ユーザーニーズと業務環境のズレ
働き方をモバイル中心へ変える「デスクトップトランスフォーメーション」注目の訳
最新の業務環境では、働く上でのデバイスを限定しないことが重要になっている。IT部門は、デスクトップ環境を中心とした管理手法から脱却し、最新のユーザーニーズに合わせて業務環境を進化させなければならない。
「デスクトップトランスフォーメーション」は、デスクトップ環境の展開と管理の仕方に関する進化全般を意味する用語、というのがこれまで考え方だ。この用語の対象は、デスクトップ環境を中心としたものから「デジタルワークスペース」までを包含するものへと転換しつつある。
従来、デスクトップトランスフォーメーションは、ユーザーが使用するOS、デバイスのアップデートや移行を意味していた。だが最近では、モビリティーの需要拡大に合わせて、デジタルワークスペースを活用した業務環境への移行へとその意味が変化している。デジタルワークスペース製品は、OS、ファイル、アプリケーションなどユーザーが利用する全てのリソースを1カ所に集約するとともに、IT部門がこれらのリソースを全て一括管理できるクラウドベースの管理機能を提供する。
デスクトップトランスフォーメーションの新時代
Citrix Systemsが提供する「Citrix Cloud」やVMwareが提供する「VMware Workspace ONE」がデジタルワークスペースの代表的な製品だ。こうした製品によって、IT部門はユーザーがローカル、リモートいずれのクライアントでも、またどんなデバイスでも機能する業務環境をユーザーに提供できる。こうした業務環境を包括的に提供できる製品は、エンドポイント全体に渡って、シングルサインオン(SSO)によるユーザー認証や安全なファイル共有を実現することにも役立つ。
次世代のデスクトップトランスフォーメーションの実現に向けて、IT部門はユーザーデータやアプリケーションをOSやデバイスから分離するようになっている。これはユーザーが、例えば会社から1000キロ以上離れた空港でスマートフォンを使って、または自宅から仮想デスクトップに接続して仕事をすることを望むようになっているためだ。いつでも、どこでも必要に応じて、ユーザーは必要な業務環境を得たいと考えている。
伝統的なデータやアプリケーションの管理、提供、セキュリティ確保に関する手法では、デスクトップトランスフォーメーションを単純に「あるOSから別のOSへの移行」と捉える。しかしこれでは、現在のモバイルワーカーの要求にもはや的確に応えられない。IT部門は、業務遂行の手段を制限することなく、ユーザーの業務をサポートし、生産性を維持する新しい手段を提供する必要がある。
この意味で、デスクトップトランスフォーメーションは、「Windows 7」から「Windows 10」に、あるいは、あるPCから別のPCにユーザーを移行させることではない。モビリティー化が進んだ現在のビジネス環境に適応できない固定的な手段を脱し、ユーザーがどこでどのように仕事をしていても、必要なアプリケーションやデータを利用できる環境へと移行することだと捉えるべきだ。
データをOSやデバイスから分離することで、生産性の向上や、より効果的なコミュニケーションの実現に必要な業務環境をユーザーに提供できる。デジタルワークスペースは、従業員の業務環境に対する満足度を高めるだけでなく、IT部門が担う管理作業の負担軽減も期待できる。
変えなければならないもの
デスクトップトランスフォーメーションを実現するには、ユーザーも考え方を根本的に変える必要がある。デジタルワークスペースはまだ新しい概念であり、それへの移行は決して簡単ではない。
企業がデスクトップトランスフォーメーションの最新の流れを知り、デジタルワークスペースを導入する必要性を認識する動きは広がっている。ユーザーの業務を的確にサポートするには、遅かれ早かれデジタルワークスペースを導入せざるを得ないと考えている企業もある。デスクトップトランスフォーメーションに関して従来のデスクトップ環境中心の考え方にとらわれている企業は、この流れから取り残されてしまう恐れがある。
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