パンデミックにより大きな打撃を受けたアメリカン航空は、この危機を機にデータの活用方法を変えることで、新たなビジネスチャンスを生み出そうとしている。パンデミックを乗り切るための同社の施策とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)により、米国の航空会社American Airlines(アメリカン航空)は歴史上最大の試練の一つを迎えている。調査会社Forrester Researchが2021年11月に実施した、データ分析のオンラインイベント「Data Strategy and Insights 2021」のセッションで、アメリカン航空のデータエンジニアリング・分析・オートメーション担当常務ジェイソン・ニュートン氏が講演。同社がデータウェアハウス(DWH)の使い方をどのように変えたかを説明した。
「全世界の人々の移動が止まり、その後も1年以上制限され続けていることが、当社にとって試練となっている」とニュートン氏は言う。しかしアメリカン航空は「こうした危機を無駄にしない」と同氏は説明する。「真剣に取り組んで“サバイバルモード”に入ればチャンスはあると考えている」(同氏)
アメリカン航空は、データ活用が新しいチャンスをつかむための有効な方法の一つであると考えた。同社は新たにリアルタイムのデータを取得して分析できるようにするために、Teradataのデータ管理製品群「Teradata Vantage」を採用した。
ニュートン氏によると、パンデミック前のアメリカン航空は、主に前日に起きたことを確認したり、業務で起きた問題を過去の業務記録に基づいて解決したりするためにデータを利用していた。パンデミック以降、同社では「データの需要に変化が生じている」と同氏は言う。もはや従業員はデータで昨日何が起きたかを確認したいとは思わない。彼らが見たいのは、今何が起きているかだ。
航空会社で起こるあらゆる問題を考える場合、問題が起きた翌日ではなく、問題が始まった時点で何が起きているのか正確に特定できることは重要だ。「会社にとってのみならず乗客にとっても、非常に大きな価値となり得る」とニュートン氏は語る。
リアルタイムデータの知見を得られるようにするためにアメリカン航空はTeradata Vantageのデータ分析ツールおよびDWHを利用している。Teradata Vantageのインフラには、Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」を選択した。アメリカン航空はクラウドサービスでデータを管理し、リアルタイムのストリーミングデータとDWHに格納されているデータを両方参照して分析できるようにすることを目指している。
データのクラウドサービス移行は結果を生みつつあるという。ニュートン氏によると、アメリカン航空社内のほぼ全ての部署が、Azureで動くTeradata VantageのDWHでデータを管理している。同社はTeradata Vantageを重要システムとして扱い、障害復旧さえできるようにしているという。「Teradata Vantageの利用は社内全体に広がっており、経営層が意志決定にも生かしているからだ」とニュートン氏は言う。
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