「Google Pixelbook」の導入やクラウドへの大規模な移行を進めたフィットネスチェーンのSoulCycle。成功の決め手は、包括的なチェンジマネジメント計画だった。
フィットネスチェーンのSoulCycleは、完全にクラウドベースのIT環境に移行したことで、2500人の従業員が仕事のやり方を大きく変えることになった。従来のPCに代えて「Google Pixelbook」を使うようになったのがその一例だ。Google Pixelbookは、GoogleのクライアントOS「Chrome OS」を搭載するノート型デバイス「Chromebook」のハイエンドモデル。
SoulCycleのIT担当副社長を務めるマイケル・アーシノリ氏は、同社のオフィスと90カ所以上のフィットネススタジオに分散した全従業員が、新しい働き方にうまく適応できるように、包括的なチェンジマネジメント(組織の業務変革を効率的に推進するマネジメント手法)に関する計画を事前に作成していた。「時間はかかったが、そのおかげで、予定していた変更が実際に必要になったときには、スムーズに事が運んだ」と、アーシノリ氏は語る。
SoulCycleのデジタルプロジェクトを1年以上前から統括するアーシノリ氏は、Googleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)によるアプリケーションの運用、Pixelbookの導入展開、社内で使用するWebブラウザの「Google Chrome」への統一とともに、ビジネスプロセスのモダナイゼーション(最新化)を進めてきた。
アーシノリ氏のチームおよび経営陣は、「このプロジェクトの成功は、新しい技術に移行することではなく、従業員がそれらを受け入れ、活用して、新しいやり方で仕事をするように持っていくことで達成される」と認識していた。そのためにチェンジマネジメント計画では、従業員に考え方を変えてもらい、新しいやり方への支持を取り付けることに重点を置く必要があった。それが仕事のやり方を変える前提になるからだ。
そこで必要となったのが、時間への投資だった。デジタルトランスフォーメーションの過程で授業員の働き方を変えようとするときには、「忍耐を持って、従業員のニーズを認識しなければならない。従業員はこれまでのやり方でうまくいっていたからだ」とアーシノリ氏は指摘する。そのため従業員には「プロジェクトを進める側が提案する変更が、『自分たちがしている仕事にとって、長い目で見るとプラスになる』と思ってもらえるようにしなければならない」と同氏は説明する。
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