J・フロントリテイリングが「G Suite」を1万人規模で利用 社内普及の方法とは新システムの社内普及に「チェンジマネジメント」を導入

J・フロントリテイリングは、全国の拠点で働く1万2000人のグループ従業員に向けて「G Suite」を導入した。新しいシステムを早期に定着させるために、同社が導入したのが「チェンジマネジメント」と呼ばれる手法だ。

2019年03月29日 05時00分 公開
[上田 奈々絵TechTargetジャパン]

関連キーワード

Google Apps | 事例 | Gmail | オフィススイート


 百貨店の大丸や松坂屋、ファッションビルのパルコなどを運営するJ・フロントリテイリングは、2017年7月から全社的にGoogleのオフィススイート「G Suite」を利用している。約1万2000人のグループ従業員がスムーズに旧システムからG Suiteへ移行し、オフィススイートやコラボレーション機能を利用できるようにするために、同社は「チェンジマネジメント」と呼ばれる手法を導入して社内普及を推進した。

 J・フロントリテイリングは、いかにして社内にG Suiteを定着させたのか。チェンジマネジメントに基づいた普及施策について説明する。

G Suiteへの移行はメーラーの容量不足がきっかけ

photo J・フロントリテイリング 土屋真弓氏

 業務効率化と組織の生産性向上、そしてイノベーションの促進を軸にした働き方改革を推進しているJ・フロントリテイリング。同社は働き方改革における課題を特定するために、従業員約7000人にアンケートを実施した。その結果、働き方以前に、当時利用していたメーラーに課題があることが明らかになった。

 J・フロントリテイリングで事業開発統括部の新規事業担当を務める土屋真弓氏は、当時社内で使用していたメーラーは容量が小さく、そのことが従業員の負担につながっていたと話す。同社は容量増加を抑える策として、受信から2カ月が経過したメールを自動的に削除する設定にしていた。それでも容量の上限に近づいてしまい、毎朝メールを確認して削除している従業員も少なくなかったと土屋氏は話す。

 百貨店での情報伝達も課題だった。店頭のマニュアルやシフト表、通達事項は紙での伝達が中心。印刷や配布に手間がかかり、リアルタイムでの情報共有が難しかった。

 J・フロントリテイリングはこうした課題を解決する手段として、情報共有システムの見直しに着手した。その中核要素として導入したのがG Suiteの「Business」エディションだ。選定理由として土屋氏は、メーラーとストレージの容量が無制限である点と、コラボレーション機能の豊富さを挙げる。J・フロントリテイリングとGoogleが共に、イノベーションを促進する企業体質を持つ点も大きかったという。

チェンジマネジメント手法の4つの要素

photo グーグル 山田理禾氏

 新システムの導入時には、いかにしてそのシステムを社内に浸透させるかという課題が付きまとう。J・フロントリテイリングが社内浸透の手段として使用したのが、チェンジマネジメントだ。グーグルの山田理禾(あやか)氏は、チェンジマネジメントについて「組織内の変化をスムーズに進めるための手法」だと説明する。

 山田氏は、チェンジマネジメントの柱として以下の4つの要素を挙げる。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 Asana Japan株式会社

富士通のDX推進事例に学ぶ、生産性40%アップを目指す突破口とは?

富士通が展開するDX推進プロジェクト「フジトラ」。12万余りのグループ従業員全体をカバーするのは容易ではないが、その一翼を担うのが「ワークマネジメントツール」だ。本ツールの導入経緯から効用、今後の展開などを紹介する。

製品資料 株式会社マヒト

名刺発注業務を効率化、柔軟なワークフロー構築が可能な名刺発注システムとは

名刺は日々のビジネスに欠かせないツールの1つだが、その発注に関する承認と管理は意外と手間のかかる作業であり、規模が大きくなるほど負担は増大する。そこで注目したいのが、柔軟なワークフローを構築できる名刺発注サービスだ。

製品レビュー NECネッツエスアイ株式会社

2分の動画で解説:外出先での電話環境を改善、雑音除去もできるクラウドPBXとは

外出時の電話対応では、取り次ぎや折り返しの手間に加え、周囲の雑音やノイズといった課題もつきものだ。これらを解決する手段として期待されるクラウドソリューションを取り上げ、実際の利用方法や活用効果を、動画を通じて紹介する。

製品資料 株式会社ジャストシステム

稟議/申請のデジタル化を推進、ノーコードで実現するワークフロー変革術

あらゆる領域でデジタルシフトが進む今、ワークフローにおいてもシステム化が加速している。その手段として注目されるのが、ITの専門知識がなくてもシステム構築が可能なノーコードツールだ。そのメリットや選定のポイントを解説する。

事例 日本ビジネスシステムズ株式会社

SharePointを活用している? Microsoft 365ユーザーなら押さえたい活用の秘訣

Microsoft 365に搭載されている「SharePoint」は活用できているだろうか。製品名は知っていても、その機能やメリットが分かっていないという声もよく聞かれる。そこで実際の活用事例を基に、活用のポイントを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...