ISDNのディジタル通信モード、2024年終了に備えてどんな準備が必要になるのか?「2024年ISDNデータ通信終了とEDI移行」まる分かりガイド【第1回】

2024年1月にISDNのデータ通信が終了する。その結果、EDI(電子データ交換)を筆頭としたシステムやサービスに大きな影響が出ることが予想される。通信事業者の立場からこの問題の概要と各産業への影響について解説する。

2019年03月29日 05時00分 公開
[山内健雅NTT東日本]

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「2024年ISDNデータ通信終了とEDI移行」まる分かりガイドについて

 2024年初頭にISDNの「ディジタル通信モード」が終了となる。「ISDNのデータ通信が終了」または「固定電話のIP網移行」といった言葉を目にした読者もいるだろう。ISDNはEDI(電子データ交換)においても通信回線として広く利用されており、自社のEDIが要件に該当していた場合は何らかの対処が必要となる。この連載は、ISDNデータ通信の終了がEDI利用にどのような影響があるか、今後の移行に当たって対策すべきポイント、新システム選定のコツなどについて解説する。


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 NTT東西(NTT東日本、NTT西日本)のISDNサービス「INSネット」を利用している読者の手元には、両社からのダイレクトメールが届いているかもしれない。これは、2019年2月から3月にかけて両社が順次送付している案内だ。このダイレクトメールには固定電話のIP網移行の概要や今後のスケジュール、IP網移行に伴い終了するサービスとその代替策などに関する記載がまとめられている。

 本稿は、EDI(電子データ交換)でも広く利用されている固定電話がどのように変わるのか(固定電話のIP網移行)を詳述する。特にINSネットのデータ通信サービス「ディジタル通信モード」の終了と、今後の対応について見ていく。

ディジタル通信モード終了とは――概略と背景

 NTT東西は2017年10月17日に「固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて」という報道発表で、2024年1月に固定電話の設備をIP網に切り替えることを公表した。

 ダイレクトメールによる案内で状況を知った方にとっては、NTT東西が唐突に発表したように驚いたかもしれないが、検討の開始は2010年にさかのぼる。同年11月に両社は「PSTNマイグレーションについて〜概括的展望〜」という報道資料を公表した。PSTNは「Public Switched Telephone Network」の略称で、加入電話とINSネットのネットワークを指す。従前の黒電話(ダイヤル式の黒い電話機)の時代から使われているメタルケーブル(銅線)を利用した電話回線のことだ。このPSTN回線(以下、固定電話)を、インターネット技術を利用したIP網へマイグレーション(移行)する予定を示唆したのである。以降、国も含めた議論として、総務省における有識者会議(電話網移行円滑化委員会など)をはじめとした活発な議論が進められてきた。

 固定電話のIP網移行の背景についてもう少し解説する。従来型の固定電話(加入電話とINSネット)の利用施設数は年々減少している。固定電話に代わって台頭したのがIP電話である。2011年には、光回線「フレッツ光」で利用可能な「ひかり電話」のような、加入電話と同様の電話番号を利用できるIP電話の施設数が、従来型固定電話の施設数を上回った。加えて2000年代から増加傾向にある携帯電話の利用が飛躍的に伸び、契約数は1億5000万を超えるほどになった。インターネットのメールやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などの利用も広まり、今なお通信手段の多様化が進んでいる。

 一方、固定電話網の交換機は2025年ごろに寿命を迎えると考えられており、この状況下でいかに固定電話を維持していくかが通信事業者の課題だった。この課題を解決するために、交換機で提供されている固定電話のサービスを、ルーターなどで構成されるIP網へ移行することで維持しようというのが、ディジタル通信モード終了の背景である。以下、本稿では固定電話のIP網移行を「IP網への切り替え」と呼称する。

固定電話がIP網へ移行するとどうなるか

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