いまさら聞けない「SAP HANA」とは何か? 主要機能と利用事例をおさらい「SAP HANA」の基礎知識【前編】

2010年の提供開始以来、「SAP HANA」はさまざまな変化を遂げてきた。その主要な機能と用途を紹介する。

2019年07月10日 05時00分 公開
[Ethan JewettTechTarget]

関連キーワード

SAP | SAP HANA | アプリケーション | ERP


画像

 「SAP HANA」が2010年に登場してから、ほぼ10年が過ぎた。最近のIT情勢の中で、SAP HANAはどのような存在として認識されているのだろうか。その疑問への答えは、SAP HANAの利用事例や特性、機能の成熟度、市場の勢力図によって大きく変わる。SAP HANAの用途は広いためだ。

 本稿では、現状の組織内でSAP HANAをどう位置付けるべきかについて、明確に、そして懐疑的に考える方法を紹介する。

そもそもSAP HANAとは何か

 最初に片付けておかなければならないのは、「そもそもSAP HANAとは何か」という疑問への答えだ。初期のSAPが本来追求していたのは「SAP HANAを使って『単一階層』のシステム環境を実現する」という戦略だった。アプリケーションサーバとデータベースサーバという複数階層を持つ従来のシステム環境を、SAP HANAをベースにして1つの基盤にまとめるという考え方だった。

 それ以降、SAP HANAは変化を重ねている。ただし本来の戦略は変わっていない。SAPはありとあらゆるものをSAP HANAに投入している。現状のSAP HANAが搭載するコンポーネントは、次の3つのカテゴリーに分類できる。

カテゴリー1.データ処理とストレージ

 1つ目のカテゴリーは、データ処理とストレージだ。このカテゴリーには以下の機能がある。

  • ハイブリッドカラム型インメモリデータベースエンジン
  • グラフデータ処理
  • 地理空間データ処理
  • ドキュメント処理
  • 機械学習

 SAP HANAのデータベースエンジンのアーキテクチャにはいろいろな呼び方があるが、「ハイブリッドカラム型インメモリ」が適切な表現になるだろう。「部分的にカラム型で、かつ部分的にインメモリとなっているアーキテクチャ」の意味だ。これにより、カラム型アプローチとインメモリアプローチの恩恵が受けられると同時に、双方のアーキテクチャが持つデメリットを克服している。

カテゴリー2.アプリケーションサーバ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

市場調査・トレンド アイティメディア広告企画

主要ノーコードWebデータベースを比較、最適な製品をどう選ぶ?【2025年春版】

専門知識が不要で従来のデータベースの操作から管理まで行えるノーコードWebデータベース。製品の多様化が進む中、自社に最適な製品をどう選べばよいのか。ユーザーレビューから主要製品を比較し、選定のポイントを探る。

事例 Twilio Japan合同会社

物流DX支援企業に学ぶ、「現場の声」をプロダクト開発に随時反映する秘訣

物流向けアプリケーションの開発を行うMeeTruckでは、アジャイル開発でPDCAをスピーディーに回すことで、業界での支持を拡大している。そんな同社の躍進を支えているのが、豊富なAPIを誇るコミュニケーションプラットフォームだ。

事例 Twilio Japan合同会社

SMS認証機能を2日程度で実現、事例に学ぶスピード実装の秘訣

斬新なアイデアで人気を博すレシート買い取りアプリ「ONE」を提供するWEDでは、認証機能の開発工数を削減すべく、あるクラウドコミュニケーションAPIを導入した。SMS認証機能の実装をわずか2日程度で実現した同ツールの実力を紹介する。

製品レビュー アステリア株式会社

建設現場のDXを促進、 IT人材不足でも現場でのアプリ開発で業務効率向上

アナログで非効率な業務が多く残る建設現場では、デジタル化によるプロセス改善が、喫緊の課題となっている。現場DXを推進する具体的な方法を提案するとともに、ノーコードツールの導入で大きな成果を収めた事例を紹介する。

事例 アステリア株式会社

「DXへの意識が低い」中小企業が現場DXを推進、事例に学ぶノーコード活用の秘訣

ビルメンテナンス事業を展開する裕生では、全社的にDXへの意識が低く、従業員の意識改革に課題を抱えていた。そこで、取り組みの契機とすべくノーコードツールを導入。業務アプリの活用により現場の業務はどのように変化したのだろうか。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。