VMwareは仮想ディスクの作成方法として「シンプロビジョニング」を用意している。他の作成方法との違いは何か。シンプロビジョニングの仕組みと長所、短所を詳しく説明する。
仮想的なストレージである「仮想ディスク」の作成方法として、VMwareは「RDM」(RAW Device Mapping)と「シックプロビジョニング」「シンプロビジョニング」を用意している。作成方法を適切に選ぶことで、仮想マシン(VM)のストレージの利用効率を高めることができる。ただし作成方法によっては仮想ディスクのデータ書き込み速度の低下やリソースの無駄遣いなどの課題が生じる可能性がある。中編「『Lazy Zeroed』『Eager Zeroed』の違いとは? VMware仮想ディスクのシックプロビジョニング」に続く本稿は、シンプロビジョニングの特徴と、シックプロビジョニングとの違いを説明する。
シンプロビジョニングは、ストレージエリアネットワーク(SAN)を構成する物理的なストレージの領域を効率的に使用できるようにする。シンプロビジョニングで作成した仮想ディスクである「シンディスク」は、動作に必要な容量のストレージ領域のみを消費する。必要なストレージ領域は、ゲストOSがシンディスクに割り当てる入出力処理の量が増えるにつれて多くなる。例えば8GBのシンディスクを作成した場合、作成時に消費するストレージ領域は1GBだが、シンディスクで保存するデータ量が増えると最大8GBを消費する。
状況によってVMが起動しなくなることがシンディスクの欠点として挙げられる。この状況は割り当て済みの最大容量に近い容量が、そのシンディスクを使用する複数の仮想マシン(VM)によって消費された場合に生じる。全てのシンディスクが割り当て済みの最大容量を消費すると、全てのVMが起動できなくなる可能性がある。VMを再び起動して使えるようにするには、ストレージを追加して仮想ディスク領域を拡張しなければならない。
ストレージアレイでシンディスクを利用すると、ストレージの節約に役立つ。シンディスクは、割り当て済み最大容量を常に消費するのではなく、必要な容量しか消費しないため、仮想ディスクの用意にかかるコストの削減につながる。
シックプロビジョニングで作成した仮想ディスク(シックディスク)とシンディスクは、よく似た機能を備えているが、異なる点もある。シックディスクは作成時点で必要な仮想ディスク領域の全量をストレージに割り当てる。一方のシンディスクは設定したストレージの最大容量に達するまで、必要に応じて仮想ディスクを割り当てる。
2種類あるシックプロビジョニングのうちの1つである「Eager Zeroed」は仮想ディスク作成直後の書き込み速度は高速だが、仮想ディスクの作成には時間がかかる。もう1つの「Lazy Zeroed」はEager Zeroedディスクより迅速に仮想ディスクを作成できるが、仮想ディスク作成直後の書き込み速度はEager Zeroedほど高速ではない。
シンディスクは仮想ディスク作成時点のストレージ領域を節約するのに最適な選択肢だ。シンディスクを使用するとVMの作成時に仮想ディスクの最大容量を多めに割り当てて、必要に応じてストレージを追加できる。しかしシンディスクが割り当て済み最大容量を消費する前にストレージを追加しないと、VMが起動しなくなる状況を招くことになる。
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