Microsoftは「Microsoft 365」の月額サブスクリプション料金を値上げする。この料金変更によって、米国の中堅・中小規模のパートナーやユーザー企業から苦情が噴出している。
Microsoftは、製品/サービスの販売に関する変更に取り組んでいる。2021年8月に同社は「2022年3月に、10年ぶりにオフィススイート『Microsoft 365』の料金を値上げする」と発表した。新料金は「『Office 365』の立ち上げ以来提供してきたイノベーションを反映したものだ」と同社は説明している。
「Microsoft 365 Business Basic」は1ユーザー当たり月額5ドルから6ドルへ、「Microsoft 365 Business Premium」は20ドルから22ドルへ、「Office 365 E1」は8ドルから10ドルへ、「Office 365 E3」は20ドルから23ドルへ、「Office 365 E5」は35ドルから38ドルへ、「Microsoft 365 E3」は32ドルから36ドルへ、それぞれ値上げされる。
Microsoftは2021年11月に「パートナーセンター」で発表した説明で、月額サブスクリプションの継続を選択したパートナーに対して、2022年1月に20%の上乗せを実施することを示唆している。パートナーセンターは、Microsoftのパートナー「クラウドソリューションプロバイダー」(以下、CSP)向けのドキュメントをまとめたWebサイトだ。
米国の中堅・中小規模のパートナーやユーザー企業は、月額サブスクリプション料金の値上げに異議を唱えている。ソーシャルメディア「Reddit」では、Microsoftのパートナーとみられる投稿者が、この値上げについて「毎月の積み重ねで成り立っているわれわれのような者にとっては、ひどく困ったことになる」と書き込んだ。「Microsoftは小規模事業者の声を聴いていない」という投稿もあった。
ユーザー企業からは「従業員が辞めた場合にライセンスを解約する『柔軟性』がなくなる」という苦情が出ているという。ITサービス企業Oscillas Technologiesのプレジデントであるチャールズ・ブラック氏は「われわれの顧客にとって、こうした『柔軟性』はとてつもなく大きい」と話す。月額単位の料金が値上げになれば、「われわれの顧客は、ライセンスのコストパフォーマンスを保つために、もっと時間と労力をかけなければならなくなる」とブラック氏は語る。
一部のパートナーはオンライン署名収集サイト「Change.org」で、Microsoftに対して変更の取り消しを求める嘆願を集め始めた。この嘆願は2021年12月時点で1400票以上を獲得している。この嘆願は「月額サブスクリプションは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)や、さまざまな経済的苦境に際して、コスト削減の助けとなるかけがえのない手法だ」と説明している。
調査会社Constellation Researchのアナリストであるディオン・ヒンチクリフ氏は、この料金変更は「Officeツールの月額サブスクリプションで月ごとにキャッシュフローを管理する中堅・中小規模のパートナーにとって、大きな打撃になる」と話す。ヒンチクリフ氏は、この料金変更によって「Microsoftはサブスクリプションの解約を減らし、年額サブスクリプション契約数に基づいてその年の売り上げを予測できるようになる」と指摘する。
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