ISDNのデータ通信が終了することを見据えて、インターネットEDIを採用するなら2022年末までには移行を終わらせるのが理想的だ。タイムリミットまでに準備すべき「接続テスト」と「セキュリティ対策」とは。
本連載ではこれまで、ISDNサービス「INSネット」の「ディジタル通信モード」終了の背景やEDI(電子データ交換)のユーザーに与える影響について紹介してきた。これを機にISDNでEDIを運用してきたユーザーがインターネットEDIへと移行する企業が、事前に押さえておくべきポイントや検討事項を紹介する。
はじめにインターネットEDIへ移行する際の大まかなスケジュールを、業界団体、センター側、端末側に区分して図1の通り示す。
移行スケジュールの検討に当たっては、2つのポイントに留意する必要がある。1つ目のポイントは「期限」だ。インターネットEDIの販売に携わるキヤノンITソリューションズの花澤健二氏によれば、移行の事実上の期限は「2022年末」に設定するのが理想的だという。
INSネットのディジタル通信モードは2023年いっぱい継続する見込みだが、2023年頭からデータ伝送速度の低下が始まる可能性があるため、事実上の移行期限は遅くとも2022年末に設定しなくてはならない。移行に当たっては図1の通り、センター側(主に発注者やサービス事業者)と端末側(主に受注者)との間の接続テストを個別に実施する必要がある。1つのセンターに多くの端末がぶら下がっている場合、テストに長い期間を要す可能性がある。「個別の接続テストにかける時間を確保するためにも、移行は早ければ早いほどよいでしょう」(花澤氏)
花澤氏によれば、接続テストを全て終えるまでの日数を大まかに計算すると「接続する端末側の数×2、3」日になるという。もしセンター側が100社の受注者(端末側)とEDIでつながっている場合は、テストには200営業日、場合によっては300営業日が掛かると見込んでおいた方がいいということだ。200社なら約2年間、さらに多ければそれ以上の日数を要する可能性があるため、あらかじめこれを考慮したスケジュールを引いておく必要がある。
2つ目のポイントは、インターネットEDIへの移行は決して「1社だけでは完結しない」点だ。EDIの標準規約を策定する「業界団体」、発注者やサービス事業者で構成される「センター側」、そして受注者である「端末側」が、お互い密接に連携しながら移行作業を進めることになる。
まずは業界団体が、有識者との意見交換を通じて、その業界におけるインターネットEDI標準規約を策定する。センター側はその結果を受けて、新たに策定された業界標準を基に自社の方針を定め、新システムを整備する。それと同時に、接続している端末側企業に対して方針を説明し、それを受けた端末側企業でもシステムを整備。その後両社の間で接続テストを実施する。
このように「業界団体とセンター側」「センター側と端末側」は密にコミュニケーションを取り合う必要がある。センター側は常に業界団体の動向に気を配りながら、そして端末側は常に自社が接続するセンター側の動きに足並みをそろえて、具体的な対策を進める必要がある。
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