患者のモチベーションが課題
患者が病院による「遠隔モニタリング」を使いたがらない2つの理由
患者の遠隔モニタリングにより、医療機関は診察以外の時間も患者の健康状態を把握することができる。普及が進む一方で、患者と医療従事者の受け入れ方には課題が残る。
患者の遠隔モニタリングにより、医療機関は患者が病院内にいなくても、患者の健康状態を把握できるようになる。日常生活を送る患者の体温、体重、心拍といったデータを収集することで、医療機関は患者の健康状態に問題が起きる可能性をいち早く察知することが可能だ。これにより患者の健康状態を向上させ、ひいては医療費を削減できる。
家庭で測った体重データを医療機関に送信できるインターネット接続型体重計の利用は、気軽に利用できる機器から重要な医療情報が得られる好例だ。腎機能不全の患者は、体液うっ滞による合併症が起こる高いリスクを抱えている。場合によっては、命に関わることもある。体液うっ滞の兆候の一つに、体重の異常な増加がある。医師はインターネット接続型体重計を使用して、患者の体重を遠隔地から確認することで、問題が起きる初期兆候の把握が可能になる。
行政や医療機関の経理担当者も、遠隔モニタリングが患者の再入院を減らし、病院の費用削減に役立つことを理解するようになっている。米連邦政府機関のメディケア・メディケイドサービスセンター(CMS:Center for Medicare & Medicaid Services)は、患者の遠隔モニタリングを実施しやすくするために、関連する規定を変更した。この変更により、在宅医療サービスを提供する医療機関は、年間費用報告書に患者の遠隔モニタリングツールの費用を原価として計上できるようになった。
患者の意欲に不安も
遠隔モニタリングのために、患者が積極的に医療機器を使おうとするかどうかには不安が残る。具体的な不安を考えてみよう。
不安1.患者の精神的負担となる機器トラブル
医師の場合は、医療機器を使用中に技術的問題が発生しても院内のIT担当者に連絡することができる。一方で患者が自宅で医療機器を使用中に問題が発生した場合、必ずしも技術サポートを受けられるとは限らない。この状況はストレスになり、医療機器の使用を中断する大きな要因になり得る。患者の遠隔モニタリングにはインターネット接続が必要になるため、接続環境が問題になることも少なくない。
不安2.患者のモチベーション
医師の指示に従う意思や能力のない患者がいる現実も考慮しなければならない。医師は患者に対して、決まった時間に薬を飲むことや、食事制限を指示することがある。「インターネットに接続した医療機器を積極的に使用すること」も、こうした医師の指示に含まれる。指示に従わない患者は、遠隔モニタリングが役立つ可能性が低くなるだろう。
患者の自宅に導入できる遠隔モニタリング用機器のラインアップは充実しつつある。一方で医師と患者は、適応しようとする段階にあるのが実情だ。遠隔モニタリングを全ての人に定着させるには時間がかかると予想される。ただし患者の遠隔モニタリングで得られるメリットを考えれば、病院が遠隔モニタリング技術の導入を進める流れは変わらないだろう。
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