Google「Anthos」とは? マルチクラウドでKubernetesコンテナを実行GCPとAWS、Azureのハイブリッドクラウド製品群を比較【前編】

GoogleとAWS、Microsoftは、自社のクラウドサービスの機能を複数のクラウドサービスまたはオンプレミスのインフラで実行するための製品群を提供する。その中から、Googleの「Anthos」を説明する。

2021年06月16日 05時00分 公開
[Sarah NeenanTechTarget]

 クラウドサービスのメリットを評価しつつも、オンプレミスのインフラやレガシーアプリケーションを手放せない企業もある。法規制の要件や自社のシステム同士の接続性、通信の遅延に関する懸念は、企業がクラウドサービスへの完全移行に踏み切れない主な要因となっている。

 こうしたクラウドサービスでホストできないアプリケーションを抱えるユーザー企業のニーズに応えるために、クラウドベンダーが開発したのが、クラウドサービスをオンプレミスインフラで利用可能にするハイブリッドクラウド製品/サービス群(以下、ハイブリッドクラウド製品群)だ。ユーザー企業はハイブリッドクラウド製品群を利用することで、専用ネットワークを使用してクラウドサービスとオンプレミスインフラの2つのインフラを連携させることができる。アプリケーションをクラウドサービスに移して運用するか、オンプレミスインフラでの運用を継続するかを選ぶことも可能になる。

 本稿はハイブリッドクラウド製品群のうち、Googleの「Anthos」を紹介する。

Googleの「Anthos」

 クラウドサービスとオンプレミスインフラで、同じ操作性を実現することを目指すハイブリッドクラウドサービスがAnthosだ。ユーザー企業はAnthosを利用すると、Googleのクラウドインフラとオンプレミスインフラの双方で、コンテナオーケストレーター「Kubernetes」によりコンテナを運用できる。

 AnthosはマネージドKubernetesサービスの「Google Kubernetes Engine」(GKE)で運用しているコンテナ群(コンテナクラスタ)を管理する。ユーザー企業はKubernetesを実行できる任意のサーバでAnthosを運用可能だ。

 ユーザー企業は、複数のクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウドでAnthosを利用できる。Anthos はGoogleの「Google Cloud Platform」だけでなくAmazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群やMicrosoftの「Microsoft Azure」で運用しているKubernetesコンテナを運用するための機能を備える。そのためユーザー企業は特定のクラウドサービスにロックインされることなく、Kubernetesコンテナを運用できるようになる。

 Anthosのユーザー企業は、クラウドサービスとオンプレミスインフラで稼働するKubernetesコンテナの管理や監視、セキュリティ対策、認証のためのさまざまなツール群を利用できる。例えばコンテナクラスタ管理ツールの「Anthos Config Management」やサービスメッシュの「Istio」、監視ツールの「Cloud Monitoring」、イベント駆動型のコンテナ実行ツール「Cloud Run for Anthos」などだ。Anthosの主要機能である「Migrate for Anthos」は、クラウドサービスまたはオンプレミスインフラの仮想マシンで稼働するレガシーアプリケーションをKubernetesコンテナに移行する作業を自動化する。

 より多くのユーザー企業がAnthosを利用できるようにするために、GoogleはCisco Systems、Dell EMC、NetAppといったハードウェアベンダーとパートナー関係を結んでいる。これらのパートナーはAnthosの実行に適したハイパーコンバージドインフラ(HCI)を提供する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド環境におけるワークロードの配置を最適化する方法とは?

ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/22 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。