サーバ今昔物語【第2回】
「新しい技術が出るたび状況が良くなると信じた」 サーバはこれからどうなる?(1/2 ページ)
サーバと共に社会人生活を過ごした著者が語るIAサーバ進化の歴史。未来のサーバはどうなっているのだろうか。
前回「『サーバが不安定になると自分も不安定になった』 安定稼働までの長い道のり」はIAサーバの登場からクラスタリング技術の登場までを紹介した。第2回となる今回は、ブレードサーバ登場によって加速するサーバの集約に関する話題から、これからのサーバについての展望までを紹介する。
ブレードサーバとハイパーバイザー型仮想化技術
IAサーバが普及した当初「1システムにつき1台のサーバ」が普通だった。その後、サーバ群と共有ストレージをLANで接続する「クラスタリング」や、サーバ、ストレージ、バックアップ装置をFC(ファイバーチャネル)で接続する「SAN」(Storage Area Network)などが登場して変化が起きた。1つのシステムに必要な、サーバやストレージといった機器が増えたのだ。それに伴って機器と機器をつなぐケーブルも増加傾向にあり、機器の増設やメンテナンスのときは、スパゲティのように絡み合ったケーブル群を縫ってどこに接続すべきか、どれを外すべきか、間違えないように内心ヒヤヒヤしたものだ。
こうした中「増設作業やメンテナンスが不便だ」「機器の数が増え過ぎて置き場所がない」といった課題を改善する目的もあり、市場では機器、特にサーバの集約が求められるようになった。そこで登場したのがブレードサーバだ。ブレードサーバは「エンクロージャー」もしくは「シャシー」といわれる筐体に、横長の形状をしたサーバの本体を複数組み込む形になっている。このため、増設のたびに少なくないスペースを必要とした従来型のIAサーバと違い、少ないスペースに複数のサーバを設置できるようになった。
ブレードサーバのサーバ本体はメモリやCPU、(OSを格納するための)HDDを中心に構成されている。電源やファン、外部インタフェースはサーバ本体には含まれず、それぞれ個別にエンクロージャーへ接続し、共有する仕組みだ(図1)。モジュール同士の結線や通電には断線のリスクがあるケーブルを利用せず、バックプレーン(回路基板の一種)で実現する形となった。
一般化する仮想化技術
ブレードサーバの進化とともに、同時期に台頭したもう一つの技術として「仮想化技術」について触れておこう。
1サーバ当たり1OS、1アプリケーションが基本だったころは、アプリケーションごとにサーバを増やしていた。その結果、社内のサーバルームやデータセンターなどサーバを格納するスペースが圧迫されていった。ブレードサーバの登場で物理的なスペースの問題はある程度解消できたが、それだけではなく、管理負荷の増大という課題も発生した。
そのような背景もあって、サーバの仮想化が進んだ。「ハイパーバイザー」と呼ばれる仮想化ソフトウェアで、物理サーバの中に仮想的なサーバを構築する技術のことだ。CPUやメモリ、ストレージといったリソースさえあれば、ハイパーバイザーをインストールするだけで物理サーバに複数の仮想サーバを導入できる(図2)。このため導入面だけではなく運用面、管理面の負担も減らすことができた。
サーバの仮想化技術では、仮想サーバの移動やデータの保存(スナップショットの保存)が簡単にできる。アプリケーション用に新規でサーバ環境を用意したい場合も、リソースが空いてさえいれば新たに物理サーバを購入しなくても仮想サーバ構築が可能だ。物理サーバに障害が発生したとしても、仮想サーバのイメージを別の物理サーバに移行できれば短い時間でシステムを復旧できる。
ストレージの分野でも仮想化技術が発達した。物理的なHDDを仮想的なテープ装置として利用する「仮想テープストレージ」技術の発達により、バックアップの高速化や大容量化が進んだ。
仮想化技術による集約がもたらした最大の効果はコストメリットだろう。横河レンタ・リースが2011年に顧客に導入した事例では、既存の物理サーバ200台をブレードサーバ16台に集約したことで、単純に台数で比較すると92%の物理サーバを削減できた。サーバの集約だけでなく電力料金についても、サーバ以上に消費電力量の多い空調設備の電力を抑えられるため、トータルで約91%もの大幅なコスト削減効果があった。
この事例にあるように、仮想化技術によるコスト削減が話題となっていた当時のシステムインテグレーター(SIer)やベンダーは、既存の物理サーバを棚卸しし、仮想化対象の抽出、そして仮想化や集約によってもたらされる投資対効果のシミュレーションをする、という提案をしていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
サーバ今昔物語
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] AIランサムウェアに勝つ 自律型エンドポイント管理導入で確認すべき条件4つ -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] 研究分野でAI活用が進まない? 真の成果につなげるデータ管理の在り方とは -
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
2
AI時代のITインフラ戦略とは? 販売代理店が知っておきたい最新トレンド
-
3
VMware離れの決め手は“機能”以外だった 情シス109人が選んだ新基準と死角は
-
4
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
5
二極化する生成AI活用 「一部の社員しか使いこなせない」をどう解消すべきか
-
6
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
-
7
「GPUが待ちぼうけ」の悪夢を防げ AIストレージベンダー7選
-
8
Claude Opus 5.5、GPT-6 Sol/Luna登場 情シスが迫られるモデル使い分け
-
9
デンソークリエイト、Excelからの移行も簡単に行えるプロジェクト管理ツールを発表
-
10
「仮想化基盤の利用・検討状況」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
2
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
3
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
4
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
7
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
8
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
9
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
10
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー