コンテナはマルチクラウドで動かしたいアプリケーションのインフラに適している。それはなぜか。コンテナの運用管理に利用できるツール、VMとコンテナを併用するメリットと併せて説明する。
アプリケーションのインフラには仮想マシン(VM)とコンテナという2つの選択肢がある。2つの技術の違いは何か。前編「『VM』と『コンテナ』を比較 効率とセキュリティ面で軍配が上がるのは?」に続く本稿は、コンテナの管理面での特徴と、VMとコンテナを併用するメリットを説明する。
通常、VM構築やアプリケーション移行の手順には、物理インフラとハイパーバイザーの準備から、アプリケーション実行までの作業が含まれる。相互に依存する複数のシステムでアプリケーションが動いている場合は、各要素の設計も必要だ。このプロセスにはChefの同名ツールやPuppetの同名ツール、Red Hatの「Ansible」といった構成管理ツールを使用できる。
コンテナはベンダーが提供するコンテナオーケストレーターで、インフラをパッケージ化する。そのためコンテナはVMより移植性が高く、インフラの管理を簡略化しやすい。
アプリケーションの構成はコンテナオーケストレーターが管理する。コンテナの作成に必要な作業はわずかだ。アプリケーションをコンテナに構築して実行するのにかかる時間は、インフラにVMを使用する場合より短く済む可能性がある。
コンテナの作成と管理に使用するツールとして、最も人気があるコンテナオーケストレーターの一つが「Kubernetes」だ。
Kubernetesのコンテナは「クラスタ」と呼ばれるインフラで稼働する。一般的にマルチクラウド(複数のクラウドサービスを組み合わせたインフラ)で稼働するコンテナアプリケーションは複数のクラスタを使用するため、構築作業は複雑になる。ただしKubernetesの「フェデレーション」機能を使用すると、異なるクラウドサービスで稼働する複数のクラスタを一元管理できる。
GoogleはKubernetesのフェデレーションツール「Anthos」を提供している。企業はAnthosで設定したグローバルポリシーを使用して、マルチクラウドでコンテナを作成し、運用できる。
クラウドベンダーは、Kubernetesやその他のコンテナオーケストレーターのマネージドサービスを提供している。コンテナアプリケーションの作成やフェデレーションは複雑なプロセスで、自社で内製するのに必要なスキルを習得して維持することが難しい場合がある。マネージドサービスを利用するとコストは上がるが、企業は複雑なコンテナの維持管理から解放される。
コンテナ市場が提供するこうした機能やサービスは、VMとコンテナを比較検討する際の材料となる。クラウドサービスの境界を越えてアプリケーションの構成要素を運用するマルチクラウドアプリケーションの作成が目的であれば、コンテナを利用する大きな動機になる。
コンテナはITインフラへの依存度を抑えることによって、クラウドサービスとオンプレミスインフラ両方でアプリケーションを動かすことを容易にする。そのためコンテナはハイブリッドクラウド(クラウドサービスとオンプレミスインフラを組み合わせたインフラ)に最適な選択肢の一つだ。
クラウドサービスを利用する場合は、VMとコンテナという2つの技術を併用するという3つ目の選択肢も検討に値する。インフラを問わず同じコンテナオーケストレーターを利用すれば、コンテナは複数のクラウドサービスと、オンプレミスインフラの間で移植可能になる。
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