米バージニア州ラウドン郡の学区では、2018年にセルフサービスBIツール「Qlik Sense」を使った教育機関分析の試みを開始した。一人一人に合った教育を提供するための予測分析を、ラウドン郡はどう実現するのか。
授業で優秀な成績を修める高校生がいる。ところが、急に事態が変わる。この高校生が毎週2〜3日欠席するようになり、その欠席数は数週間で15日以上に達する。この高校生には何かが起きていた。しかし学校システムは巨大だ。そのためシステムの機能不全にほとんど気付かない。高校生は学校の勉強に過度の負担を感じ、精神面の問題を抱えていたが、学校側はそれに全く気付くことができなかった。
この話は、大規模な学校システムが抱える課題を説明するための、作り話のように聞こえるかもしれない。だがそうではない。これは米バージニア州ラウドン郡の学区で2017年に実際に起きたことだ。計画通りに進めば、同学区はこうした状況の見落としを防ぐために、教育現場に予測分析を導入する予定だ。
この高校生の話をしたのは、ラウドン郡学区で情報管理とデータセキュリティのディレクターを務めるレイチェル・ジョンソン氏だ。ジョンソン氏は同学区で、Qlik Technologies(以下、Qlik)の「Qlik Sense」による教育機関分析の試みに携わった。
ワシントンDCの近く、メリーランド州との州境に位置する人口40万人のラウドン郡の学校システムは、米国で最も急成長するシステムの1つだ。
ラウドン郡の学校には約8万3000人の生徒が通い、毎年2000人以上の生徒が新しくシステムに加わる。同学区には100校近くの学校があり、運営予算はおよそ10億ドルに達する。
学校システムは成長を視野に入れていた。「だが、意思決定を行う方法については適切な手段を用意していなかった」とジョンソン氏は話す。
ラウドン郡学区はQlikが提供する、意思決定に役立つセルフサービスのデータ分析と可視化システムに関心を寄せている。教育現場に予測分析を利用するのは全く初めてではない。この学区では以前、管理者が基本的な分析機能を実行できるデータウェアハウス(DWH)プラットフォームを数年間利用していた。しかしそのプラットフォームは2012年に廃止された。
以前のプラットフォームではデータがサイロ化され、ユーザーが「簡単にデータセットを作成することができなかった」とジョンソン氏は話す。さらに、定期的に更新されなかったため、結局エンタープライズの水準でデータ分析することはできなかった。Qlik Senseシステムはそうならないと同氏は言う。
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