導入を検討する前に「Microsoft Power Apps」の制限事項を確認しておくことは重要だ。開発環境やデータのやりとりの上限などに関する6つの注意点を紹介する。
「Microsoft Power Apps」は、ノーコード/ローコード(ソースコードの記述なし、または最小限のソースコード記述のみ)のツール群「Microsoft Power Platform」の構成要素だ。中編「『Power Apps』の意外な“落とし穴” ライセンスや価格で気を付けたいことは?」に引き続き、Power Appsの利用時に注意すべき項目を取り上げる。
Power PlatformのIDE(統合開発環境)はWebブラウザで動作する。そのため企業がPower Appsを利用してフォームを作成する場合、デスクトップアプリケーションではなくWebブラウザを使う必要がある。インターネットに接続していないオフライン環境ではフォームを作成できないため、気を付けなければならない。
Power Appsで、異なる画面サイズや画面の向きに応じたレイアウトのフォームを作成するには、複数のフォームを開発する必要がある。例えば同じフォームのスマートフォン用とタブレット用、計2つのバージョンを作ることを考えなければならない。ある程度大きさが自動で変わるフォームはあるものの、妥協を求められる。
Power Appsは、ファイル共有製品「SharePoint」やリレーショナルデータベースなどのデータソースからアプリケーションが呼び出すレコード数に、2000件の上限を課している。
SharePointで作成したリスト、リレーショナルデータベース、表計算ツール「Microsoft Excel」のファイルに対して、Power Appsが大量のデータの読み取り/書き込みをすると、上限を超過する可能性がある。Power Appsのライセンスがアプリケーション数に基づくものである場合、24時間以内に実行できるコネクター経由のリクエスト数の上限は1000件だ。コネクターごとに制限数が異なるため、管理が複雑になる恐れがある。
「添付ファイルコントロール」は、Power Appsで作成したフォーム経由で、エンドユーザーがファイルをアップロード/ダウンロードする機能を提供する。Microsoftは添付ファイルコントロールが扱うファイルの保管先を、SharePointとデータ管理ツール「Microsoft Dataverse」に限定している。ファイル同期サービス「OneDrive」やリレーショナルデータベースなどをファイルの保管先に指定できない。アップロードできるファイルの最大サイズにも50MBという上限がある。
Power Appsで作成した複数のアプリケーションで、同じ手順の計算を実行したいと考える企業もあるだろう。その場合、アプリケーションごとにロジックを作成して管理しなければならない。規模が大きくて複雑なフォームにたくさんのロジックを埋め込むことになれば、計算の要件が変わったとき、その変化に合わせてロジックも変更することになる。その結果、計算結果が予測できなくなる可能性がある。
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