Qlik Senseを使った教育機関の予測分析は現場に何をもたらしたか落第しそうな生徒も特定

米バージニア州ラウドン郡の学区では、2018年にセルフサービスBIツール「Qlik Sense」を使った教育機関分析の試みを開始した。一人一人に合った教育を提供するための予測分析を、ラウドン郡はどう実現するのか。

2019年02月14日 05時00分 公開
[Mark LabbeTechTarget]
photo Qlik Senseをインストールしたラウドン郡学区の高校

 授業で優秀な成績を修める高校生がいる。ところが、急に事態が変わる。この高校生が毎週2〜3日欠席するようになり、その欠席数は数週間で15日以上に達する。この高校生には何かが起きていた。しかし学校システムは巨大だ。そのためシステムの機能不全にほとんど気付かない。高校生は学校の勉強に過度の負担を感じ、精神面の問題を抱えていたが、学校側はそれに全く気付くことができなかった。

 この話は、大規模な学校システムが抱える課題を説明するための、作り話のように聞こえるかもしれない。だがそうではない。これは米バージニア州ラウドン郡の学区で2017年に実際に起きたことだ。計画通りに進めば、同学区はこうした状況の見落としを防ぐために、教育現場に予測分析を導入する予定だ。

 この高校生の話をしたのは、ラウドン郡学区で情報管理とデータセキュリティのディレクターを務めるレイチェル・ジョンソン氏だ。ジョンソン氏は同学区で、Qlik Technologies(以下、Qlik)の「Qlik Sense」による教育機関分析の試みに携わった。

急速に成長する大規模学区

 ワシントンDCの近く、メリーランド州との州境に位置する人口40万人のラウドン郡の学校システムは、米国で最も急成長するシステムの1つだ。

 ラウドン郡の学校には約8万3000人の生徒が通い、毎年2000人以上の生徒が新しくシステムに加わる。同学区には100校近くの学校があり、運営予算はおよそ10億ドルに達する。

 学校システムは成長を視野に入れていた。「だが、意思決定を行う方法については適切な手段を用意していなかった」とジョンソン氏は話す。

 ラウドン郡学区はQlikが提供する、意思決定に役立つセルフサービスのデータ分析と可視化システムに関心を寄せている。教育現場に予測分析を利用するのは全く初めてではない。この学区では以前、管理者が基本的な分析機能を実行できるデータウェアハウス(DWH)プラットフォームを数年間利用していた。しかしそのプラットフォームは2012年に廃止された。

 以前のプラットフォームではデータがサイロ化され、ユーザーが「簡単にデータセットを作成することができなかった」とジョンソン氏は話す。さらに、定期的に更新されなかったため、結局エンタープライズの水準でデータ分析することはできなかった。Qlik Senseシステムはそうならないと同氏は言う。

Qlikへの移行

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