2010年の提供開始以来、「SAP HANA」はさまざまな変化を遂げてきた。その主要な機能と用途を紹介する。
「SAP HANA」が2010年に登場してから、ほぼ10年が過ぎた。最近のIT情勢の中で、SAP HANAはどのような存在として認識されているのだろうか。その疑問への答えは、SAP HANAの利用事例や特性、機能の成熟度、市場の勢力図によって大きく変わる。SAP HANAの用途は広いためだ。
本稿では、現状の組織内でSAP HANAをどう位置付けるべきかについて、明確に、そして懐疑的に考える方法を紹介する。
最初に片付けておかなければならないのは、「そもそもSAP HANAとは何か」という疑問への答えだ。初期のSAPが本来追求していたのは「SAP HANAを使って『単一階層』のシステム環境を実現する」という戦略だった。アプリケーションサーバとデータベースサーバという複数階層を持つ従来のシステム環境を、SAP HANAをベースにして1つの基盤にまとめるという考え方だった。
それ以降、SAP HANAは変化を重ねている。ただし本来の戦略は変わっていない。SAPはありとあらゆるものをSAP HANAに投入している。現状のSAP HANAが搭載するコンポーネントは、次の3つのカテゴリーに分類できる。
1つ目のカテゴリーは、データ処理とストレージだ。このカテゴリーには以下の機能がある。
SAP HANAのデータベースエンジンのアーキテクチャにはいろいろな呼び方があるが、「ハイブリッドカラム型インメモリ」が適切な表現になるだろう。「部分的にカラム型で、かつ部分的にインメモリとなっているアーキテクチャ」の意味だ。これにより、カラム型アプローチとインメモリアプローチの恩恵が受けられると同時に、双方のアーキテクチャが持つデメリットを克服している。
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