「Microsoft 365」の月額料金が値上げ 中小企業から非難ごうごうの理由パートナーやユーザー企業からは落胆の声

Microsoftは「Microsoft 365」の月額サブスクリプション料金を値上げする。この料金変更によって、米国の中堅・中小規模のパートナーやユーザー企業から苦情が噴出している。

2022年01月12日 05時00分 公開
[Maxim TamarovTechTarget]

 Microsoftは、製品/サービスの販売に関する変更に取り組んでいる。2021年8月に同社は「2022年3月に、10年ぶりにオフィススイート『Microsoft 365』の料金を値上げする」と発表した。新料金は「『Office 365』の立ち上げ以来提供してきたイノベーションを反映したものだ」と同社は説明している。

 「Microsoft 365 Business Basic」は1ユーザー当たり月額5ドルから6ドルへ、「Microsoft 365 Business Premium」は20ドルから22ドルへ、「Office 365 E1」は8ドルから10ドルへ、「Office 365 E3」は20ドルから23ドルへ、「Office 365 E5」は35ドルから38ドルへ、「Microsoft 365 E3」は32ドルから36ドルへ、それぞれ値上げされる。

Microsoft 365値上げに落胆の声 ソーシャルメディアでの反応は

会員登録(無料)が必要です

 Microsoftは2021年11月に「パートナーセンター」で発表した説明で、月額サブスクリプションの継続を選択したパートナーに対して、2022年1月に20%の上乗せを実施することを示唆している。パートナーセンターは、Microsoftのパートナー「クラウドソリューションプロバイダー」(以下、CSP)向けのドキュメントをまとめたWebサイトだ。

 米国の中堅・中小規模のパートナーやユーザー企業は、月額サブスクリプション料金の値上げに異議を唱えている。ソーシャルメディア「Reddit」では、Microsoftのパートナーとみられる投稿者が、この値上げについて「毎月の積み重ねで成り立っているわれわれのような者にとっては、ひどく困ったことになる」と書き込んだ。「Microsoftは小規模事業者の声を聴いていない」という投稿もあった。

 ユーザー企業からは「従業員が辞めた場合にライセンスを解約する『柔軟性』がなくなる」という苦情が出ているという。ITサービス企業Oscillas Technologiesのプレジデントであるチャールズ・ブラック氏は「われわれの顧客にとって、こうした『柔軟性』はとてつもなく大きい」と話す。月額単位の料金が値上げになれば、「われわれの顧客は、ライセンスのコストパフォーマンスを保つために、もっと時間と労力をかけなければならなくなる」とブラック氏は語る。

 一部のパートナーはオンライン署名収集サイト「Change.org」で、Microsoftに対して変更の取り消しを求める嘆願を集め始めた。この嘆願は2021年12月時点で1400票以上を獲得している。この嘆願は「月額サブスクリプションは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)や、さまざまな経済的苦境に際して、コスト削減の助けとなるかけがえのない手法だ」と説明している。

 調査会社Constellation Researchのアナリストであるディオン・ヒンチクリフ氏は、この料金変更は「Officeツールの月額サブスクリプションで月ごとにキャッシュフローを管理する中堅・中小規模のパートナーにとって、大きな打撃になる」と話す。ヒンチクリフ氏は、この料金変更によって「Microsoftはサブスクリプションの解約を減らし、年額サブスクリプション契約数に基づいてその年の売り上げを予測できるようになる」と指摘する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 オリックス株式会社

人材不足でDXが進まない? 中小企業でもできる“ペーパーレス化”の実現方法

ある調査によるとDXに取り組んでいる中小企業は、2割にも満たないという。中小企業がDXを実現できない理由となっているのが、人材不足だ。しかし、人材不足の中でもDXを目指して取り組めることはある。それがペーパーレス化だ。

製品資料 LRM株式会社

取引機会の拡大にも直結する、セキュリティ教育の重要性

今やセキュリティ対策は防御だけでなく、取引機会の拡大にも不可欠な取り組みとなっている。特に「人」によるインシデントが多いことから、従業員の意識向上が急務となる。本資料では有効なセキュリティ教育の内容を紹介する。

製品資料 株式会社パイオリンク

従来のやり方では防げない? 中小企業に今求められるセキュリティ対策とは

中小企業に対するランサムウェア攻撃が拡大している。侵入手口も、メール経由に加え、VPNやリモートデスクトップなどの脆弱性を突く手口へと巧妙化しており、従来の対策だけでは被害を防ぎきれない状況にある。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

中小企業こそ「モバイルアプリケーション」を活用すべき7つの理由

中小企業は、モバイルアプリケーションを活用することで顧客と密接な関係を構築したり、パートナー企業との関係を維持したりできる。モバイルアプリケーションが役立つ理由を7つ紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

どんな働き方でも困らない「ノートPC」を選ぶポイントとは?

コロナ禍を経て、業務に必要な「ノートPC」の条件は変わった。どのような条件で選ぶことが望ましいのか。選定のポイントを解説する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...