「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)市場に注目すべき変化がある。NutanixやVMwareの動きに加えて、主要ベンダーを追う注目ベンダーの動向をまとめる。
「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)市場に変化がある。HCI製品の強化を図るベンダーもあれば、その真逆にかじを切ったベンダーもある。他に注目すべき点としては、コンテナ利用を前提にしたHCI製品が次々に登場していることだ。
HCIと言えば、まず数社の名前が思い浮かぶだろう。
NutanixはHCIのパイオニア的な存在だ。サーバ仮想化の草分けであるVMwareも、HCIを実現するストレージ仮想化ソフトウェア「vSAN」を提供している。Dell EMCはvSANを搭載した「Dell EMC VxRail」でサーバベンダーとしての実力を発揮している。
これら3社はHCIの代表的なベンダーだ。一方で新たにHCI市場に参入したベンダーや、撤退したベンダーもある。
2021年は活発な動きがあった。HCIベンダーのPivot3は、監視カメラ向けの事業をストレージベンダーのQuantumに売却した。QuantumはPivot3の監視カメラ向けの製品群を引き続き販売するが、Pivot3のHCIは販売しない。ストレージベンダーのNetAppは、ストレージとサーバを分離したHCI製品「NetApp HCI」の販売終了を発表した。
IT業界のトレンドを踏まえたHCIの変化も起きている。その一つがコンテナに関係した動きだ。
2021年後半にはIBMが「IBM Spectrum Fusion HCI」を販売開始する。IBM Spectrum Fusion HCIは仮想マシンではなく、コンテナのストレージを集約する。このHCIはサーバ仮想化で一般的に使われるVMwareのハイパーバイザーを使用せず、オープンソースの「KVM」を使った仮想化ソフトウェア群「Red Hat Virtualization」を使用する。特徴はコンテナオーケストレーター「Kubernetes」のディストリビューションである「Red Hat OpenShift」を組み込んでいることだ。
IBM Spectrum Fusion HCIはストレージをコンテナ化するストレージソフトウェア「IBM Spectrum Scale」と、バックアップソフトウェア「IBM Spectrum Protect Plus」を搭載したアプライアンスとして提供する。同社はVMwareやDell EMC、Nutanixと競合する製品を手掛けるのではなく、下記のコンテナ向けストレージソフトウェアと同じ路線を進んでいる。
一方の古参のHCIベンダーも、HCIでコンテナ利用を可能にする製品を提供している。
などがその一例だ。
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