音楽大学は「大学統合」で生じたシステム連携問題をどう乗り越えたのかバークリー音楽大学がボストン音楽院の統合で直面

バークリー音楽大学は、ボストン音楽院との統合を受けて、2校のシステムを連携し、共通のデータ分析基盤を構築する必要があった。そのためのデータ統合ツールとして、SnapLogic製品を選んだ理由は何か。

2019年09月19日 05時00分 公開
[Mark LabbeTechTarget]

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写真 バークリー音楽大学《クリックで拡大》

 ジャズや現代音楽の才気あふれる音楽家を輩出することで知られるバークリー音楽大学(Berklee College of Music)。同校はデータ統合製品ベンダーSnapLogicと提携し、高等教育にデータ分析や人工知能(AI)技術を活用している。

 2016年、バークリー音楽大学はボストン音楽院(Boston Conservatory)と統合し、ボストン音楽院はその名を「Boston Conservatory at Berklee」と改称した。この統合により、ボストン音楽院は新たに夏期留学プログラムやオンラインプログラムを創設するとともに、両校の音楽精神をそれぞれ残したまま、学舎、教授陣、講義を共有することにした。

 一方で「この統合により、バークリー音楽大学には主要な学生情報システムが2つ存在することになった」と話すのは、同校の管理テクノロジーサービス部門でディレクターを務めるジェニファー・クーン氏だ。

2つのシステムが混在

 「2つの異なるシステムが存在することで、学生に統一的なエクスペリエンス(経験価値)を提供する『One Berklee』という理念の体現が難しくなった」とクーン氏は話す。2つのシステム間でデータを共有することは可能だったが、システムは動的でもスケーラブルでもなかった。「処理は遅く、複雑だった。常に少しずつ両システム間でデータをやりとりするしかなかった」(同氏)

 クーン氏が率いるチームはこうしたシステム間連携の実現に加えて、高等教育用のソフトウェアに最新の分析技術やAI技術を導入が必要だと考えていた。そのための環境整備として、同チームはまず、分析機能を備える人事・財務管理クラウドサービス「Workday」を採用した。

 バークリー音楽大学は2021年までにWorkdayの導入を完了させる。「現状のところはうまく機能している」とクーン氏は言うものの、同氏のチームには、Workdayと他のシステムとの連携を実現するためのデータ統合ツールが必要だった。同チームは該当するソフトウェアやサービスを幾つか調べた後、WorkdayのテクノロジーパートナーでもあるSnapLogicを選んだ。SnapLogic製品は結果としてWorkdayに限らず、大学統合に伴う幅広いシステム間の連携をスムーズに進めることにも役立つことになる。

機械学習で連携の設計が容易に%メンバー用

 SnapLogicは、データ連携ツール「Snap」を提供している。Snapは「Amazon DynamoDB」「Amazon Redshift」「Adobe Experience Platform」「Apache Kafka」などのさまざまなデータソースと、機械学習やデータ分析アプリケーションとのデータ連携を自動化する。「専門家でない人でも使いやすいと感じるユーザーエクスペリエンスを実現したい」と、SnapLogicでチーフサイエンティストを務めるグレッグ・ベンソン氏は話す。

 データ統合基盤としてSnapLogicが開発する「Intelligent Integration Platform」は、機械学習を利用したSnap用のレコメンデーション機能を持つ。機械学習エンジンはユーザーが構築するデータ連携のパイプラインを学習し、その結果に沿ってユーザーにパイプラインを提案する。ベンソン氏によれば、この機能が、開発プロセスにかかる時間を短縮するという。

 クーン氏のチームがSnapLogic製品を選んだ主な理由は、その使いやすさにあったという。同氏のチームメンバーは、SnapLogic製品について数日間のWebトレーニングを受け、一通りの使い方を学んだ。「SnapLogic製品は直感的に利用できる。われわれのチームは同社が公開しているプロジェクトの構成を流用できた」とクーン氏は話す。

 Workday、SnapLogicなどのベンダーの製品を導入し、データ分析やAI技術を利用することで、バークリー音楽大学は機能しなくなったシステムや旧式のシステムの修正にかかる時間を短縮できた。それにより「他のことに時間を使えるようになった」とクーン氏は言う。「以前は眼前の課題に追われていた。現在は5年後、10年後を見据えた戦略目標について考えられるようになった」(同氏)。そうすることで、資金を節約し、成長速度を速め、学生に優れたテクノロジーを提供できると同氏は考えている。

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