、それぞれが独自のIPアドレス範囲やその他の特性を保持することができる。

 実際のNSXには2つのバージョンがある。一つは「NSX-V」とも呼ばれ、「VMware vSphere」と密接に統合されている。もう一つのバージョン「NSX-T」は「KVM」などの他のハイパーバイザーと連動するように開発されていて、これは「Linux」や「OpenStack」をサポートするために重要になる。

 どちらのバージョンも、同じノードで実行されているVMやコンテナ間のトラフィックに直接対処する仮想スイッチとして機能する。対象が別のノードで実行されているVMやコンテナの場合、仮想ネットワークパケットは標準のイーサネットパケットにカプセル化されて、そのノードで実行されている仮想スイッチに送信される。

 この他にも同様の機能を備えるプラットフォームがある。Microsoftは「Windows Server 2016」からSDN機能を組み込んでいて、例えば各ノードで実行される「Hyper-Vネットワーク仮想化」や、3つのHyper-V VMのクラスタで実行される一元的な管理サービス「ネットワークコントローラー」がある。

 OpenStackは「Neutron」というネットワークサービスにより、ユーザーがネットワーク接続性を設定、定義することを可能にするAPIを提供する。このサービスはNeutronサーバと、サーバノードで実行されるエージェントで構成される。また「Open vSwitch」、Midokuraの「ミドネット」、Juniper Networksの「OpenContrail」、Cisco Systemsの「NX-OS」、NSXなどのネットワークプラットフォームとNeutronが連動できるプラグインも備える。OpenStackはKubernetesの他にも「Magnum」サービスを通じて別のコンテナオーケストレーションツールもサポートする。ただし、NeutronもCNIに準拠している。

 セキュリティもコンテナの導入における重要な要素の一つで、さまざまなスケールで実行される場合は特に重要になる。




続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。






Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品レビュー ニュータニックス・ジャパン合同会社

クラウド同士の連携と運用の課題解消、WebスケールITの基準を採用した基盤とは

ハイブリッド/マルチクラウドへ移行する企業のIT環境だが、クラウド同士の連携は複雑な上に、運用も非効率になりがちだ。そこで、この問題を解消するためのハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを紹介する。

製品資料 ニュータニックス・ジャパン合同会社

VMware vSphere環境のクラウド移行、ベンダーロックインや不確実性の回避策は?

オンプレミスで稼働してきた仮想マシンを中心としたワークロードのクラウド移行が増える一方、デファクトスタンダードとなっていた、あるハイパーバイザー製品が買収されたことで、多くの課題が顕在化した。その実態と、解決策を紹介する。

事例 ニュータニックス・ジャパン合同会社

ITの導入・運用費を数百万ドル規模で削減、キャンベラ大学に学ぶNutanix導入術

AIや機械学習を支えるIT基盤の整備に課題を抱えていたキャンベラ大学。Nutanixの導入によりリモートアクセス環境を整備し、研究成果の質も向上させたという。本資料では、同大学のITインフラ改善の取り組みを詳しく解説する。

市場調査・トレンド ニュータニックス・ジャパン合同会社

「VMware買収後」の仮想化戦略 企業はどのように対処すべきか

BroadcomはVMware買収後、製品ポートフォリオやライセンス体系に大きな変更を加えた。ユーザー企業はこの変化にどのように対処し、今後のIT戦略、仮想化戦略を検討、構築していけばよいか。

技術文書・技術解説 ニュータニックス・ジャパン合同会社

仮想化環境の移行をもっと簡単に、知っておくべき「6つのステップ」とは?

仮想化環境の移行を考える際は、「現環境と同じ機能が移行先でも利用できるのか」「ライセンス管理の負担は軽減できるのか」など、さまざまな検討事項が生じる。これらを解決し、簡単に移行を実現するための6つのステップを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...